腰高時代の資金と税金 the Final Stage

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『会計力』が事業を育てる ─会計土木®の現場から─
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課税事業者選択の届出がなかったため免税事業者になった課税期間で前期末在庫の仕入控除不可になった責任問題

 消費税では課税事業者、免税事業者の区分があり、これ等の区分を行ったり来たりする場合には繰越商品などの在庫について特別の定めがあります。

 課税事業者が免税事業者になった場合には、課税事業者であった間に仕入れて免税事業者の期間に繰越す仕入額は課税事業者の期間では仕入控除ができません。前後の2期を通して課税期間に応じて仕入控除が偏らないように制度が設計されています。従って逆に免税の課税期間に仕入れて期末に翌期へ繰越す期末在庫は(免税の期間には仕入の扱いはされていませんが)翌期の課税期間では仕入控除されることになっています。

 課税事業者、免税事業者のステイタスがまたがる場合に問題が起こりました。

 

(ストーリー)

依頼者(DVD制作会社)は、A課税期間は免税事業者でしたが増資により次のB課税期間は課税事業者になりました。この流れで行けば翌期であるC課税期間ではA課税期間を基準期間としますから(当然に)免税業者になります。

 

ところがB期の期末には大量のDVDの売れ残りが在庫として残ってしまいました。流れのままでは次期には免税事業者になりますからB期では在庫になる仕入部分は控除できません。もっとも自然な流れの免税なりのメリット(消費税がかからないという)があります。しかし在庫の額が多額な場合は「在庫をB期で仕入控除して消費税の還付を受けるメリット」とC期で「消費税が免税のメリット」という二つのメリットを比較して「還付メリット」>「免税メリット」の場合は還付メリットを受けられるアクションを起こさなくては損をすることになります。

 

このアクションとはB課税期間が終わるまでに「課税事業者選択届出書」を税務署に提出することです。これをする義務が税理士に(当然に)あるのかがポイントの一つです。

 

逆にC期間の課税売上高が大きい場合は、なんといっても「免税」ですから、売上が多くてかなりの消費税を納付するかもしれないところへ(無税)のメリットも大きいものがあります。ただしC期間に在庫投資や設備投資を依頼会社がすればこれらの金額は仕入控除されますから納付以消費税額自体が激減することもあり一概にはどちらが有利か言い切れません。

 

結局、どちらのメリットが大きいかの判断はC期間の売上や投資または費用支出などの予測が確実でないとできません。この予測をすることは会社サイドにあるのか、顧問税理士にもあるのかが二つ目のポイントです。

 

(依頼者の言い分)

・課税事業者選択届出書を出さない限り、C期には免税事業者になるのが明らかで、届出書を出せばB期の在庫の仕入控除を受けられることは我社にとって重要な判断事項である。税理士は専門家であるからこの点につき助言すべきである。

毎月当社を訪問する顧問契約であるから来社時には仕入れの確認や、来期の予測、在庫の見込みを確認し、時には質問等するべきであったのに怠った。

 

(税理士の言い分)

・依頼者が当方に要求する事柄は経営判断に属することで会社側にて行うことである。

・顧問契約書には消費税の助言説明義務は挙げられていない。月額2万円という低額の顧問料にはこのような義務は含まれない。

消費税の知識は国税庁のウエブサイトで告知されているのであるから経営者として知っておくべきである。

・C期に免税になるのを届を出して課税事業者になることが有利とは一概に言えない。C期更にはD期の消費税負担額よりB期で仕入控除することが多い場合に限られる。一般的には免税事業者になるほうが消費税法上、有利である。

・B期に大量の在庫が生じるならその事情を税理士に伝える義務が依頼者にはある。

・顧問料を低額にしてほしいという要望の条件として、会社で担当者を置いて自ら日常の経理う事務を行うとの約束があった。毎月訪問して経営判断事項の予測までする義務は負っていない。

 

(結 末)

・顧問契約書には税務代理、税務書類の作成、税務調査の立合、税務相談、会計相談、財務書類の作成、記帳代行が定められ「税務に関する経営判断に資する助言指導」は定められていない。顧問料も低額であり税理士には依頼者が言うような義務はない。

依頼者である会社からの説明もない状態で在庫などの予測は不可能である。

 

(教 訓)

