このホームページは改修工事中です。
現在の予定では7月31日に改修後のホームページが公開予定です。
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週末相続税教室はタイトルを一部改め、令和5年10月半ばにAmazon Kindle
から公刊の予定です。
お手許に手引きとしてご使用できるようにペーパーバックもお求めになれま
す。どうぞよろしくお願いします。
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おかげさまで下の全体図の8まで終了しました。
9,今回のその他では資産や負債のリストをどのようにまとめたら良いかにつき、ご案内します。
ア:<最近は生前の資産や負債を整理するのに便利な書籍>
がいくつも出版されています。書店の店頭で実物をご覧になれます。一番ご自分にピッタリと感じるもので良いと思います。どの書籍の内容もよくできていますからこれらをご利用になられるのは良いと思います。
イ:<相続税申告書のひな型を活用する>
相続税申告書第11表「相続税がかかる財産の明細書」と第13表「債務及び葬式費用の明細書」に資産や負債などを記入されますと、良く整理できます。税理士さんに相談される場合にも活用できます。
国税庁のホームページでは相続税申告書が「相続税申告書の様式一覧」の頁からPdfで採取できます。また同じく国税庁ホームページの「相続税申告書の記載例」が参考になります。
ウ:<注意されたら良いと思うポイントを記します。>
アまたはイのどちらにも該当します。
1,アの各書籍で共通して強調されておられるのがデジタル遺品(遺産)です。
スマホやPCのID、 パスワードを知ることは資産負債整理の1丁目1番地です。被相続人の年代が若くなるほど重要性は増します。
2,資産・負債の項目は登記事項証明書や直近まで印字された預金通帳などのエビデンスに基づいて正確に。
せっかくリストを作られるなら後で誤解や訂正が少なくなるように正確に記入したいものです。
3,預金通帳や株式の顧客勘定の名義と中味が別の場合もあります。その人の働きによってできたものが、違う人の名義になっている場合もあります。由来を知ることも重要です。
4,貴金属やクレジットカードなど小物が見えにくいところにある場合があります。
(あとがき)
長らくこのシリーズをご覧いただきましてありがとうございました。日々掲示されます読者数を示すアクセスログがブログを継続する唯一の励みでした。何とか今日まで続けてくることができましたのもお読みいただきました皆様のおかげです。
ありがとうございました。
お知らせが二つあります。
その1:かねてからご案内させていただきました通り、このホームページは背後で改修工事に入っております。現在の予定では7月31日に改修後のホームページが公開予定です。
それまでの間は現在の組み立てのまま適宜「お知らせ」などをこのページで載せて繋ぐことに致します。
その2:週末相続税教室はタイトルを一部改め、10月半ばにAmazon Kindleから公刊の予定です。お手許に手引きとしてご使用できるようにペーパーバックもお求めになれます。どうぞよろしくお願いします。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々‥‥‥‥終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか・・・・・・・・・・・・・・終了 5-1、リース契約がある場合・・・・・・・・・・・終了 5-2、連帯保証も債務のうち・・・・・・・・・・・終了 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道・・・・終了 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと・・・終了 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる・・・終了 |
7,民法、登記制度などの最新情報・・・・終了 8,専門家の守備範囲の違いと実際を知る・・・・終了 8-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること・・・終了 8-2、専門家と紛争にならないための注意・・・・・・・・終了 8-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと相手のサインをもらっておく・・終了 |
9,その他・・・・・・・・本日終了 |
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<その2>
税理士への依頼には「相談」と「仕事の依頼」があり、それぞれ異なるものです。
<相 談>
凡そ下のようなものが多いですが、答える税理士には責任が伴います。無料でも責任は伴います。有料でないから責任はないというのは他の資格はともかく税を扱う税理士にはありません。
1,今疑問に思っているにつき解説してほしい
2,相続税がかかるか否か知りたい、申告を依頼したら費用は幾らか
3,相続税の特例で適用できるものがあるか知りたい
4,相続税が安くなる方法があれば知りたい
このうち1は具体的に焦点が絞られています。簡単なモノでしたら費用は戴きませんが複雑な時間をかけて調べる必要があるものは時間ベースでご請求させていただくこともあります。
2はムツカシイ質問です。相続税が、かかるか、かからないかは詳細な資料を拝見して地価やその他の財産の評価額を調べなければ答えは出ません。その前に相続人の数によって控除額が変わりますから戸籍抄本などで相続人を特定しなければなりません。資料もなく「大体で宜しいヮ」というノリのかたもおられますが答えは数字というハッキリしたものですから後で言い直しはできません。ですからこのようなご相談も紛争のタネになります。
申告を頼むことになればそれまでの相談料は戴かない場合が多いと思いますが、重要なことは資料を依頼者が集められるのか、資料収集も税理士に依頼されるのかをハッキリしておくことです。申告書完成までに相続人同士の争いなどどんな問題が派生してくるかわかりませんから追加請求の道は設けておきます。
中には税理士の言葉をすくい取って自分の盾にしようと思っているのではないかというケースもありました。
3も4も相続に関する事実関係を示す資料がなくてはお答えできない場合が多いです。また遺産分割ができている場合と未済の場合では特例適用の可否や税額も違ってきます。
