数字が語る事業の潮時、変わり時 - AI・RPAの先にあるもの

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税務会計 フォアユー パートナーズは、仕事の質で貢献する税の専門家集団です。日本経済がどうであろうと、関与先各社は利益を生み続ける、そんな集団でありたいと日々関与先サービスに努めております。

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『会計力』が事業を育てる ─会計土木®の現場から─
経営の要点を数字の観点から読み解くブログ。完結しましたので当所のHPに移設しました。
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事業の棚卸をして何が見えてくるか

(営業循環の範囲外の勘定科目についての棚卸)

 手許に試算表がなくても法人税や所得税の申告で前期の決算書がありますから、ここではそれを見て手掛かりにします。

 

□流動資産の部には、前回に挙げた科目以外の科目があります。仮払金や前払金です。これらには支払う根拠が手許に伝票や契約書の形で存在するはずです。その根拠書類がすぐわかるところにあることが重要です。誰の指示でどこに支払ったのかもわからない、探さないと分からないのは失格です。

 現金出納帳や預金の支払欄を遡れば買掛金の支払先ではない名前が出てくると、その証憑を見ることでヒットします。

 

□このほかは固定資産です。固定資産台帳の番号通りに実在しているのか一々当たることです。現場に機械があるのに固定資産台帳にないものがあれば原因を調べましょう。

 

 リース物件であれば貴社の所有ではありませんから固定資産台帳には載りません。又は中古品で30万円未満のため消耗品費で処理した場合も固定資産台帳に載りません。また除却したものの未処分で工場に置いている場合は、除却した場合に固定資産台帳から削除したならこのような不一致が出ます。

 

 上記と逆に固定資産台帳に載っているのに機械が実在しない場合はどう考えますか。機械を除却したり売却して固定資産台帳から削除し忘れた場合もあるかもしれません。最悪は内部での「機械の横流し」です。

 

ともあれ実在と固定資産台帳とはリースなどの例外を除いてきちっと数を合わせておきましょう。

 

□投資有価証券や生命保険掛金などが前期の決算書にあれば証券を確認します。

 

以上で資産の部が網羅的に調べられたことになります。

 

 この目的は「事業継続の可否」を確かめるためですから固定資産には時価をつける必要があります。時価とは売却可能額です。凡そで良いです。電話加入権などは回線1本5千円またはあっさりとゼロにしておきましょう。

 

<予 告>

来週はお盆休みに入りますので休載させていただきます。8月17日から再開します。

- | 07:46 | pookmark
試算表の代わりに事業や会社の棚卸をしてみる

 試算表の示す数字に惑わされないためにも、ご自分の手であたかも棚卸をするように資産負債を調べてゆきます。

会計事務所から試算表がなかなか来ないなどとおしゃっている間に事業の事態は急速に悪化しているかもしれません。

 

 これからご説明する方法で事業を解剖するような気持で大ナタを振るいましょう。その結果事業を閉じたら幾らの金額が残るのか、残らないのか、さらにそこへ税金が追い打ちをかけるのか、などを考えるための手掛かりができます。

 

(手 順)

 営業をされると資金が循環します。この循環に沿って、ご自分が一緒に歩いているように冷静に景色を見ながらメモしてゆかれるのが良いでしょう。

 

営業循環の過程は下の通りです。

、手許現金→、仕入(買掛金の発生)→、在庫→、営業活動の諸経費支払→、販売の約束が取れた(売掛金の発生)→、在庫品の納品→、売掛金の集金→、仕入代金(買掛金)の支払→、諸経費の支払→10、人件費の支払→11、源泉税や法定福利費の支払⇒再び2、仕入(買掛金の発生)へ

 

 この流れに沿って次の順序で腰を据えてご自分の手で確認してゆきます。

社長さんはイロイロお忙しいからこのような「作業」は面白くないかもしれませんが「神は細部におられる」の例えのように、普段は見えない意外な発見がある場合が多いです。

 

 こんな(無駄な)ことをしていたのか、と慨嘆される場合が結構あります。商売のセンスがある方ほどこの落差が大きいです。まずやって見られることです。

 

チェックリストにします。

 

□ア:現金や預金の残高を確かめます。金銭出納帳の帳尻と金庫の通貨は合っていますか。

 

