腰高時代の資金と税金 —大廃業時代:個別企業の現実と税制—

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課税事業者選択の届出がなかったため免税事業者になった課税期間で前期末在庫の仕入控除不可になった責任問題

 消費税では課税事業者、免税事業者の区分があり、これ等の区分を行ったり来たりする場合には繰越商品などの在庫について特別の定めがあります。

 課税事業者が免税事業者になった場合には、課税事業者であった間に仕入れて免税事業者の期間に繰越す仕入額は課税事業者の期間では仕入控除ができません。前後の2期を通して課税期間に応じて仕入控除が偏らないように制度が設計されています。従って逆に免税の課税期間に仕入れて期末に翌期へ繰越す期末在庫は(免税の期間には仕入の扱いはされていませんが)翌期の課税期間では仕入控除されることになっています。

 課税事業者、免税事業者のステイタスがまたがる場合に問題が起こりました。

 

(ストーリー)

依頼者(DVD制作会社)は、A課税期間は免税事業者でしたが増資により次のB課税期間は課税事業者になりました。この流れで行けば翌期であるC課税期間ではA課税期間を基準期間としますから(当然に)免税業者になります。

 

ところがB期の期末には大量のDVDの売れ残りが在庫として残ってしまいました。流れのままでは次期には免税事業者になりますからB期では在庫になる仕入部分は控除できません。もっとも自然な流れの免税なりのメリット(消費税がかからないという)があります。しかし在庫の額が多額な場合は「在庫をB期で仕入控除して消費税の還付を受けるメリット」とC期で「消費税が免税のメリット」という二つのメリットを比較して「還付メリット」>「免税メリット」の場合は還付メリットを受けられるアクションを起こさなくては損をすることになります。

 

このアクションとはB課税期間が終わるまでに「課税事業者選択届出書」を税務署に提出することです。これをする義務が税理士に(当然に)あるのかがポイントの一つです。

 

逆にC期間の課税売上高が大きい場合は、なんといっても「免税」ですから、売上が多くてかなりの消費税を納付するかもしれないところへ(無税)のメリットも大きいものがあります。ただしC期間に在庫投資や設備投資を依頼会社がすればこれらの金額は仕入控除されますから納付以消費税額自体が激減することもあり一概にはどちらが有利か言い切れません。

 

結局、どちらのメリットが大きいかの判断はC期間の売上や投資または費用支出などの予測が確実でないとできません。この予測をすることは会社サイドにあるのか、顧問税理士にもあるのかが二つ目のポイントです。

 

(依頼者の言い分)

・課税事業者選択届出書を出さない限り、C期には免税事業者になるのが明らかで、届出書を出せばB期の在庫の仕入控除を受けられることは我社にとって重要な判断事項である。税理士は専門家であるからこの点につき助言すべきである。

毎月当社を訪問する顧問契約であるから来社時には仕入れの確認や、来期の予測、在庫の見込みを確認し、時には質問等するべきであったのに怠った。

 

(税理士の言い分)

・依頼者が当方に要求する事柄は経営判断に属することで会社側にて行うことである。

・顧問契約書には消費税の助言説明義務は挙げられていない。月額2万円という低額の顧問料にはこのような義務は含まれない。

消費税の知識は国税庁のウエブサイトで告知されているのであるから経営者として知っておくべきである。

・C期に免税になるのを届を出して課税事業者になることが有利とは一概に言えない。C期更にはD期の消費税負担額よりB期で仕入控除することが多い場合に限られる。一般的には免税事業者になるほうが消費税法上、有利である。

・B期に大量の在庫が生じるならその事情を税理士に伝える義務が依頼者にはある。

・顧問料を低額にしてほしいという要望の条件として、会社で担当者を置いて自ら日常の経理事務を行うとの約束があった。毎月訪問して経営判断事項の予測までする義務は負っていない。

 

(結 末)

・顧問契約書には税務代理、税務書類の作成、税務調査の立合、税務相談、会計相談、財務書類の作成、記帳代行が定められ「税務に関する経営判断に資する助言指導」は定められていない。顧問料も低額であり税理士には依頼者が言うような義務はない。

依頼者である会社からの説明もない状態で在庫などの予測は不可能である。

 

(教 訓)

・顧問料が低額であるから義務の範囲も狭まる結果になって税理士は助かったが、顧問料が高額であれば顧問契約書の税務相談の文言の解釈次第では税理士が積極的に踏み込んで有利不利を検討する義務があるとの事実認定になったかもしれない。

・契約する時は、税理士は新規関与先を獲得した嬉しさから、気分が高揚し、何でもしてあげてお役に立ちたいとの親切心が高ぶる傾向にある。これは人間として自然のことではあるが、この心が却って自分を攻撃させるタネになりかねない。自分の等身大の力と受け取る報酬をシビヤーに比べて冷静な態度で臨むことが大事ではなかろうか。

 

参考:tainsZ999-0132

- | 12:01 | pookmark

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