・顧問料が低額であるから義務の範囲も狭まる結果になって税理士は助かったが、顧問料が高額であれば顧問契約書の税務相談の文言の解釈次第では税理士が積極的に踏み込んで有利不利を検討する義務があるとの事実認定になったかもしれない。

・契約する時は、税理士は新規関与先を獲得した嬉しさから、気分が高揚し、何でもしてあげてお役に立ちたいとの親切心が高ぶる傾向にある。これは人間として自然のことではあるが、この心が却って自分を攻撃させるタネになりかねない。自分の等身大の力と受け取る報酬をシビヤーに比べて冷静な態度で臨むことが大事ではなかろうか。

- | 12:01 | pookmark
特例の適用を説明しなかったのは契約違反なのか?

(ストーリー)

 依頼者はバブル期に不動産を相続したため高額の相続税負担を強いられた。納税に際して延納申請したが高い利子税の負担をすることになったうえ、延納分割税額支払いのため借入したため利息の支払いを余儀なくされた。

 その後、借入金完済のため相続物件を売却したが、バブル崩壊のため不動産の価額が下落していたうえ、売却に伴う譲渡所得税の負担などにより依頼者は相続した財産の殆どを失った。

 相続税額納付前に譲渡時の取得費加算の制度を用いて相続不動産を譲渡したり、物納をしておけば利子税、借入金利を負担しないで済んだことが恨まれる。

 

 税理士は相続税申告の際に取得費加算があることを依頼者に話したが積極的にその利用を勧めることはなかった。その後、地価下落で苦しむ延納申請者救済措置として、特例物納制度が設けられたので税理士はこの制度を使って相続不動産を物納することを勧め、このために税理士協同組合関連の不動産処理専門会社を依頼者に紹介した。

 税理士はこの会社に対し、延納を物納に変更するか、売却して相続税を納税し借入金を完済することの検討を求めた。この会社は事前調査をした上で、特例物納制度を使って物納することを税理士同席の場で提案した。しかし依頼者はこの提案に乗る意向を示さなかったばかりではなく委任もせず、費用も払わなかった。

 

(依頼者の言い分)

・税理士とは相続税申告を依頼した際に「包括的」委任契約を結んでいるので、期限内に相続不動産の売却をすることで取得費加算の優遇措置を用いたり特例物納制度について説明、指導する義務があったのにそれを怠った。

・このため延納利子税、借入金利息計1億円に加え弁護士費用1千万円を負担することになったのは税理士の義務違反が原因であるから1億1千万円の弁償のを求める。

(税理士の言い分)

・「包括的」委任契約を締結していない。依頼を受けて相続税申告、譲渡所得申告の手続をしたに過ぎない。

申告手続きを超えて取得費加算や物納の説明や指導をする義務はない。

・よって依頼者が損害を蒙ったには責任はない。

 

(結 末)

・契約書がないので、依頼者が申告手続きを超える包括的な税務処理を求めた証拠は認められない。

・契約書を作成しないまま具体的な事務処理をすることもあり得るが、そのうような仕事をした形跡もないうえ報酬も支払われていない。

・このような事実から税理士との包括的処理契約締結の事実はないので、依頼者が言うような義務は税理士にはない。

 

(教 訓)

・契約書があるかないか以前に税理士が申告料以外の報酬の支払いを受けていない点が決め手であったと考えられる。

・「包括的」な契約をしていない場合でも、意味不明の報酬を享けることは義務が存在することを示すことになり、義務の履行が不十分であれば賠償の余地が生じる。

・契約書を作成しても業務範囲が明確でない場合は依頼者側は契約の文言を拡大して、アレもコレも依頼した気になる懸念があるので注意が必要である。

・業務範囲を細かく列挙し、それに照応する報酬を限定列挙して定めることが必要と思われる。

 

参考:tainsZ999-0104

 

- | 14:58 | pookmark
相続税納税のさい物納を選択することに伴う助言は必要か

  遺産に株式があり依頼者は相場の動きを見て利益を取りたいと思う反面、株価が下落した場合のリスクが現実になって争いになったケースです。

 

(ストーリー)

父の相続で税額の殆どを株式による物納で納付した依頼者は、母の相続税の申告においても物納を考えていた。しかしこの株式の配当基準日が近ずくと名義を母から自分に変更したうえ売却した(第1回売却)。その後、依頼人は信用取引で同じ株式を購入し、数日して売却(第2回売却)して利益を得た。このことは税理士には話さなかった。