□イ:在庫品の数量を調べます。この時、規格落ちや劣化して、とても売れないモノは数量から外します。そのあと最近の仕入単価を数量に乗じます。

 

:売掛金の確認をします。貴社発行の納品書と請求書(鑑)を使います。前日までの入金があったものは残高は残りませんが、数か月も入金がないままの売掛金は要注意です。支払いの催促をしなければなりません。相手先に乗り込むことも必要です。どうしても回収できそうにない部分の金額は残高に加えないで「特設ポスト」を作って別に対応を考えましょう。状況によっては債権放棄も考えなければならないかもしれません。払いが悪い得意先を作らないために約束はきちんと守ってもらいましょう。これからはこのような約束が守れない得意先が多い事業体は資金難に陥ります。甘いカオ、ヌルイ態度は厳禁です。これらが不良得意先を生む元です。

 

□エ:買掛金についてもきちんと約束通り支払われているか残高と先方からの請求書と突合せしましょう。

 

□オ:未払金は継続的な仕入とは別の継続のモノの購入代金やサービスの代金でまだ支払期日が到来していないものです。自動車を修理してもらった代金などが例です。これも先方からの請求書又は納品書の束を確認して集計します。

 

□カ:社会保険料などの事業者負担分や給与源泉税の未払額を確認します。

 

<次回予告>

営業循環に添った手順は以上のとおりですが循環以外の資産や負債を調べる場面に入ります。

 

- | 07:54 | pookmark
目の前を見るとともに、これまでの積重なりの結果も見ましょう

目の前の現金が何処から流れてきて何処へ行くのかは前回の算式で流れが見えます。この結果がプラスであるからといってそこで検討をやめてしまうことは良くありません。

 

また算式の結果がマイナスでも落胆されることはありません。事業の継続に赤信号が灯っているだけであり、急に事態が悪くなるのでもありません。

 

青信号の場合は当面はキャッシュが回るという意味です。赤信号の場合はその逆です。では「当面」ではなくもっと継続して強靭にキャッシュが回り、さらに増えてゆくのか、逆にキャッシュ不足でドンドン追い込まれてゆくのか当面を突き抜けた先の姿を知る必要があります。

 

(試算表と決算書!!なくても分かる方法!)

この時に試算表と決算書を使います。試算表は月々作成されるものですが、現実はこれがナカナカで「試算表?なにソレ?」とおっしゃるかたや「税理士が作ってくれない。作ってくれても見方が分からないから保存だけしている」というかたが多いのです。

 

それでも構いません。「自分で試算表の近いものをおつくりになる方法」をお示しします。なお、税理士さんに依頼しているが遅いばあいはその理由を考えましょう。まず考えられるのは遅い原因があなたや会社側にある場合が結構あります。

 

試算表を税理士事務所が作成するための経理資料が遅れているからです。この原因は経理システムが古臭いままである場合やPC会計を採用されていても無駄な手順が多く結局手間がかかっている場合が多いです。

 

社長さんから、経営の相談を受けた時、ウチの税理士は仕事が遅いと愚痴を聞かされる場合がありますが、多くはその原因が税理士にはなく会社や事業者にあります。実際に現場に切り込んで改善を提案してくれる税理士さんもおられますが、少ないです。

 

顧問料が定期に入ってくるから切り込んでゆかない税理士事務所もあります。また「外部からウチの経理の内部にまで切り込んでくれるな」との会社や事業者もあります。

 

その場合は、原因は社長ではなく会社の経理係にあります。自分の仕事にくちばしを入れられ省力化されることが困るのです。自分の立場がなくなるかもしれないからです。経理にうとい社長はそこで引き下がります。

 

<次回予告>

「自分で試算表に近いものをおつくりになる方法」はこのような社長さんのためワカリヤスク説明します。

 

- | 08:51 | pookmark
現金を生むチカラがありますか

足もとをみる場合に一番見るべき点はお分かりですね。キャッシュです。

 

今あるキャッシュのルーツは何処でしょうか?1、過去の売上から仕入れや諸費用を引いた「利益」である場合が多いでしよう。中には2、最近の給付金や公庫などからの借入金が目の前の現金のモトである場合もあるかもしれません。

 

1だけが事業継続のチカラです。2はあくまでも一時しのぎでありコロナでの借入金はやがて返済しなければなりません。

1の事業継続のチカラを測定してみましょう。

 

