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納税者の品格と税理士の立場・・・19

(問題の制度設計・・・まとめ)

浮かび上がった問題点

 

1、科学的な行動と情緒的な行動

 

ァ:納税者からの情報は情緒的であり科学的とは言えないことが多い

 依頼者から税理士に与えられる会計情報は科学的な正確さや真実を反映するとは限らない。会社の代表者が意図をもって会計を歪めることはよくある。歪める意図があるかないかの違いだけであるが不正確であることは否めない。歪める意図の底には嫌税感がある。

 

 会社の従業員が意図をもって自己の利益を図るため(図利目的)に情報を歪める場合もある。別に意図がなく単なるミスで事実を反映しない会計情報が税理士に提供されるケースもある。

 

イ:税理士は情緒的な会計情報に科学的な態度で接することが要求されている

 この場合、税理士が科学的に事実が反映されているかを確認するには障害がある。

その障害とは、委任「契約の限界」である。納税者が過少申告を貫徹する意思があれば、税理士が要求する資料の提供を拒むことは容易である。このような場合に税理士はそこで行動を停止するか、契約を解消し、関与を降りる選択しかない。

 

 行動を停止する場合は更に二つに行動の選択が分かれる。一つは手を尽くしたが依頼者から事実を確認する資料が入手できない場合や、回答を得られなかった場合にその事実を書面に記すことと、書面に残さない道である。

 

 書面を作成してもその内容に関し依頼者の一筆を取る場合と、一筆がない場合とで後々に紛争が生じる確率は違ってくる。一筆を取っておく場合は紛争が起こる確率は少ない。

 

2、裁決例の税理士の行動は科学的であったか

 

 言うまでもなく科学的ではない。与えられた資料に対する確認ができていない。複式簿記が持つ複眼処理を生かした網羅性の確認もしていない。経営の姿が会計に正確に反映されているのか、真実性が損なわれていないかなどの視点はこの税理士の行動からは窺えない。

 会計に対する姿勢は大きな分岐点である。うるさいことを訊かれたくない納税者は「情緒的」にこの姿勢を嫌う。経営実践が会計に反映されているかなど科学的なことは考えさえしない。あるのは損得という情緒である。このため税理士も行動停止になりがちである。まして確認文書に納税者にサインさせることも一苦労である。

 

こうして過少申告の原因は霧に包まれる。

 

要約

 税務署員がその権限で事実の解明にメスを入れることができるのに対し、税理士は、依頼者との合意の枠内でしか事実には迫れない。

 この意味から、一言で言えば申告書の基礎データは依頼者の責任である。監査法人の監査報告書には冒頭に「財務諸表は経営者の責任であり(financial statements are the responsibility of the Company management)、監査人の責任はこれらの財務諸表に関し意見を表明するものである(Our responsibility is to express an opinion)」と明確に責任の所在が分けられている。米国会計士業界が100年に亘って訴訟で苦労された結実がこの一文に凝縮されている。

 

 税務申告書を作成することは「監査」のような第3者的な立場ではない。税理士は納税者の代わりに申告書を作成する。原資料が(歪める意図の有無は脇においても)誤っている場合の依頼者と税理士の間の責任は明確ではない。

 

<次回予告>

責任の所在が明確でない中で加算税を税理士に付替えすることについて見てゆきたい。

 

 

 

- | 08:34 | pookmark

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