 その後8月13日に残の株式を売却した(第3回売却 この3回目がポイントであった)

10月の納期限が近くなるなか、株式市況が悪化したため、延納許可申請を税理士に依頼し納期限には納付額の半額の2億5千万円円を現金にて納付し、残り2億円を延納にした。10月に延納申請したのはリーマン・ショックで株価が下落し納税資金が不足することになったためである。

 

(依頼者の言い分)

税理士が物納について説明をしてくれないから、自分は物納ができないものと誤信して(第3回売却で)物納収納価額よりも低い相場で株式を売却することでの納税を余儀なくされた。物納の収納価額と売却額の差額6974万円が損害額であるから支払え、と訴えた。注:依頼者は父の相続の際、物納をしておりこの主張は??である>

 

(税理士の言い分)

依頼者が株式を第1回、第2回に売却した時期には(相続)財産目録も未完成の状態であったから(納税額すら不明であり)物納の可否について確答できる状態ではなかった。当方も依頼者が株式を売ることは予見できなかった。物納についての結論を示さなかったために損害を依頼者に与えてはいない。

 税額が確定した8月に納税額を説明して金銭での納付書を渡した際には、依頼者は金銭での納付が困難であることや、物納の話題は依頼者からは一切出なかったので物納の話も出さなかった。

 

(結 末)

8月に納付書を渡した際に税理士として、株価が相続開始時の価額より下がった場合には市場で売却するより物納の道もあることを説明して検討すれば「第3回売却に至らなかった可能性は相当程度認められる」と裁判所では判断され第3回売却分株数に限り、その価格差につき税理士に損害賠償を課した。なお依頼者側にも、泡よくば投資利益を求める姿勢があるため過失相殺3割認定し、税理士の賠償額は7割となった。

 

(教 訓)

1、言ったことや、(この場合は物納について)言わなかったことの責任が何時から始まるのかを

  約書で明確にしないと世間話の段階からも責任を追及されかねない。

2、依頼者が聞いてこなかった点(物納)についても税理士は、遺産額の現預金を知る立場にあるか 

  ら「納税方法はどうしますか」と踏み込み遺産の現預金では不足する場合には資産譲渡(相続税

  加算のアドバイスも勿論)や延納、物納などの選択肢を一緒に検討するこが必要である。ツメが甘

  くならないためのポイントであると思われる。

 

参考:tains Z999-0170

- | 17:23 | pookmark
循環取引によって無価値になった株式を購入させられたとして循環取引に関与した各社と株式発行会社の税理士に損害賠償を求めたケース

(あらすじ)

 破産したPC販売会社の社外取締役から購入した株式が架空循環取引によって実態より株価が膨らまされていたとして、株式の購入者が売り手である社外取締役と顧問税理士に損害賠償請求をした。

 架空売り上げは関連各社を経由して計上する方法で計上されていた。

 

(税理士に対する訴えの趣旨)

 顧問税理士としてこの会社の「経理事務全般」に関与し、取締役会に提出される財務諸表等の数字の確認や法人税申告書を作成したりこの会社の株主の税務相談に応じるなどしていたから、循環取引があることを当然知っていたはずである。従って顧問税理士として循環取引を中止するよう勧告して第3者が不測の損害を蒙らないように注意喚起する義務がある。にもかかわらずこのような法的義務を行わず漫然と事態を放置した。

 

(税理士の反論)

 毎月試算表の提出は受けるとともに売掛請求書、納品書、仕入れ先からの請求書も提出を受けていたが、これ等の書類は売り先、買い先からの直接の取引しか記載されておらず売り先の先に何処に販売されたか、買い先がその先はどこから仕入れていたかは記載された書面は含まれていなかったので循環取引に気づくことは不可能であった。

 そもそも顧問税理士の業務は納税の申告であり違法行為や循環取引の有無を探求することは業務対象外であり、会計監査にも責任を負う立場ではない。

 

(結 論)

税理士の言い分を認め、不法行為による損害賠償請求を退けた。

 

(教 訓)

 隣接する業務との境界を契約書において明確にすることは必須である。比較的規模の小さい会社においては会計業務の枠に税務申告・監査業務の両方が盛り込まれるものと「誤信」する向きが多い。

