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納税者の品位と税理士の立場・・・8

(問題の制度設計・・2)

 前回の「内容」2で税理士は、法令、課税実務上の取扱いなどをカバーしなければならないことに触れたが、コロナを契機に役員報酬の減額をすることが法人税法34条違反にならないためにはどうすれば良いのかについて引続いて検討する。

 

 役員報酬の事業年度途中での変更は臨時改訂事由と業績悪化事由の2種あり、後者は役員報酬の減額の場合に限られることは前回で触れた。

 

国税庁のFAQのQ6での質問(筆者要約)

・イベント会社で、キャンセルが続くだけでなく、今後数か月先のイベントまでもキャンセルされました

・収入減で毎月の家賃や給与の支払も困難な状況です

・よって役員給与の減額をしたいです。減額後の役員給与は法人税法34条の定期同額給与に該当するのでしょうか

 

国税庁回答(筆者要約)

「経営状態が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、貴社のように家賃や給与等の支払が困難となった場合は、業績悪化事由による改定に該当するものと考えられます

 

この例でハッキリしないのは

・「家賃や給与等の支払が困難」の意味がもう一つ具体的ではない。役員給与を下げなければ家賃や給与の資金がなくなる。だから限られた資金内で役員給与の減額をしなければ家賃や給与の支払いが不可能になる。資金が2者択一状態まで逼迫していることを意味するのか。

 それなら銀行や政策金融公庫からの融資や持続化給付金、雇用調整助成金などを動員すれば(実際の資金繰りでは)役員給与も支払えるうえ従業員給与や家賃も払える場合はどうなるのか、が判然としない点である。はたは資金のことではなく損益計算上利益が計上できない意味なのかも不明である。

 

 法人税基本通達という解釈通達が以前から整備されている。ここの9−2−13で業績悪化改訂事由でいう「経営の状況の著しい悪化に関する理由」とは「やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいう」と書かれているがよくわからない。そこで「法人税基本通達逐条解説」という愛読書(実務で頼りになる)を紐解くと「どのような事態が生じたときが該当するかは事柄の性質上、個々の実態に即して判断するしかなく」と断りがあり「著しく悪化」との規定から「一時的な資金繰りや単に業績目標に達しなかった」などは理由に含まれないとある。一時的な資金繰りの一時とは何を指すのか。算数の問題のように正解は出ないのである。

 

 日本税理士会連合会「税理士界」令和2.6.15号(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う税制改正に関する建議書)では「法令等の解釈に関する事項」で、現状では「業績悪化改訂事由」による給与改定をすることになるが、業績が回復した場合には次の定時株主総会まで役員給与を増額できないことになる。緊急事態宣言が出されての営業自粛で役員が職務執行できないのであるから「臨時改訂事由」に該当すると解釈をするよう要望している。

 

 以上のような状態の下で税理士は責任を持った結論を導かなければならない。「著しく」が曲者である。何を以て著しいのか膨大な裁判例を渉猟しても、同じ人間がこの世に居ないように同じ会社もない。探して判例を見付けても類似事案でしかない。最後は税理士の論理的首尾一貫性と説得力、説明的能力が頼りである。

 

<次回予告>

以上の実情のもと問題の制度設計が税理士に要求する諸点につき問題点を検討したい。

 

- | 16:50 | pookmark

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