<仕事の依頼>
「仕事の依頼」には以下のようなタイプがあります。
1,初めて申告するのでお願いしたい
2,自分で申告書を作成したが見てほしい
3,すでに税務署に申告したが誤っているかもしれないから見直してほしい。そして税額が払い過ぎなら返してもらう手続きをしてほしい、不足するなら修正したい
4,税務署が調査に入った。代理してほしい。
これらは「相談」のように曖昧ではありません。期限があり、切迫した事情の場合もあります。資産負債のリスト、相続人を示す資料などが備わっていますと「あらかじめ」の費用も算出できますがどんな事態が派生するか予測できませんから追加請求の項目は設けます。
<一番大事なこと>
1から4すべてに関して契約です。これが必須です。契約には目的が書かれます。そのための準備の事務や資料集めなどの事項も対価の額と共にはっきりしておくことです。最終期限はもとより中間報告の日などもご希望なら明確にされたら良いと思います。
次回は最終回です。<9,その他>の項目になります。上記でも出てきましたが資産や負債のリストをどのようにまとめたらよいかに関し簡潔に触れたいと思います。
]]>8-3 簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく
8-2と8-3は同じくくりで纏めることができますから一緒に書きます。
<その1>
ここでいう専門家とは税理士さんのことです。
私は納税者と税理士間の紛争に関する裁判の攻防事例を100件以上読み、検討しAmazon Kindledで公刊しました。下記の2点です。
・「税理士探し・顧客選び」のヒント61話 —納税者Vs.税理士の争い実例から考える—
・論文選集・・たじろぐ3本の指 世界にあふれる自己正当化が凝縮された会計・税務の紛争例を読み解く
詳しくはこれらをお読みいただきますとリアルに紛争の原因とあからさまな争いの中味がワカリヤスク書かれていますので、ここではごく要点をまとめたいと思います。
1,言った、言わないが争いの原因
2,契約を結ぶことをしていない
3,税理士費用(相談料を含む)算出の根拠を明らかにしておく
4,資料は依頼者が準備するとともに不足する場合の収集について話し合い、決めておく
5,依頼者が税理士に提出したリストを相互に確認すること
6,「事実」に関する情報は圧倒的に依頼者が持ち、「専門知識」は税理士が圧倒的に持つ。
7,事実に専門知識を当てはめるのであるが相続税関連の争いの原因の多くは下記が多いです。
・事実を依頼者が意図して、あるいは意図しないで(無意識に)すべてを開示し
ない。海外のことは特にこの傾向がある。国が違うから日本では課税はないと
の思い込み)
・税理士の知識不足、調べ不足、説明不足(事実につき適切な聞き方をしないこ
とも含む)
次回にはこれらにつきもう少し解説を加えます。
]]>
前回(第56回)で税理士の資格取得の流れのあらましが説明されました。これを踏まえてなお?の点があるかもしれませんのでQ&Aでもう少し補充をしましょう。
8-1:適切な質問をすること
Q:自分で相続税申告書を作成して、提出前に税理士さんに見ていただく場合、或いは申告書作成の途中で特定の個所を質問したい場合、資格の出自がわからないと不安です。
お会いしてチェックをお願いして、そのかたが頼りないことが分ってきてからでは動きが取れないというか、それからほかの先生を探すとなると費用も二重に払わなければなりません。あらかじめ資格取得の出自について質問して失礼になりませんか?
A:ならないと思います。私の友人のハナシですが、彼は会社の顧問税理士を2年間で4回替えました。「やりすぎちゃうの?」とその友人に言いましたが、「頼りないしマトモな答えが返ってこないから仕方がないヮ」と返されました。
そうかもしれませんが、気を付けられたら良い点は以下です。
・聞かれる側の税理士さんの性格により受け止め方は様ざまでしよう。お聞きになる際に、不快な空気になる言葉遣いは避けるべきです。
・聞き方や言葉遣いなども含めて相手に対しレスペクトの気持ちがあることが必要でしょう。そしてどうしても資格取得の由来が知りたいとの気持ちを誤解されないようにお伝えすることです。
・税理士の資格取得の由来は税理士会でも明らかにしていません。出自をきいてはイケナイという法律等も私が知る限りありません。なのでお聞きになられることはされたら良いと思います。ご自分が後々問題を起こさない申告書を作成したいと思われるほど、その気持ちが強くなるのは自然のことと考えます。自然のことにたいして誰もイケナイとは言えません。
Q:こんな気遣いをしなければならないのは複雑な資格制度と、間違いがあれば加算税がかかる税法のもとでは仕方ないことですか?
A:そうですね、統一試験で一つの入り口をパスすれば資格が得られるならば、そのような気遣いは不要でしょう。また税法が厳しいと言われますが税というものの性格は厳しいものです。変えられませんから、ここは現実的に対応されるしかないと思います。国税庁のホームページなどは分かり易く充実していると思いますョ。
Q:税理士会のホームページで得意分野などが明らかであれば助かるのですが。税理士事務所のホームページは宣伝のように思え真に受けられません。
A:たしかに。私の属しますワシントン州公認会計士協会では各会計士のプロフィールや得意分野が示されています。その欄に載せるか否かは個人個人の会計士の自由です。何も書かないかたもあります。そうなれば良いですね。
次回:8−2「専門家と紛争にならないための注意」に行きます。
]]>このブログの目的である「相続税申告書自力作成」に際して読者の皆さんが税理士に相談しようとされる場合、その税理士さんが相続税に詳しいことが必要です。「どれくらい詳しいか」は表面では見えにくいです。
そこで税理士資格を得るためには大きく分けて3つの流れがありますのでそれを用いて整理してみました。縦糸に、AからCの累型で整理し、横糸で、相続税の知識・実務経験をどのようにして得られるのかを整理してみました。
区 分 | A:税理士試験5科目合格 | B:税務署等で一定年数勤務+科目合格又は研修修了 | C:修士学位+科目合格 |
相続税の知識 | 相続税法に合格していると有利 |
資産税部門の研修を受ける 相続税法に合格していると 有利 |
相続税法に関する論文または相続税法に合格していると有利 |
実務経験 | 税理士事務所で執務 | 資産税部門で執務 | 税理士事務所で執務 |