 申告と監査の業務内容の違いや法的立場の違いをハッキリすることと共に、適正な税務申告をするためには会計事実の「監査」は含まれるものであるとの一般常識的誤解を排するため、申告実務に必要な会計事実の調査と「監査」とは似て非なるものであることの認識が必要である。

 

参考 Z999-0129

- | 12:32 | pookmark
死亡の3日前に証券会社の紹介で生命保険に加入したが税務署に否認された場合の責任問題

(あらすじ)

 少しでも成績を上げようとした証券会社に提案され、相続人予定者は死亡前の婦人(92歳)を保険契約者兼保険料負担者とし、夫人の子と孫を被保険者として3億円の保険料を外資系生保に支払った。その狙いはこの夫人の相続財産を減少させて相続税を軽減させることにあった。

 

 相続時申告後の税務調査で、この契約は契約者である夫人が意思表示ができない状態(保険加入契約書も息子が代筆した)で締結されたから無効であり、支払済みの保険料3億円の返還請求権が婦人の相続財産に加算されるとの更正処分を受けた。

 

(依頼者の言い分)

 原因は、亡くなる寸前の状態で支払った保険料が課税当局から否認される可能性が高いことは税務専門家である税理士なら分かるはずであり、適正な申告をする義務がある税理士(正確には税理士法人、以下単に税理士と記す)は義務違反であるから、重加算税1259万6500円+過少申告加算税16万1000円+延滞税262万4700円+申告手数料200万円の計1738万2200円を債務不履行として損害賠償を求めた。

 

(税理士の言い分)

 税理士は依頼者からもたらされる情報をもとに申告すれば良いのであり、保険契約の有効性を調査する義務も権限もない。依頼者は申告に際し保険会社作成の平成21.1.16付「支払調書」を示して生保契約が有効であると説明している。また事実として夫人の死亡後に生保会社から保険金の支払いを受けているので保険契約の有効性に疑いを持つことはなかった。

 重加算税は仮装隠蔽を原因として課されるが、税理士の申告行為と仮装隠蔽は関係はない。依頼者が負担するべきである。

 

補足事実

1、税務署は死亡した病院からカルテを取り寄せて検討したところ意思表示は無理であると判断した

2、依頼者は国税当局と争う姿勢であり、税理士に弁護士の紹介を依頼した。また、税理士は国税に

  対し不服申立を勧めた。しかし弁護士に依頼することも不服申立てもしなかった。

 

結 論

 上記補足の1で決め手になったカルテを取寄せることは税理士にはできない。税理士には依頼者からの資料しか拠るものはないので保険契約の有効性に疑問を持つ余地はない。従って税理士には義務違反はないとして訴えを退けた。

 

筆者の印象

 油断もスキもない。更正処分の後、国税と争うと息まきながら結局のところ重加算税などのツケ(ケツともいう)を税理士に振っている。

 依頼者は「お前が悪い」と税理士を指さす人差し指の下の3本の指が己(おのれ)自身を指していることに気づかなければならない

 

参考 tains Z999-0137

 

- | 15:23 | pookmark
マンハッタンの不動産譲渡代金が日本で所得税申告洩れになったケース その2

双方の言い分が異なることのほかに、次の新しい事実が認定され、決め手になりました。

 

1・依頼者にはマンハッタンの物件から得られる賃貸収入がありながら以前の所得税確定申告書にはそ

 れらの記載がないこと。

 

2・税理士は過去の確定申告書を見ながら申告書に記載されている以外に収入はないか確認を求めたこ

 とは確実であること。

 

3・所得税確定申告時期に入って(期日間際に)所得税申告の依頼をした際に、税理士に交付したメモ

 にマンハッタン不動産の賃貸料や(譲渡)代金の記載がないこと。

 

4・依頼者側は打合せの際に「10センチメートルくらいのマチのある袋に1年分の原始資料を入れて郵

  した」と主張するが、この郵送料は310円しかなく、上記の量の郵便物に見合うものとは認めら

  れないこと。

 

以上が間接事実とされ依頼者の主張は採用されませんでした。前回(4月11日号)に書きました「税理士の言い分」はすべて是認され「依頼者の言い分」はすべて退けられました。

 

 その上、(要約しますと)