算式で見てみましょう。

なお下の算式での<前月以前に生じた売掛金・未収入金>のうち滞留している不良債権はないものと考えます。

 

「或る月の売上高+前月以前に生じた売掛金・未収入金ー或る月の仕入高ー前月以前に生じた買掛金・未払金ーその月の人件費・賃借料・その他の固定費ーその月に返済する借入金・利息=?」

 

(算式の説明)

?がプラスになればOKです。マイナスであれば事業の継続に赤信号が灯っているとお考え下さい。

売上高と前月以前の売掛金・未収金の合計額がこの算式の答を決めます。

 

この答えがプラスになりそうもないなら、売上の中味を変えたり(新しい商品やサービス)される対策の道があればともかく、それができないなら近いうちに事業を停止することの決断をされることです。事業を停止するとは破産に追い込まれないうちに自分の手でゴールに行くことです。これにも計画と時間が要ります。決断がなければ瞬く間に数年が経ってしまいます。

 

オリンピックから万博という時期が50年前にありました。今もメディアや行政がオリンピックや万博のプランを宣伝していますが、時代は全く違います。日本経済が力強く昇り龍のように上向いた時代ではありません。アジアの国々にも後れを取るだけでなく良いところを持って行かれるばかりで勢いはありません。

 

現実を見ての決断が大事です。

 

<次回予告>

決断するにはもう一つの要素があります。事業を閉じたら幾らの金額が残るのか、残らないのか、そこに税金がかかるならいくらか、あたりまで見る必要があります。

 

- | 08:32 | pookmark
足もとも見ましょう

気を付けたいニュース・・・事実

 

1、アメリカのGDPが過去最大のマイナス32.9%減→米国での失業者増と日本への影響

2、日本の4-6月期決算は赤字拡大又は減益→雇用の流動化(配置転換や早期退職)

 

以上の事実から銀行の対応がどうなるのかが気になります。

現在はコロナ対応で資金が行き渡っていますが、これから先において収入減が原因でのマンションなどの個人ローンの滞留と事業者事業会社の返済猶予の要請が増加するとみられます。

 

今年のどこかで、銀行融資が厳しくなると予測して対応を考えることが大事です。

 

するべき準備

粗利益の月別予測をするための売上の控えめな予測

□現状での固定費の月別支出額の算出

□借入金の月別返済額(元利合計)の把握

□以上から資金が何月まで回るのかの予測

□法人税の予定申告、所得税の予定納税や消費税の中間納付額が予測から洩れておれば慌てることになります。注意しましょう。

□決算期を迎えた法人では貸倒引当金の個別評価による繰入を試みます。

□売掛金のすべてにつき回収速度の見直しをします。

 

以上の検討結果を実際にエクセルに入れたり、ノートに丁寧に書き込むことが重要です。経営者は頭の回転が速いのでクルクルと数字を頭の中だけで回すことで、分っているとの境地に立ってしまいますが、丁寧に我が社の数字を地を這うように、泥臭く整理するほどに見えていなかった点が見えるかもしれません。

 

<次回予告>

一旦考えを底の底まで巡らせ、もう打つ手がない、ところに行くことです。そこへ行き着かないママ、頭の良い人ほど特に手を打つことをされない場合があります。

 

あまり先まで見るだけで行動できない、を避けるため、例えは失礼ですが、犬が道を行くときに目の前だけを見て歩くように、時にはこのように目の前だけを見ることも重要です。そこで何に気付くかです。

- | 08:19 | pookmark
新ブログ「数字が語る事業の潮時、変わり時」 始めます

(はじめに)

 不透明な先行きを出来る限り予測し、その上で、日々起こる現象から「予測」を柔軟に変更して誤りのない針路を見付ける必要があります。

 

 コロナと付き合いながら感染を避けつつ、時代の先行きからブレないように舵取りすることが重要です。そのためのお役に少しでも立てば何よりと思っています。

 

Q:では、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか

 

A:大事なことは経済の動きです。この動きがすべてを動かします。政治も経済に連れて動きます。

事業の先行きを見るためには経済がどう変わってゆくかを身近なところから材料を拾って自分の頭で考え、先を見極めることに慣れることです。

 