*科目合格とは税理士試験の一部科目に合格することです。多くの科目があります。相続税はその一つです。
上記の表のように税理士になるには概略3つの入り口があります。A〜Cです。
また実例に当たって習得した知識に磨きをかけるには実務経験が必要です。これを得る場所を横の行に整理してみました。
上の表は、筆者が税理士法で定められている複雑な規定を思い切ってワカリヤスク整理しましたのであくまでも概略です。詳しいことは根拠法の税理士法第3条から8条をお読みになればより正確に把握できます。
大事な点
1,税理士試験では相続税法は選択科目で必須科目ではありませんので他の科目を選ぶこともできます。
2,税理士試験の相続税に合格していなくても実務経験を積み上げながら学修し豊富な知識を持っている税理士さんは多いです。
3,資産税部門に勤務された場合は多くの実例に当たっておられますが、資産税部門以外の法人税、所得税部門との異動もあり資産税部門以外の勤務であっても相続税の知識が豊富な人は多いです。
2も3も個人差があります。
4,税理士事務所も事務所ごとに特徴があり相続税の取扱いが多い事務所も、少ない事務所もあります。相続税の扱いは少なくても精緻な仕事をされています。一概にケースの数だけで判断できません。
5,上の表は特徴を整理したものですから、この表だけにあてはめて決めつけないことです。一応の参考です。
一番良いのは、出会われた目の前の税理士さんとよく話し合ってみられることです。知識の量と質、経験の積重ねから来る自信が、対話の中で税理士さんの言葉尻や表情に、にじみ出るでしょう。
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このブログは自力で相続税申告書を作成しようとされる方々を対象にしています。現在は、インターネットの普及で相続税申告書に関して多くの情報をネットから得ることができます。また国税庁ホームページも詳細な事柄まで説明されています。
しかしどうしても直接に専門家に説明を聞きたい、基本的な点で自己流の判断になっていないか不安である、逆に細かい点につきネットの解説では物足りない、などのご事情があるかと思います。
このような場合、どの「専門家」に聞けば良いかをご説明します。「相続税申告書作成」に関連する範囲でご説明します。
初めにお断りしておきますが隣接士業としてこれまで各先生方には実務でお世話になってきましたが、他分野の領域でもあり私の認識不足でご説明の表現が舌足らずの場合があるかもしれません。あらかじめご容赦ください。
税理士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士の業務領域の違い。
末尾の< >は筆者による要約です。
ア,税理士:相続税申告・申請を納税者に代わって代理したり、税務調査において意見を主張したりします。もちろん税務相談や税務書類の作成も仕事です。不服申立も行います。訴訟はイの専門家の扱い分野ですが税理士も補佐人として出廷できます。
<・・申告全般の相談・・>
イ,弁護士:相続に関しての相続人や他人との争いや相続税の申告につき国と争いになった場合に納税者に代わって訴訟等を扱われます。
<・・争いになった場合、なりそうな場合の相談・・>
ウ,司法書士:相続に関する相続登記、所有権移転登記などがご専門です。同じ登記でもエと異なります。
<・・登記に関する相談・・>
エ,土地家屋調査士:不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量を行われます。表示に関する登記とはウの登記とは異なり、不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために地図や地積測量図等の資料、現地の状況や隣接所有者の立会い等を得て公法上の筆界を確認したりされます。土地の境界や面積が不明な場合にお世話になります。
<・・物理的状況が登記に反映されていない時の相談・・>
オ,不動産鑑定士:土地などの不動産の適正な経済価値を判定する専門家です。相続税財産評価基本通達に基ずく評価では実態が反映されない場合などでお世話になります。
<・・相続財産の評価額につき特別に鑑定評価が必要と思われる場合の相談・・>
相続税申告業務を税理士が受けた場合に隣接の専門家先生にお願いする頻度は私の経験ですが一番多いのが司法書士さんでした。相続登記は義務になりましたからその頻度もこれからは多くなると思います。
その次は不動産鑑定士さんでした。経済事情を反映して土地の評価額が上下した時期にはお世話になりました。
では次回からは相続税申告書の自力作成に最も近い相談相手である税理士につきご案内してゆきます。税理士と一口に言いましても税理士になるルートは色々あり複雑です。そのへんを知られて適切な税理士さんにご相談されるヒントになれば幸いです。
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9,遺留分侵害請求権の金銭債権化
全財産を遺言で相続人一人だけに引継がせるという場合は他の相続人は遺留分を侵害されたとして減殺請求することができます。遺産が不動産であれば遺言で定められた一人の相続人が所有権を得られるところ、侵害請求の結果、三分の一は遺留分を侵害された相続人に帰属することになります。この結果「共有」になってしまいます。将来処分するにも同意が必要で厄介なことです。共有関係をなくするためには他の共有者から買取る必要が出てきます。
そこで民法改正:初めからストレートに、遺留分侵害額を金銭で請求できるようになりました。その金銭を一度に支払うことができない場合は裁判所に対して「期限の許可」を求めることができるようにもなりました。
この結果、共有になることが回避されます。共有のままで、次の相続が始まると共有持分がネズミ算で増えて行き管理不全になってくのが防止できます。
10,所有者不明土地・建物の管理制度、管理ルールが決められました。
所有者が誰なのか分からない、共有者が分からないなどの場合は隣地や他の共有者(利害関係人といいます)はその土地・建物のある地方裁判所に対し、管理人による管理を求めることができます。
管理人は善管注意義務をもって保存・利用・改良行為を行います。処分(売却、取壊し)をするには裁判所の許可を得なければなりません。