「依頼者は税理士にマンハッタンの売却代金で日本の不動産を購入する相談をしてはいるが、このことが税理士に米国不動産売却の認識をもたらしたとまでは言えない。税理士は国内外を問わず所得申告義務があることや外国税額控除制度があるとの認識をもって所轄税務署と折衝していることから、税理士がマンハッタン不動産の説明を事前に受けていたならこれらに話が及ぶところ、その事実は認められないと結論し、税理士に任務懈怠はないとして、依頼者の損害賠償請求は棄却されました。

 

ポイントは上記1〜4のうちの

1、のように以前の申告でも無申告というズルをしていること。

3、が示すように依頼者から出されたメモを保存していたことが身を守る証拠になったこと。

4、のように郵便の量と費用の額に矛盾があること。

 

これらの小さなことが主張を退けられる要因になっています。

 

 以上のように相変わらず「言った、聞いていない、」の部分が多いです。事実が身を守ることを心がけ、相手の出した書き物は保存することが重要です。

 

 それと「外国税額控除はしたことがない、、」と言ってもいないのに依頼者には、そのように言ったと主張のタネにされています。

 

 税理士は、言ってもいないことを言ったと言われることがあります。単なる「誤解」もあるかもしれませんが、やはり仕事柄、意図をもって揚げ足を取られることを警戒すべきでしょう。

 

 不正確な表現や否定的な言い方は絶対にしてはならないことです。謙遜の意味合いで軽く言ったにしても相手にはそのように取られることは稀であり、逆にねじって取られかねません。ネガテイブな表現、あいまいな表現、へりくだっての物言いはすべて足もとをすくわれかねません。

 

参考 tains Z999-0136

- | 09:01 | pookmark
マンハッタンの不動産譲渡代金が日本で所得税申告洩れになったケース

 このケースは依頼者と受任した税理士との言い分が全く対立しています。事実はどうなのでしょうか。

双方の言い分の要旨をまとめます。その前に問題になったストーリーを要約します。

 

(ストーリー)

 依頼者は、マンハッタンに9年間所有していた不動産を売却して米国連邦税と州税を支払った。我国の所得税確定申告において、この米国不動産の譲渡所得が入っていないと所轄税務署から更正処分を受けるとともに住民税も追徴されました。

 

(注)日本では全世界所得に対し課税されます。米国も同様ですのでここに二重課税の問題が出ます。この調整のために日本では米国での納税分を<二重課税にならないように>外国税額控除として控除できます。

 

 損害請求額は外国税額控除を受けられないことによる余分な税金1446万円+過少申告加算税及び延滞税255万円+他の税理士への助言費用31万円+弁護士費用173万円=1905万円であるとして依頼者は、受任した税理士に賠償を求めました。

 

(依頼者の言い分)

・米国不動産の売却益が出たので米国で多額の納税をしたことの説明をし、米国公認会計士試算による

 米国税額を伝えた。

・その上、米国不動産売却代金をもとに日本国内での物件購入計画まで相談していた。

・税理士は米国で納税していれば日本での納税は不要で特に手続きも不要であると「軽信」していたた

 め外国以税額控除の適用を怠った。

・更に、米国で納税しているから日本で納税する必要はない、安心して良いと言った。

・その上「私は外国税額控除はやったことはない」「日本と米国との税額に差額が出ない場合は申告は

 しなくてよい」といった。

 

(税理士の言い分)

米国不動産売却のハナシは聞いたことがない。

・依頼人の会社の決算と法人税の申告は依頼され、受けたが個人の確定申告については依頼はされてい

 ない。話も聞いていない。

・国内物件を購入し、法人と個人のどちらを所有者とするのが良いか尋ねられたが法人の決算をまとめ

 ただけで個人の状況は分からないから明確な回答はできない旨伝えた。

・米国公認会計士の税額試算を伝えられてはいない。

・依頼者は「米国で納税したから日本で税金を払う必要はないのではないか」と述べたが日本に生活の

 本拠があれば日本で納税する必要があると説明した。

・「外国税額控除はしたことがない」と自分が言ったと依頼者の主張は否認する。

・その後、所得税確定申告時期になって所得税申告の依頼を受け資料も受領したのは事実であるが米国

 不動産の件は聞いていない。所得税確定申告の報酬は(消費税別)2万5000円であった。

 

参考 tains Z999-0136

- | 09:03 | pookmark
ハワイのコンドミニアムとハワイ預金の申告洩れ まとめ:どうすればよかったのか?