 その際注意しなければならない点は、他人の情報を鵜呑みにしないことです。国がこう言った、大新聞がこう書いてた、大学のエライ先生がこうおっしゃっていた、著名な文化人や評論家さんがTVでこう言った、などです。「他人の見解や評論」を先に立てるとすべてその色に染まってしまいます。

 

 上記の情報発信される方々には色んな立場があり、その立場は外国を含む政治的な影響のもとにある場合もあります。

 

Q:では、そのためには何をよりどころにすれば良いのでしょうか。

 

A:事実か事実でないか、それだけです。事実は数字で示されることが多いです。また映像でも見れます。これらには「概ね」ウソはないでしょう。

 なかなか我々庶民は報道や意見の裏づけになる事実を知るには限界があります。それでもエライ人達が仰ることが「事実でないかもしれない、事実からズレているのでは」との疑問を持つことです。新聞もTVも雑誌の記事も他人が書いたことは鵜呑みにしないことです。

 

 今ハッキリしていることは、コロナの補償や給付金などで国も地方も財政が厳しいし、これからも厳しくなることです。これは「事実」です。給付金などの補償額の総額は新聞でも読み取れます。そうすると、こうなれば、次はどうなる?ココが考えどころです。

 

これから一緒に先行きをみて予測してゆきましょう。

 

<チェックリスト>

□コロナ対策の補償額は国の予算と比べてどれくらいの規模でしょうか

□地元の府県についても同じように比べましょう

□財源は何処から出されるのでしょうか

□国の借金はGDPの何倍ですか、このことでどんな影響が出てくるのでしょうか

 

 

- | 08:43 | pookmark
納税者の品格と税理士の立場・・・22<最終回>

(問題の制度設計・・・まとめ4)

 

3番目の疑問点

 納税額の過不足は最後は会社経理に反映される。会社経理の主人公こそが重加算税負担の原因を作った人物ではないか、税理士は主人公か?

 

このことにつき結論を示し、次にその理由を書く。

 

結論:税理士は、会社経営の物語を紡ぐ経理の主人公ではない。重加算税を負担するのは主人公である納税者法人である。

理由:会社の経理は会社がした行為に含まれる意志の集約である。意思は仕訳を通じて1、利潤計算の側面と2、会社財産(財政状態)の側面の2面で示される。1は事業年度ごとに計算され2の貸借対照表に累積的に反映する。

 申告書に過不足があることが判明した場合「過」の部分も「不足」の部分も終局は貸借対照表に集約される。そもそも当初の申告内容も、税務調査で明らかになった過不足も含め会社経理には会社の森羅万象が記録され、これらの実在を示す貸借対照表の中味は会社に帰属する。

 税理士の立ち位置は委任を受けて申告の代理をした立場である。会社経理が示す資本の活動の外にいる。会社資本の活動を仮装隠蔽して不正経理をした結果、重加算税が賦課されることになっても行政制裁を受けるのは資本の活動を行った主人公であり、外側に居る代理人が課される筋合いはない。

 税理士が記帳代行していた場合も引き取ったデータが不正である場合は、引取データを保存することで、税理士が手を加えていない事実を証明できれば免責になる。

 

(会計の面から加算税に注意する点)

 会社において加算税が課される場合には裁決例の売上除外のような派手なもの以外に事業年度ごとの収益や費用の帰属や引渡基準の適用などが原因で加算税が課される場合もある。基礎になる公正会計基準は相対的真実性を求めるため、慣習や見解の相違で加算税が課される場合もある。加算税を税理士に付替え課税すると依頼者と税理士との紛争が多発する誘因にもなる。

 

 以上を防止するには税理士法33条の2の「添付書面」を使用することが税理士として最上の道である。納税者のレベルが多岐にわたる中で最も有効である。この書面には「提示を受けた帳簿種類」「計算し整理した主な事項」「相談に応じた事項」が備わっているため税理士の業務の最初からの一連の詳細が記されることになる。徹底することで不服申立や訴訟などの多発は防げるのではないだろうか。

 

 題材にした裁決例の税理士がこの書面を作成すれば、預かった資料には現金売上に関するものはなかったことが明白になり、納税者法人に、不服審判所にて「現金売上が申告で洩れていたのは、税の専門家である関与税理士が(中略)説明や指導を十分行わなかったことによるものであって、その責めを経営者に負わせるのは酷である。などの本末転倒の言い方をされることは防げたと考える。