以上で下の全体図のうち 7 までが終わりました。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々‥‥‥‥終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか・・・・・・・・・・・・・・終了 5-1、リース契約がある場合・・・・・・・・・・・終了 5-2、連帯保証も債務のうち・・・・・・・・・・・終了 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道・・・・終了 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと・・・終了 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる・・・終了 |
7,民法、登記制度などの最新情報・・・・終了 8,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 8-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 8-2、専門家と紛争にならないための注意 8-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
9,その他 |
<お知らせ>
現在のシリーズも終盤に来ました。近々、ホームページの型式も改め、オモシロイ話題が多くなるように準備中です。
これから大きな転換期に入ります。これまでの流れが逆巻く時代に庶民である我々が夜道を行くとき、弊所のHPがしっかりした歩みをされるお役に立てればと考えています。
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8,配偶者居住権・・・もう一つの見かた
前回は仲の良い親子の場合は配偶者居住権制度はいらないとの意見をご紹介しましたが、もう少し枠を広げて相続人だけでなくそれぞれの配偶者やその子供まで広く見ますと以下のようなケースが見られます。
ケース:お父さんが亡くなり母親と子供二人が相続人のケースです。
遺産は1億円の土地と家、預金が3,000万円でした。計1億3千万円が遺産額です。
お母さんが元気で一人で暮らして行けるため遺産分割の話合いの初めは、
・お母さんが家の土地建物1億円を取得し、
・兄弟で預金を1,500万円づつ相続しようではないか、という話でまとまりかけましたが、子どもの一人が法定相続分通りの分割を主張してきました。
法定相続分で分けますと母親6,500万円、子ども各自3,250万円になります。
遺産が全て預金であれば問題ないのですが母親が住む自宅の評価額は1億円です。このような場合は母親が1億円の自宅を引継ぐ代償に1億円と6,500万円の差額3,500万円を現金で子供たちに支払わなければなりません。
これで子供たち二人は1,500万円万円+3,500×1/2=各人3,250万円になり法定相続分通りに分割ができます。初めの話では兄弟は1,500万円の預金が取り分でしたが法定相続分によりますと3,250万円を得られます。
母親に3,500万円を支払う資金があれば良いのですが、そのような資金がない場合どうなるのでしょうか? 仮に資金があってもその後の生活には不十分でしょう。
結局、自宅を売却して子供たちに支払う3,500万円を作るしか道はありません。お母さんは住む場所がなくなります。
法定相続分を主張した子供の配偶者はキツイ人であったようです。
血を分けた親子兄弟以外の赤の他人には相続権はないのですが、間接的に意見を通すことができます。
その上、現代は物価高の上に住宅ローン、教育費などでいくらお金があっても足りないのが普通です。今だけ、自分だけ、カネだけの世相ですから「配偶者居住権」が法定された意味は大きいと思います。
配偶者居住権を設定できればお母さんは住む場所が確保されたのです。
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7,配偶者居住権
(どのようなものか)
文字通り夫婦のどちらかが亡くなった場合「配偶者が従前どおり同じ建物で居住できる権利」です。
なぜこのような制度ができたのでしょうか。これまで通り同じ家に残された夫や妻が住み続けている例も多いです。
理由は下の3つが考えられます。
1,核家族社会になり親子の仲が良くない場合、子供と一緒には住めないケースがあります。
2,相続人である子供と残された配偶者が血のつながりがないばあい(一例として亡くなった父親と残された配偶者が再婚で、前妻との間に子供がいる場合、残された配偶者と前妻との子供は他人です)それまで住んでいた家を遺産分割で子供が取得した場合は、残された妻は同居できないかもしれません。困ったことになります。
3,財産の分け方で配偶者が自宅を相続したうえ、生活のため預金も相続しますと、かなりの財産が配偶者に行き、子供の相続人にはさほどの財産は回ってきません。こうなれば遺産分割が進みません。
そこで「お母さんが死ぬまでその家に住める権利を認めてあげる」ことになれば他の相続人に行き渡る遺産の取り分も多くなり、モメないかもしれません。
(もう少し詳しい内容)
・「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2種類あります。
・「配偶者短期居住権」:本人の意思表示や他の相続人の承諾などなくても当然に発生する権利として法で認められます。期間は相続開始から6ケ月か、遺産分割が成立するまでのいずれか遅い日までです。残された配偶者にとっては少なくとも6ケ月間は居場所が無償で保障されます。
・「配偶者居住権」:恒久的な居住権です。遺産分割または遺贈により決められます。特徴は「居住権」と「所有権」が切り離されている点です。登記できますが譲渡はできません。配偶者居住権には相続税がかかります。当該土地・家屋全体の評価額から、配偶者居住権評価額を控除した残額が所有権の評価額になります。
(実務家に多い意見)
・親子の仲が良ければこんな制度はイラナイ。赤の他人であっても仲が良い場合もある。血がつながっていても仲が悪い場合もあり、できたらこの制度を使わないのが良い。
・却って遺産分割がモメたり所有権を持つ側からは、その家を自由にできないもどかしさが残る。
上記は意見の一例です。
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6,相続土地の国庫帰属制度が始まります。
相続土地国庫帰属制度とは分かり易く言えば「相続で土地を継承したが、その土地が不要である場合、国に引き取ってもらう」ことができる制度です。
