新技術がもたらす税務と会計の大変化 AI・RPAの先にあるもの

<< February 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 >>
 
Profile
税務会計 フォアユー パートナーズは、仕事の質で貢献する税の専門家集団です。日本経済がどうであろうと、関与先各社は利益を生み続ける、そんな集団でありたいと日々関与先サービスに努めております。

サービス案内等、詳しくは当所のHPをご覧ください。
Previous
『会計力』が事業を育てる ─会計土木®の現場から─
経営の要点を数字の観点から読み解くブログ。完結しましたので当所のHPに移設しました。
MOBILE
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 国>4

1、確定的な脱税の意図と言えるのか、

 脱税の意図があるとまでは言えない。しかしウッカリしての過少申告(申告漏れ)ではなく、虚偽の過少申告(「租税法」1053頁参照)と考えられる。

 

理由1・「脱税」に該当すれば所得税法238条の罰則規定に該当し「10年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金刑が課されるが、青木さんには「仮装隠蔽」をしたこと(国税通則法68条)と「偽りその他不正の行為」(同70条4項)に該当するとの判示にとどまっている。脱税犯に適用される条項(所得税法238条)は挙げられていない。

 

理由2・判決では、青木さんが「過失によって地代収入が洩れた資料を税理士に提示した」のか、「脱税の意志に基づき賃料収入を秘匿するために資料を税理士に提示したのか」区別することができないから、いくつかの間接事実によって判断した、と言う。この間接事実とは先述のように、振込口座を母親の口座にしたことや、賃料の変更を税理士に伝えなかったことを指す。間接事実を用いるのは脱税の意図があったか、なかったかを推認して結論を導くためである。少なくとも脱税の意志に関しては真偽不明であったと思われる。

 

理由3・調査官とのやり取りで「実は地代収入があります。税務署に指摘されるまでは申告しなくてもいいかなと思っていました」の答は正直な回答であるが「脱税」の意図より「意図的な過少申告」に近いと考えられる。「確定的な脱税の意図」は表現が過激なように感じられる。

 むしろ、「過少な申告をしていることを白状しているのに、いまさら裁判なんか起こすなよョ」との声が聞こえるように感じる。

 

2、税理士に地代収入があることを伝えず、少ない収入を書いた書類を渡すことは仮装隠蔽か、

 

 仮装隠蔽には該当しないと考える。

 

理由・仮装隠蔽の根拠になるとして列挙される「不正事実」には税理士は出てこない。

 仮装隠蔽に該当するのは帳簿への虚偽記載、帳簿の隠匿、二重帳簿の作成、帳簿の改ざん、記載脱漏があることと国税庁の事務運営方針にある。税理士に事実を伝えないことが仮装隠蔽になるとは事務運営方針には書かれていない。

 

 しかし、この判決では仮装隠蔽になるという。この結論を導くには不正事実にある「帳簿書類」=税理士と置き換えればこの論理は成り立つ。かみ砕いて表現すれば税理士は申告までに依頼者の出す資料を検討し税理士法第2条2号の税務書類の作成を行うが併せて脱税相談の禁止(税理士法36条)、信用失墜項の禁止(同37条)、守秘義務(同38条)、助言義務(同41条の3)が義務として法定されている。このため受任した以上は内容について正確性を保持する義務があるところ、誤った資料を受取れば通常の業群水準では、誤りがあれば専門家として質問し助言し、是正しなければならないが、依頼者が意図して過少な金額しか記載されていない書類を提示すれば、過少申告に結び付くことになる。税理士が帳簿を作成することも業務の範囲である場合、誤った、過少の帳簿を作成することになる。依頼者が自己の責任で帳簿を作成した場合はともかく記帳の代行をすることは資料を精査して適宜に質問をしなければならない。ほかに税理士から株の売買の有無を再三質問されてウソの答弁をした場合も仮装隠蔽になるとの最高裁(第2小法廷、平成7年4月28日)判決もある。

 

3、「仮装隠蔽」と「偽りその他不正の行為」の相違

 前者はペナルテイーとしての加算税の一種であり、後者は罰則規定であり違法行為や不正行為を認識の基礎にするが後者の方がその範囲は狭いと考える。

「申告所得から算出される税額より過少な税額を申告書に記載する行為」は過少申告行為であり、「偽りその他不正の行為にあたらない」との判例がある(東京高裁、平成6年11月30日)。このことから青木さんがした行為は過少申告ではある上、税理士に過少な金額の資料を提示したことが仮装隠蔽に該当するとしても「偽りその他不正の行為」に該当するかは疑問が残る。

 

 

<次回予告>

 税理士は青木さんに1回も会っていないなど税理士の姿勢の検討と、青木さんが訴訟に進んだことの検討を行ないます。

- | 08:28 | pookmark

Copyright ©FOR YOU INTERNATIONAL Inc. All rights reserved.

Powered by ロリポブログ