 また税理士法35条1項並びに2項で、調査前と更正前に税務調査官に対して、国税不服審判所では審判官に対して、意見を述べる機会が与えられたのである。もっとも仮払金を勝手に売上原価に振替えたり、売上を勝手に追加計上した点を記することは躊躇したかもしれない。   

 

「別の制度設計」に関して)

 別の大学教授が「税理士による不正事実通報制度の創設」を雑誌にて提案されている。この提案内容は税理士に課せられた守秘義務に反するだけでなく、納税者と税理士の関係に不要な楔を打ち込むだけである。裁決例にあてはめれば、この税理士は納税者法人が1700万円の売上を除外していることは知らないので、このような通報制度が実施されても通報しようがない。この制度の効果はない。カラ舞いである。むしろこの納税者法人のようなワルサをする「普通の納税者」に税理士への警戒感を植え付けニセ税理士に走らせることになるように思う。

 

 これまで検討してきた「問題の制度設計」は納税者が税理士を試そうとする姿勢への視点が欠けていたが「別の制度設計」は税理士を税務署の予備ないし補助機関化しかねない点に問題がある。通報義務が課せられる税理士には「納税者への検査権」も備わらないと機能しない、がこうなれば将に補助機関である。税理士が税務署と同じ位置に立てば、納税者の回りは徴税機関ばかりで、いったい誰を頼りに自分の申告相談をすれば良いのか困ることになりはしないか。

 

 税金は、いろいろな納税者の生活に密接に絡みつくゆえに、人間の多面性や究極の本性が垣間見える。ナマの納税者に接しない立場からの「制度提案」であっても、世間の、市井の人々の暮らしへの視点も要るのではないだろうか。納税者から「試される」税理士ではなく、信頼を得た代理人である税理士と税務署の間で納税者への適正な課税額を巡って相互チェックしてゆくのが妥当と思う。<完>

     

 今回でこのシリーズは完結しました。お読みいただきありがとうございました。    

 

<予告篇>・・・「数字が語る事業の潮時、変わり時」・・・

 しばらくお休みをいただき7月31日から始めます。コロナで世の中が急速に、しかも世界的に変わってゆくのが日々実感できます。欲望を制御できないまま走ってきた反動が始まると思います。この影響が税や会計の面にどのように現われてくるのかに焦点を当てます。

・コロナの影響:罹れば200人に一人が死にます

・景気の下落:特にアメリカ経済の負の影響がじわじわと波及

・中小企業は良質の人材確保が困難に、雇用から崩れてゆく

・政府債務の対GDP比upから円の信認低下、貨幣価値下落、実質賃金下落の先は、もっと粗利率低下

・金利上昇は国債原因よりリバーサル・レートが契機になり借入体質企業を直撃

 

避けることは

1・破産に追い込まれないこと

2・事業を「やめるにやめられない状態」に陥らないこと

3・流れが速い中、スグ色あせる事業内容、ヒトの目気にして拡張拡大する時代ではない

4・できれば早期に縮小化または廃業したほうが傷は浅い

 

目の付け所

・手始めは事業のサビ落とし、白蟻(内部不正)の有無チェックと払い過ぎの税金の取戻し

・「こんな兆候」が数字に出たら黄信号、こうなったら赤信号

 

- | 08:25 | pookmark
納税者の品格と税理士の立場・・・21

(問題の制度設計・・・まとめ3)

 前回に「問題の制度設計」が示す内容を裁決例を題材として検討した場合に「残る問題」として3つの疑問点を挙げた。

1,2は加算税の性質から考えるものであり3は会社の経理から問題を詰めようとする。

 

1番目の疑問点

 重加算税を納税者法人に課すことに替えて税理士に課すことで、納税者法人が重加算税を免除される理由は何処にあるのか?

 

2番目の疑問点

税理士が納税者法人に代わって重加算税を負担する道理と法律上の根拠はあるのか?

 

3番目の疑問点

 納税額の過不足は最後は会社経理に反映される。会社経理の主人公こそが重加算税負担の原因を作った人物ではないか、税理士は主人公か?