(趣 旨)
今は昔と違って土地の魅力が下がっています。そこへ相続によって望みもしない土地を取得したため管理が行き届かない土地が増えているようです。前回の「相続登記の義務化」(今年4月1日から)で触れましたように、放置されたままの土地や不在住宅の増加となっています。相続で取得した場合に限り<申請により>国が引受ける道が開かれました。(令和5年4月27日からです)
(申請できる者)
原則:相続(遺贈を含む、以下同じ)で土地の所有権を取得した個人です
例外:土地の共有部分を相続以外の原因(例えば売買)で取得した場合、相続で取得した者と一緒に申請すれば、たとえ法人であっても申請することができます。
具体的には先代が、法人と共に二分の一づつの共有持分で土地を購入し、やがて先代が亡くなられ相続人Aが先代から二分の一部分を相続した例です。相続後はAさんと法人が二分の一づつの共有です。Aさんが、この土地を国に引き取ってもらいたいなら法人と一緒に(共同で)申請することができます。このような場合、法人であっても、相続で取得したのではなくても申請できます。
(申請できない土地)
・建物が立つ土地(更地でない土地、地上は更地でも地下に有体物があれば申請しても承認
されません)
・更地であっても担保が設定されている土地や通路、水路が域内に通っている土地
・境界が確定していない土地
・争いがある土地
・土壌汚染されている土地など、、、、なかなかムツカシイです。
(流 れ)
申請⇒書面審査⇒実地調査⇒承認⇒負担金納付⇒国庫帰属
上記の「負担金」とは10年分の土地管理費をいいます。申請者が負担します。面積にかかわらず20万円です。
<お知らせ>
現在のシリーズも終盤に来ました。近々、ホームページの型式も改め、オモシロイ話題が多くなるように準備中です。
これから大きな転換期に入ります。これまでの流れが逆巻く時代に庶民である我々が夜道を行くとき、弊所のHPがしっかりした歩みをされるお役に立てればと考えています。
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現在のシリーズも終盤に来ました。近々、ホームページの型式も改め、オモシロイ話題が多くなるように準備中です。
これから大きな転換期に入ります。これまでの流れが逆巻く時代に庶民である我々が夜道を行くとき、弊所のHPがしっかりした歩みをされるお役に立てればと考えています。
7,民法、登記情報などの最新情報・続
<前回は自筆証書遺言の保管制度>
について触れました。補足をさせていただきます。
遺言が本当に必要なのか、についてちょっと立ち止まってお考え下さい。遺言書の作成を勧め、支援することがビジネスになっています。その流れの広告がメディアのうえで「遺言必須のストーリー」に仕立て上げられ広告宣伝の正体が隠れたまま人々を「遺言書ありき」の心に誘導するかの様相です。
遺言書を作成されたほうが良い場合もあると思います。しかし相続税に関して経験が豊富な専門家のなかには「普通の家庭の場合は遺言書は必要ない」と言い切られる先生もおられます。
それなりの資産をお持ちの場合、遺言書作成を入口にして囲い込み、預金始め金融資産の全貌を把握してセールストークで誘導されてしまうことの前にご自分でよく考えてみてください。
今の時代は名の通った大きな会社、銀行はじめ金融機関の影響力は絶大です。中身もそれなりに充実しているかもしれません。しかし大きな組織の担当者は個人です。目の前の大会社の担当者が必ずしもみんなが優秀とは限りません。問いを発してどの程度の知識なのか、勉強しているのか、社内研修とマニュアルのレベルでしかないのか、扱った実例はどれくらいか、を冷静にチェックしましょう。決めるのはあなたです。
相続税申告書を自力で作成しようと思われるかたは商業ベースに乗せられることを快しとされない傾向があります。それで正解と思います。
では本番です。
5,相続登記の義務化・・・令和5年4月1日からです・・・
(何が背景なのか)
相続登記がされないまま何年も放置された土地がはびこることで不動産の流通がスムースにゆかないばかりか不在住宅(いわゆる相続空き家)の増加になってきています。相続の際、遺産の承継をキッチリして相続登記をすることで改善されるのです。相続後3年以内に登記しなければならなくなります。
(どんな点が有利で、逆にどんな点に注意が要るのか)
登記の際の税金につき免税措置が適用できます。これまで相続登記がされてこなかった場合、令和7年(2025年)3月31日までは亡くなられた先代を、当該土地の所有権の登記名義人とするための登記については、登録免許税を課さないこととされています。
また登記は義務になりますから怠った場合は令和5年4月1日以降は10万円以下の過料が課されることがあります。
この制度は次回ご紹介します「相続土地の国庫帰属制度」に関連します。
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3,戸籍関係書類の取り寄せが簡単になりました。
(これまでは)
現住所と本籍地が異なる場合、それぞれ別の市区町村に請求しなければなりませんでした。戸籍は各自治体ごとに管理されるからです。
(改められました)
これが現住所の市町村役所・役場で取寄せることができるように改められました。このため前に述べました法定相続情報を作成するにも便利になりました。
(例外があります)
ご自分と父母、祖父母(直系尊属)や子や孫(直系卑属)の戸籍が対象です。兄弟姉妹や伯父伯母は傍系になるため除かれています。プライバシー保護のため直系尊属・卑属に限られています。兄弟は他人の始まりだからなのでしょうか。
4,自筆証書遺言の保管制度
令和2年7月10日から法務局で遺言書の保管ができるようになっています。
(何が原因でこの制度ができたのか)
公正証書遺言と異なり自筆の遺言は自書すれば他に費用も要らず手軽でしたが紛失したり、折角書かれても相続人に発見されなかったり悪質な相続人の手で改ざんされたりする可能性がありました。これを防ぎスムースな相続に役立てるためです。
(どんな内容か)
・遺言の保管場所:法務局です。
・遺言保管申請の手順:どこの法務局でもよいというのではなく下の1〜3のいずれかを管轄する法務局へご自分が行かれて1件3900円の手数料を支払います。
1,住所地
2,本籍地
3,所有不動産の所在地
・保管期間は何年ですか:遺言書原本は遺言した人の死亡の日から50年間、遺言者の画像情報などは死亡の日から150年です。
