中小企業でも現場の従業員さんと経営者が、本音で話し合うことは少ないと思います。
両方の立場は潜在的に敵対的です。孫子の言う「上下、欲を同じくし」にはなっていません。経済的には階級的対立になっています。
そのため経営者は孤独です。しかし一人では会社の経営はできません。従業員さんが協力してくれるからこそ、会社が動くのです。
ここで、いい気になって、なんでもうまくゆくと思ったら大間違いです。従業員さんの顔の後ろにどのような感情があるのか、見抜けることが重要です。
どれだけ待遇で報いても、裏切りは常に起こります。経営者が大風呂敷を従業員さんの前で広げても、実現できなければ、これは
一種の裏切りです。
相互に裏切りの可能性があるのです。
その現実のモトで、全社が一丸になって前へ向いて進んでゆくようにリードしなければなりません。よく似た言葉に「コントロール」がありますが、支配のような匂いがあってはいけません。リードです。
リードの基礎になるのが、現場での実務を介しての本音の遣り取りです。
よく経営計画発表会などに招かれることがあります。経営陣は大きなことを言います。それは誇大表示する気持ちからではなくて、(一緒に)いい会社にしたいと思う気持ちから出たのですが、聞く側(従業員さん) は、冷めた見方をしていることが顔に書いてあるようです。
方針発表会などの儀式や行事の場では本音は出ないと思います。
しかし、日常の仕事に関係する設備投資にかんして、社長が意見を求めている場は儀式ではありません。ここでこそ真剣に本音の意見交換ができるところです。しかも「現物」で、です。現地、現場、現物でこそ「現実」直結する話ができるのです。
この時、社長は、従業員さんとの本音の対話から次のことを知ることができます。
・熟練度
・工程の知識
・基礎知識の理解度
・訓練の要否
・安全対策の必要度
・そのほか協力関係を築くために必要なこと
それらから、設備投資してうまく回るために、不足している点が見えてきます。
資金も大事ですが、その前の段階である、上記の事柄がもっと大事です。