 このケースではハワイにコンドミニアムのほか株式や預金など計3億5700万円の財産があり申告洩れになっていました。 

 国税局は依頼者である納税者にも税理士にも、共に不明確な申告をした理由で重加算税を課し、裁判所は出合い頭の交通事故のように過失相殺として損害賠償の7割方を税理士に負わせました。

 

 納税者である依頼者は税法の知識がないことが防御の盾になり、税理士は専門家として適正な申告をする義務がある点、責任が重いと判断されたようです。

 

 重加算税の必須要件は故意性です。過失は重加算税の必須要件ではありません。この意味から故意(意図)を認定されないことが重要です。

 

体験上からも以下のことができておれば、このような問題は起らなかったと思いますので列挙します。

 

1、依頼者の言うことを真に受けない。

 誰でも税金を払うのが嫌になっています。少しでも税金が少なくなればとの思いからと、できれば隠し通せられるものならそのまま見つけられずに済ませたいと思うのが人情でしょう。税金の前では人間は豹変するものです。税理士に気づかれなければ税務署にも気づかれないのでは、との潜在意識が働くと思われます。

 

2、銀行預金の相続日前はもちろん過去に遡って資金の移動を確認

 利息やファンドの分配金がヨソから入っていないかも含め、知れている全預金間の動きを表にして整理して全体を概観することは必要でしょう。

 そこで表に表れていない預金などの手掛かりがあれば依頼者に根拠を求めましょう。手がかりがなければ預金のリストを作成し「これがすべてです」との確認の一筆をいただくことが必要です。

 

3、あれもこれも自分一人でしないで専門家のチームで。

 不動産については司法書士の先生に依頼して全部事項のリストや相続人関係図作成を依頼しましょう。海外資産に関しては銀行の外国窓口や渉外法律事務所に「遺産の調査」をしていただくことが有効でしょう。費用は依頼者が負担するのが筋道です。

 このケースでは海外の不動産や株式の購入を媒介した専門家(会社)がいる場合にはそれらの機関に協力をしてもらうように依頼者に働きかけることは必要であったと思います。

 

4、分担して集まった資料を申告書に反映するのが税理士の役割。

 集まった資料の精度を入念に見直すことは「相当の注意義務」を果たすためには必要でしょう。

 

依頼者への最終報告のさいには「ストーリー」にして書いたもので報告。

 その中身は、どのような手続きで集めた資料を基に、租税法のどの条項を適用し、根拠は何に依拠したか、その結果として納税額はいくらになったかがストーリーとして依頼者に分かるように説明しなければ到底理解は得られないと思います。さもないと相互理解ができず請求する報酬も未収になりかねません。

 

6、税理士職業賠償保険

 「重加算税が課されたことに起因する賠償責任」事案には保険金は支払われません。もちろん過少申告加算税、延滞税も支払われません。

 上記の手順を行うことに同意していただけない依頼者にはお断りすることが必要でしょう。さもないと、このケースのように約370万円の報酬を得ても7423万円の賠償責任を負うことになりかねません。

 

参考 tains Z999-0131、0134

 

 

 

 

- | 09:02 | pookmark
ハワイのコンドミニアムとハワイ預金が相続税の申告洩れであったケース:重加算税がキーワード

重要な点はこのケースで重加算税が課されている点です。

 

 重加算税は、仮装隠蔽がされた場合に課されることは前に記しましたが、更に詳しく見て行きまししょう。

 

 根拠になるのは国税庁ホームページでも見られる「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営方針)」です。運営方針ですが国税内部組織への通達です。法律ではありませんので納税者に向けて規制するものではありませんが、重加算税の賦課は国税がしますから、この事務運営方針で重加算税が課されるか否かが決まってきます。一旦課されたら不服審査手続きや更には取消訴訟で国と争って勝たなければ処分の取消はされません。

 

 このケースでは税理士も死亡しているからか重加算税について争っていないようです。

仮に重加算税が課されなかった場合、損害額はどのように変わったでしょうか。

 