・法務局に預けても遺族が知らなければ無いも同然ではないですか:遺言者から「死亡時に保管している旨の通知の申出」がされたら推定相続人又は遺言で財産を渡すと言われた人(受遺者といいます)に対し通知されます。この申出をしておくことは重要です。
(その他注意事項は)
自筆遺言書は家庭裁判所で検認を受けないと効力がありませんが法務局で保管されている遺言書の検認は不要です。
このほかに法務局が遺言書情報証明書を交付したり閲覧させた場合は相続人や受遺者にその旨が通知されます。
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2,預貯金の仮払い制度
<どういうものか>
被相続人が死亡された場合、預貯金は凍結されます。民法改正前は一緒に生活していた相続人でも1円も故人の預金からは引き出せませんでした。日々の生活費はもとより葬式費用や故人の入院費の支払などたちまちお金が必要です。
どうしたら引き出せるのか、、、そのためには相続人全員による遺産分割の合意が必要でした。身近な遺族は困ることになります。
そこで一定の金額までは他の相続人の合意なく引き出せるようになりました。
<引き出せる金額>
1銀行当あたり・・・故人の預金残高×1/3×法定相続分=払戻し限度額(1銀行で150万円までです)
*何預金から幾らを引き出すかは上記算式の限度額を超えない限り自由です。
<注意点>
ア:この制度は遺産分割の一環と位置づけられています。いわば遺産分割の例外です。遺産分割が整わない限り故人の預金を下ろすことができなかったのが改良されたのです。
なので、やがて相続人の間で遺産分割協議では「預金の仮払い」で相続人Aさんが引き出した場合、Aさんが遺産のなかの預金の一部を取得したとみなされます。
イ:仮払い制度で預金を引き出した場合は金融機関から民法909条の2による払い戻しの証明書をもらっておきましょう。
現代は自己中心で猜疑心に満ちた時代です。言い合いやモメゴトのタネにならないようにどの口座から、いつ、いくらの金額の払い戻しを受けたのかにつき客観的な証拠を整えることです。遠隔地にいる相続人からは故人が亡くなる前にどれほど身近な人のお世話になったかイメージができないこともあるかもしれません。
笑い話ですが、、、「ナンデこんなにまとまった金額を勝手に引き出したんのやー、オマエこのカネで競馬に使ったんチャウか?そうでないなら株買うたんやろう、、」と一人が言い出すと他の相続人も「せや、せや、ソレに違いない、、、」などつまらぬ感情的な争いの火種にならないようにしたいものです。こんなことから遺産分割協議が滞ることになれば大きな障害です。笑い話が現実にならないことを祈ります。
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前回(第46回)ご案内しましたように「相続税申告書を自分で作成してみよう」と思われてるかたがたに有用だと私が思う順にご案内します。
1,法定相続情報証明制度
<どういうものか>
亡くなられたかた(被相続人)の出生から死亡までの戸籍に基づいて法務局の登記官がその内容を確認し「法定相続情報一覧図」を作成し、その法務局に保管されます。相続人が「一覧図の写し」の交付を法務局に請求します。これを相続の手続きに活用できます。
<そのためには、どうすれば良いのか>
ア,相続人が被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し(ここが大変ですが、ここを乗り越えればあとはラクです)
出生から婚姻、転籍などを経て死亡までの戸籍を集めることで「戸籍簿の束」状態になることが多いです。しかも戸籍法が度々変わることで様式も変わり、読み取りにくく、その上、市町村合併などでどの役所に行けば良いか迷うこともあり得ます。
また戸籍以外に被相続人の最後の住所をしめす「住民票の除票」も取っておきましょう。この時に市役所の戸籍係に「法定相続情報証明制度の申出のために必要である旨を伝えましょう。
イ,それを基に「一覧図」(系図のようなモノ)を作成し
ウ,法務局に提出します
<何が改良されるのか>
相続の手続きでは以下が必要ですがその時に法定相続情報一覧図の写しがあれば何通もの「戸籍の束」は不要になります。各機関に提出するたびに必要な戸籍が揃っているか確認しなければならず、受取る金融機関もそのたびに内容を精査しなければならないのが不要になり流がスムースになります。
・銀行預金の払戻しや名義変更(数行の金融機関に預金などが分散している場合は「戸籍
の束」を何通も用意しなければなりません。
・遺産分割協議書作成
・不動産の相続登記
・税務署への相続税の申告書提出
・保険金の受取請求書
・自動車などの登録の名義変更など
この時に法務局に法定相続情報が備わっていますと「一覧図」の写しを上記のそれぞれに提出するだけで済みます。
今の法務局は昔と違って一般の人にも入りやすいレイアウトで所内看板も大きくて迷うこともないように改良されています。係りのかたもとても親切です(昔はそうではなかったです、係官によりましたが)。
一覧図の交付は無料です。
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Bajo la recesión, muchos empresarios se enfrentan a problemas de gestión.
El Presidente Q intenta superar sus dificultades. En esta historia se describen varias estrategias para evitar convertirse en una empresa Zombie, por ejemplo, el tratamiento de las finanzas bancarias, la habilidad de negociación de auditoría fiscal, la gestión del flujo de caja, cómo hacer un plan de reestructuración.
Además el excelente CPC Jose y el común CPC Teo, sus comportamientos contrastados son también interesantes.
Es un libro muy útil.
