Q:消費税率が上がれば困難にあう場合と、潤う場合があることはわかりました。実際は還付されるグループと納税の申告の比率はどのようになっているのですか。
A:再び国税庁の消費税の統計でみてみましょう。採用しましたデータは個人事業者を省き、法人のみです。(税務統計をご覧になられると一目瞭然ですが個人事業者の還付申告の比率は、法人よりも2桁少ないです。そのため還付の特徴を把握するには不要ですので割愛しました)
平成28年4月から29年3月までの年度で還付申告の税額は3兆8407億8千万円(地方消費税を除きます。以下同じ)で、納税する申告額は15兆6205億1100万円ですから、還付申告と納税申告の比率は20%対80%です。
これを国税局別に見てみましょう。但し国税局統計はいずれも27年4月〜28年3月分です。
東京国税局
還付申告額 2兆1342億7394万7千円 納税申告額 6兆9198億7709万4千円 24% 対 76%
大阪国税局
還付申告額 5365億5364万8千円 納税申告額 2兆1479億8507万7千円 20% 対 80%
名古屋国税局
還付申告額 5577億5688万9千円 納税申告額 1兆4928億8694万8千円 27% 対 73%
金沢国税局
還付申告額 174億5001万7千円 納税申告額 2732億4595万4千円 6% 対 94%
(詳しくは国税庁統計情報をご覧ください)
大阪国税局管内が全国と同じ20:80の比率ですが、東京や自動車産業が集積している名古屋局管内は還付申告の比率が高いです。税務署単位の統計があればですが、横浜や神戸などの港を所轄する税務署では消費税の税収より還付金の方が多いことも考えられます。
税率が今後UPするほどに、東京局や名古屋局の還付の比率は上昇してゆくと思われます。
結局、消費者が負担した消費税額は、納税義務者を経由する過程で、比較的大きな企業である輸出企業には消費税が還付される反面、納税に苦慮する事業体も出てきますから、消費税は税の「自動分配機能」として働いていることが見て取れます。