 

以下に結論を示し、次にその理由を記す。

1、結論:納税者法人が重加算税を免除される理由はない。

理由:重加算税が課された原因は1700万円を隠蔽したからであり、その行為は当該法人のした行為に他ならない。この裁決例では税理士は蚊帳の外であったが、たとえ税理士が積極的に売上除外を提言し除外行為に参加したとしても納税者法人が重加算税を免れることはない。事例として取締役と監査役が会社代表者に報告せず隠蔽していた場合でも重加算税は納税者法人に課され取締役や監査役に課されることはない(国税通則法精解673頁)。代表者は会社業務に関する一切の権限を有する(会社法349条4項)から当然の帰結である。

 付帯税が本質である重加算税は本税(本例では法人税)の納税義務者付帯して課される。米国では不正に過少申告した場合、納税者だけでなく税理士にも千ドルまたは申告手数料の50%かいずれか多い金額の罰金が課されるが税理士に課されたからといって納税者が免除されることはない(税法学566・235頁)。

 米国のある大学教授がしたためた論文にはany penalties or interest that would otherwise be  assesed against the taxpayer should be assesed,instead against  the preparer(以下略)と納税者(tax payer)の代わり(instead)に税理士(tax preparer)に負担(assess)させよとあるが、公式なものではない。

 

2、結論:税理士が納税者法人に代わって重加算税を負担する道理はない。法律上の根拠もない。

理由:重加算税を含む加算税は税務申告の適正性を保つために納税義務者に課されるものであり不正な申告書を作成したとしても税理士が納税義務者でもないのに重加算税が課されることはない。税理士には別の制裁がされる。

 もしこのような制度が実施されたら今以上に過少申告が増加し税理士にペナルテイを肩代わりさせようとすることが横行すると考えられる。加算税の立法趣旨である「申告秩序維持のため(中略)納税義務違反の発生を防止する」ことの逆になる。

 

<次回予告>

3番目の点に触れ、その他補足説明を行う。

 

 

- | 08:28 | pookmark
納税者の品格と税理士の立場・・・20

(問題の制度設計・・・まとめ2)

 

 問題の制度設計が税理士に要求する「情報収集」に加え、「課税実務の取扱いを調べたり、裁判例を調べたりすること」や、「依頼者に対し内容の説明やリスク説明をすること」は税理士によって(程度の差こそあっても)実施している場合と、対照的にTAINSで開示される裁判例のように全くしないで事務員任せにする例もある。

 

 一方依頼者側では、意図をもって情緒的な会計データを出す依頼者にとっては「問題の制度設計」が税理士に求めるような内容説明やリスク説明は形式の世界であり、内実はない。税理士が用意した内容説明のペーパーは顧みられることなくゴミ箱行きであろう。シュレッダーにもかけられないかもしれない。その内容が事実でないゆえに切り刻む必要すらない。ゴミなのである。内実がないところにリスク説明をしても聞く方は馬耳東風である。

 

(裁決例の税理士の場合に当てはめる)

1、裁決例の税理士はリスク説明も内容説明もしていない。そのような場は想定すらできない。勝手に売上げを追加計上した税理士と、税理士に隠して売上を除外した依頼者法人の双方に対話は成立しない。会話があるとすれば、キツネとタヌキの対話でしかない。

 

 要するに歪んだ会計情報を税理士に提供する依頼者に対して「問題の制度設計」が内容説明やリスク説明を税理士に要求してもカラ舞いなのである。

 少し有効なのは、意図なく(不十分な)会計情報を提供した依頼者に対しては、気づかなかったミスを知るきっかけになって、誤りの事前是正の機会ができるため必要であろう。

 

2、税理士を騙せば税務署も騙せると考える依頼者がいる限り、加算税の負担を税理士に付け替えることは無理である。

 

 「問題の制度設計」を唱える人物(大学教授)には海千山千の納税者のナマナマしい姿が視野に入っていないのかもしれない。

 

(裁決例に関連して詰めるべき、残る問題)

1、加算税の本質

 問題の制度設計では、この税理士が加担していたら税理士に重加算税を課し「納税者法人は重加算税を免除する」と文脈上読める。

ア:加算税を併科するのでなく本筋の納税者を加算税の賦課から免除する理由は何処にあるのか?悪質な税理士が納税者に入れ智恵して過少申告をした場合でも税理士に加算税を負担させたら、主人公の納税者法人は免責になる理由は何か?