内容 ご紹介
景気後退の今時、多くの事業家が困難を抱えています。
主人公のQ社長はその状況を苦しみながら体当たりで突破してゆきます。
「どうする 社長?」岐路で迷う社長は銀行折衝、税務調査の決着、キャッシュフロー改良、組織再編などを孤独な中で対処し財務戦略の知識も身に着けて成長してゆきます。
Qの傍でアドバイスする2人の専門家CPC(Contadores Públicos Certificados)は日本語版では「講師税理士」「顧問税理士」という呼称でしたがスペイン語版ではJose(ホセ)とTeo(テオ)との固有名前をつけて分かり易くしています。Joseはとっつきにくく性格的に一癖あるものの切れ味があり、Teoは対照的な丸い性格です。助言内容も対照的です。
読者はこれからの中小企業の生き残る道と専門家の選択にも気づきを得ることができます。
日本語版と合わせてご覧ください。
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前回ご案内させていただきましたように表記の内容に入ります。
まず項目だけ眺めてみましょう。
相続税申告書を自力で作成しようとされる皆さんに私が有用と思う順に記します。
1,法定相続情報証明制度
2,預貯金の仮払い制度
3,戸籍関係書類が住んでいる地方自治体で取寄せられる
4,自筆証書遺言の保管制度
5,相続登記の義務化(令和6年4月1日から)
6,相続土地の国庫帰属制度が設けられます(令和5年4月27日施行)
7,配偶者<短期>居住権ができました
8,配偶者居住権ができました
9,遺留分侵害請求権の金銭債権化
10,所有者不明土地管理制度
11,所有者不明建物管理制度
12,共有物物件の管理ルールの明確化
ざっと挙げました。次回から少し詳しく、どんなものかをご案内します。
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全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々‥‥‥‥終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか・・・・・・・・・・・・・・終了 5-1、リース契約がある場合・・・・・・・・・・・終了 5-2、連帯保証も債務のうち・・・・・・・・・・・終了 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道・・・・終了 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと・・・終了 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる・・・終了 |
7,民法、登記制度などの最新情報 8,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 8-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 8-2、専門家と紛争にならないための注意 8-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
9,その他 |
全体図に<7,民法、登記制度などの最新情報>を設けました。Dxにより諸制度が変っていますからこれらを使うことで遠回りを避けることができます。
<これまでの傾向と7を設けた理由>
これまで相続税の相談に来られる方は二つに分かれました。Aタイプのかたは、ご自分でどんどん調べて私と対話して必要知識を吸収され最後は「自分でやってみますヮ」と自力で相続税申告書を下書きまで作られる場合も多かったです。おおむね内容がシンプルなケースでしたが8割方できていました。皆さん賢明です。ご自分で申告書の記入までされなかった人も資料はきちんと整理されてきました。
他方、Bタイプのかたは初めから税理士さんに頼んだらヨイの姿勢で、最初から「安くしてくださいね」と言われます。そして資料も不揃い、こちらからの質問への回答も遅いうえ催促しなければ答えは来ません。申告後に税務調査で洩れが出たりしたら自分の出した資料の不備が原因でもオマエがワルイと嚙みつきます。箕面のお猿さんのように顔を真っ赤にして怒ります。ご自分で労力使わず、人任せのうえカネ払も悪いだけではなく責任は他人、自分に都合の良い結果だけ求める現代人です。
弊所ではAタイプのかたのみお付き合いしてきました。元々一見さんお断りのうえ、どなたのご紹介であっても最初の面談で私から幾つかの質問をさせていただき、1回でこちらの態度を決めます。相続税の申告は1回だけですから。
所得税や法人税など毎年申告が巡って来る税金(今は新規はお受けしていません)では初めは資料の整理の仕方からお教えしましたが2年目以降で正体が出てきます。クチだけで領収書の丸投げから一歩も出ませんでした。行動はクチより雄弁とはよく言ったもので、相手にできませんからサヨウナラさせていただきました。それでもプライドが高く、断った私は恨まれ、悪評をあちこちで言い募られます。自力で資料をまとめるかただけが継続します。
このAタイプのかたのお役に立つため7,民法、登記制度などの最新情報を入れました。Bタイプのかたは初めから聞く耳を持たれないでしょうから。
ご案内は次回からです。
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相続で日本の財産に加え、日本以外の国にある財産(在外財産と言います)をも取得した者はその財産も含めて相続税の申告をしなければなりません。このような場合、外国の法令により相続税に相当する税金が課されている場合は外国で課された税金を日本の相続税額から控除できます。外国と日本と二重に課税されることになりますから、そうならないようにする趣旨です。
イメージ
(日本の相続財産<債務控除後>+外国にある財産<債務控除後>)×税率=「相続税額」ー在外財産に課された外国税額・・・その人の納める相続税額
上の「相続税額」とはこれまで説明しました贈与税額控除、配偶者の相続税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除までの各税額控除規定を適用後の「相続税額」をいいます。
注意しなければならない点:
1,「在外財産に課された外国税額」が次の算式で計算された控除税額より多い場合には、その超過額は控除されません。既に相続税額20<外国税額30ですから超過していますが下の計算をします。
2,算式
相続税額(相次相続控除までの諸税額控除後の税額)×外国にある財産の価額<債務控除後>/(日本の相続財産+外国の財産<いずれも債務控除後>)=控除税額
具体的な例(ワカリヤスクするため数字は単純化しています)
・日本の相続財産120<債務控除後>
・外国にある財産60<債務控除後>
・相続税額<相次相続までの控除規定適用後>20
・在外財産に課された外国税額30
あてはめ
ここで上記2の算式を使います。結果は右です。 20×60/(120+60)=6(端数切捨)
繰り返しますが、注意しなければならない点で述べましたように
1,在外財産に課された外国税額は2の算式で計算された控除税額より多い場合には、その超過額は控除されません。
較べてみましょう。
・在外財産に課された外国税額・・・・30
・2の算式で計算した控除税額・・・・6
従って6を超える24の超過額は日本の相続税額からは控除されません。
この理由はここまでお読みになられたらお分かりかと思いますが、ヨソの国の相続税に相当する税金が高率であった場合に日本の相続税率を超える額を日本の相続税から税額控除することは日本国の税収を損なってまで他国で納めた税金を控除することになります。
二重課税の趣旨を逸脱し我が国は損をすることになります。ほくそ笑むのは他国です。
なお「在外財産に課された外国税額」は外貨での税額を邦貨に換算する必要がありますが、その国において納付すべき日の直物電信売相場により換算します。
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ソージ相続控除と読みます。文字通り一定期間に相次いで相続が起こった場合の税負担の軽減をするためです。一定期間とは10年です。先代の相続をされてから10年以内に次の相続が起こった場合に、相続財産を取得した相続人(相続放棄した者は除く)に適用されます。
最初の相続を1次相続、次の相続を2次相続といいます。
Aさんの場合:Aさんは1次相続の時は財産を引継ぐ立場の相続人でした。その1年半後に急に体調を崩され手当ての甲斐なくお亡くなりになられました。2次相続が発生したのです。2次相続ではAさんは被相続人の立場になります。