重加算税が課されなかった場合の損害額

1、配偶者の相続税額の軽減が受けられますから追徴税額6101万円は生じません(遺産の分割がされていない場合は配偶者の相続税額軽減はもともと適用されない、との私の指摘はここでは一旦、脇に置きます)

 

2、重加算税は増えた税額の35%が課されるのに対し、過少申告加算税15%で済みますから逆算しますと1,929万円の税負担で済みます(重加算税額4503万円÷0.35×0.15=1,929万円)

 

 このように損害額は配偶者軽減分6,101万円→ゼロ、重加算税4503万円→1929万円となり、合計で1億0605万円→1929万円で収まります。

 

 国税庁の事務運営方針が示す「不正事実5項目」の(1)から(3)は相続財産の改ざん、偽造、変造、価額圧縮などですから該当しません。該当すると考えられるのは(4)の相続人や税理士らが「課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことが推認できる」場合や、(5)の「課税財産が遠隔地にあったこと、を利用してこれを申告しなかったこと」が該当すると考えられます。

 

 重加算税を課した国税局は、依頼者(納税者)と税理士のどちらが主導したかにかかわらず(どちらであっても事実として(4)や(5)に該当するので課したものと考えらえます。

 

 ここで注目すべきは、法人税や消費税などと異なり、相続税の場合に限って不正事実を行なう主語が「相続人又は相続人から遺産の調査、申告等を任せられた者(以下相続人等という)」と一括りにされている点です。ここで「相続人から遺産の調査、申告等を任せられた者」の意味する範囲ですが申告を任せられた者とは税理士しかいません。偽税理士も含まれると考えますが、このケースでは税理士が該当します。

 

 しかし「相続人から遺産の調査を任せられた者」の範囲は広いです。銀行やその他のお仕事も含まれるでしょう。この点は、本当の原因を作ったヒトが隠れている可能性があります。

 

 表に出た依頼者(相続人)と税理士双方の不明瞭さが多額の損害賠償の火種になりましたが、このケースにはもっと別の問題があるかもしれません。穿って言いますと表にでた両者のどちらかが、或いは他の誰かが嘘をついていた可能性は否定できません。

 

参考 tains Z999-0131,0134

- | 11:27 | pookmark
ハワイのコンドミニアムとハワイ預金が相続税の申告で洩れていたケースの問題点 (続)

 損害賠償額の中味は4月3日号のように「重加算税4,503万円」+「配偶者に対する相続税額軽減条項の適用を受けられなかったことによる追徴税額6,101万円=1億0605万円でした。ここに依頼者の過失相殺3割を乗じて7423万円の賠償になりました。

 

 税理士は税務専門家として適正な申告をする義務があるところ、踏み込んで海外資産(ハワイのコンドミニアムとハワイ預金、以下同じ)の資料の提出を求めるべきを、その任務を怠り国内資産の資料のみで相続税の申告をした注意義務違反がある、という理由です。

 

率直な疑問があります。順次詰めて行きましょう。

 

・依頼者側は海外資産の存在を知っていたのに税理士に積極的に資料を開示しなかったとの理由で過失相殺3割、税理士の責任7割はオカシイのでは?

 

・税理士側の、提供された資料によって申告するので良い、との姿勢は一般的な注意義務の水準であると思います。しかし税理士は税務調査官ではありませんので調査権はありません。このような調査義務を超えた義務を課すことは、委任契約の範囲を超えているのではないでしょうか?

 

依頼者の税金を税理士が賠償として肩代わりする義務があるのか?

 

・重加算税がかかる要件は隠蔽・仮装です。果たして隠蔽、仮装の事実があったのか?

<国税庁の「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営方針)」では隠蔽仮装の例として相続人等(税理士も含まれると考えます)が資産を隠匿した場合が挙げられています>

 

・配偶者の相続税額軽減の適用を受けるには、遺贈された場合は別として、海外財産が配偶者に分割されていなければなりません。所在が明らかでない財産が分割されていることはあり得ません。相続税額軽減を受けられなかったのが損害賠償の理由の一つですが軽減条項の適用を受けられないこの場合は「損害」を与えたと言えないのではないか?

 

・一般には納税する側は税額を少なくしたい気持ちが働くものです。それが自然のところ、税理士はその流れに乗ることはなく積極的に隠匿に協力してはいません。

 

 

 

 

 

 

- | 09:15 | pookmark

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