イ:逆に、税理士が加算税を身代わり負担する道理と法律上の根拠はあるのか?

 

2、会社経理の性格

 更正処分された1700万円は経理の修正を要件とせず法人税修正申告書別表4、別表5で所得に加算し、貸借対照表(B/S)勘定に影響しない場合(認定賞与などがこれに該当する)は受入仕訳を計上することはしないがB/Sに関連する場合は受入仕訳が必要である。過大申告の2000万円は「修正の経理」を必要とする。

 売上高と所得の過不足をもたらした不足額1700万円と、過大額2000万円は共に会社経理上に反映しなければ終息しない。このことは「問題の制度設計」が税理士に要求する必須要件の及ぶ限界を示しているのではないか?

 

<次回予告>

「問題の制度設計」が税理士に求める要件の適否を上記の?ごとに詰めてゆく。

 

- | 08:21 | pookmark
納税者の品格と税理士の立場・・・19

(問題の制度設計・・・まとめ)

浮かび上がった問題点

 

1、科学的な行動と情緒的な行動

 

ァ:納税者からの情報は情緒的であり科学的とは言えないことが多い

 依頼者から税理士に与えられる会計情報は科学的な正確さや真実を反映するとは限らない。会社の代表者が意図をもって会計を歪めることはよくある。歪める意図があるかないかの違いだけであるが不正確であることは否めない。歪める意図の底には嫌税感がある。

 

 会社の従業員が意図をもって自己の利益を図るため(図利目的)に情報を歪める場合もある。別に意図がなく単なるミスで事実を反映しない会計情報が税理士に提供されるケースもある。

 

イ:税理士は情緒的な会計情報に科学的な態度で接することが要求されている

 この場合、税理士が科学的に事実が反映されているかを確認するには障害がある。

その障害とは、委任「契約の限界」である。納税者が過少申告を貫徹する意思があれば、税理士が要求する資料の提供を拒むことは容易である。このような場合に税理士はそこで行動を停止するか、契約を解消し、関与を降りる選択しかない。

 

 行動を停止する場合は更に二つに行動の選択が分かれる。一つは手を尽くしたが依頼者から事実を確認する資料が入手できない場合や、回答を得られなかった場合にその事実を書面に記すことと、書面に残さない道である。

 

 書面を作成してもその内容に関し依頼者の一筆を取る場合と、一筆がない場合とで後々に紛争が生じる確率は違ってくる。一筆を取っておく場合は紛争が起こる確率は少ない。

 

2、裁決例の税理士の行動は科学的であったか

 

 言うまでもなく科学的ではない。与えられた資料に対する確認ができていない。複式簿記が持つ複眼処理を生かした網羅性の確認もしていない。経営の姿が会計に正確に反映されているのか、真実性が損なわれていないかなどの視点はこの税理士の行動からは窺えない。

 会計に対する姿勢は大きな分岐点である。うるさいことを訊かれたくない納税者は「情緒的」にこの姿勢を嫌う。経営実践が会計に反映されているかなど科学的なことは考えさえしない。あるのは損得という情緒である。このため税理士も行動停止になりがちである。まして確認文書に納税者にサインさせることも一苦労である。

 

こうして過少申告の原因は霧に包まれる。

 

要約

 税務署員がその権限で事実の解明にメスを入れることができるのに対し、税理士は、依頼者との合意の枠内でしか事実には迫れない。

 この意味から、一言で言えば申告書の基礎データは依頼者の責任である。監査法人の監査報告書には冒頭に「財務諸表は経営者の責任であり(financial statements are the responsibility of the Company management)、監査人の責任はこれらの財務諸表に関し意見を表明するものである(Our responsibility is to express an opinion)」と明確に責任の所在が分けられている。米国会計士業界が100年に亘って訴訟で苦労された結実がこの一文に凝縮されている。

 

 税務申告書を作成することは「監査」のような第3者的な立場ではない。税理士は納税者の代わりに申告書を作成する。原資料が(歪める意図の有無は脇においても)誤っている場合の依頼者と税理士の間の責任は明確ではない。

 

<次回予告>

責任の所在が明確でない中で加算税を税理士に付替えすることについて見てゆきたい。

 

 

 

- | 08:34 | pookmark

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