<算 式>
Aさんが負担した1次相続での相続税額×2次相続での相続財産・債務控除後/(1次相続でAさんが取得した相続財産・債務控除後−1次相続税額)×(10年−1次相続から2次相続までの年数)/10=相次相続控除
事例
・Aさんの1次相続での相続税額 1000万円
・2次相続での債務控除後の相続財産 1億円
・1次相続でAさんが取得した債務控除後の相続財産1億3千万円
・1次相続から2次相続までの年数(1年未満の端数切捨)1年6ケ月→1年
あてはめ
1000万円×1億円/(1億3千万円ー1千万円)×(10年−1年)=750万円・・相次相続控除額・・・この金額がAさんから相続財産を引継いだ相続人の相続税から控除されます。
次回は税額控除の最終の外国税額控除(在外財産に対する相続税額控除といいます)です。この事例は一般的ではありませんのでごく簡単にご説明します。
]]>今は6-2にいます。
第41回(1月28日)に未成年者控除が終わりました。相続税申告書を作成される場合の税額控除はこれまでにご案内しました税額控除のほか、未だご説明していない下の3つが定められています。
・障がい者控除
・相次相続控除
・在外財産に対する相続税額の控除(外国税額控除)
今回は障がい者控除についてご説明します。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々‥‥‥‥終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか・・・・・・・・・・・・・・終了 5-1、リース契約がある場合・・・・・・・・・・・終了 5-2、連帯保証も債務のうち・・・・・・・・・・・終了 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道・・・・終了 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと・・・終了 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
障がい者控除
相続人が障がい者である場合に適用できます。
控除額=(85歳-相続開始時の年齢)×10万円 *左の年齢の1年未満は切り捨てます。仮に相続開始時の相続人の年齢が84歳6ケ月の場合は84歳で計算します。
また特別障碍者の場合は10万円は20万円に読替えてください。
<障害者の範囲の概要>・・・障がい者手帳の等級で示しますが、下記は例示です。また下記以外のケースで手帳の交付を受けておられない場合でも一定の要件に当てはまれば障がい者控除の適用を受けることができます。詳細は多岐に亘ります。
(一般障がい者) (特別障がい者)
精神障がい2級又は3級 精神障がい 1級
身体障がい3級〜6級 身体障がい 1級〜2級
<控除不足額を生じる場合>
上記算式で計算した控除額のほうが障がい者の相続税額より多い場合には、そのかたの扶養義務者の相続税額からその多い額を控除することができます。
次回は相次相続控除です。
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概要
景気後退の今時、多くの事業家が困難を抱えています。
主人公のQ社長はその状況を苦しみながら体当たりで突破してゆきます。
「どうするか?」岐路で迷う社長は銀行折衝、税務調査の決着、キャッシュフロー改良、組織再編などを孤独な中で対処し財務戦略の知識も身に着けて成長してゆきます。
Qの傍でアドバイスする2人の税理士:CPTAは日本語版では「講師税理士」「顧問税理士」という呼称でしたが英語版ではJoeとTomとの固有名前をつけ分かり易くしています。Joeはとっつきにくく性格的に一癖あるものの切れ味があり、Tomは対照的な丸い性格です。助言内容も対照的です。
読者は読みながら専門家の選択にも気づきを得ることができます。
出版地域は全世界です。日本語版と合わせてご覧ください。
<英語紹介文>
Under the recession, many enterprisers facing to management trouble.
President Q tries to break through his difficulties. In this story, several strategies are described,
For example Bank finance treat, Tax audit negotiation skill, Cash flow management, How to make restructuring plan.
Additionally excellent CPTA Joe and common CPTA Tom, their contrastive behaviors are also interesting.
It’s very useful book.
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景気後退の今時、多くの事業家が困難を抱えています。
主人公のQ社長はその状況を苦しみながら体当たりで突破してゆきます。
「どうするか?」岐路で迷う社長は銀行折衝、税務調査の決着、キャッシュフロー改良、組織再編などを孤独な中で対処し財務戦略の知識も身に着けて成長してゆきます。
Qの傍でアドバイスする2人の税理士:CPTAは日本語版では「講師税理士」「顧問税理士」という呼称でしたが英語版ではJoeとTomとの固有名前をつけ分かり易くしています。Joeはとっつきにくく性格的に一癖あるものの切れ味があり、Tomは対照的な丸い性格です。助言内容も対照的です。
読者は読みながら専門家の選択にも気づきを得ることができます。
出版地域は全世界です。日本語版と合わせてご覧ください。
<英語紹介文>
Under the recession, many enterprisers facing to management trouble.
President Q tries to break through his difficulties. In this story, several strategies are described,
For example Bank finance treat, Tax audit negotiation skill, Cash flow management, How to make restructuring plan.
Additionally excellent CPTA Joe and common CPTA Tom, their contrastive behaviors are also interesting.
It’s very useful book.
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では早速「未成年者控除」についてご案内します。
算式では以下のようになります。
未成年者控除額=(18歳ー相続開始時の年齢)×10万円
上の18歳の部分は令和4年3月31日までの相続の場合は20歳に読み替えます。
民法の改正により、成年年齢が20歳であったところが令和4年4月1日から18歳になったためです。
適用を受けることができる人とは
1,日本国内に住所がある相続人だけでなく国外に住所がある一定の相続人も対象になります。被相続人が米国に国籍または住所を有する場合も対象になります。
2,被相続人の法定相続人であること(養子も含まれます)。
3,未成年でも婚姻しておれば民法の定めで成年になりますが、それは民法の世界であり相続税法では未成年者に該当しますので、この控除を受けることができます。
なお、その未成年相続人が相続財産を取得していない場合はこの控除は受けることはできません。
計算において18歳までの年齢の1年未満は切り捨てです。仮に16歳と3ケ月であれば(18歳-16歳)×10万円=20万円が相続税額から控除されます。
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ここで税額控除制度の趣旨に触れておきます。
これまで取り上げました下のア、イと今回のウ・未成年者控除につき簡潔に触れます。自力での相続税申告書作成が目的ですが、なぜこの規定が設けられているのかを知っておかれることは無駄ではないと思います。
ア・贈与税額控除の趣旨
贈与されたときに贈与税が課されます。その後、相続税の申告になった場合には「重複課税」になります。この負担増を排除するためと言われています。穿って見れば自分の死期を覚って少しでも相続税の課税を減らしたい思いから贈与するのを捕捉するためとも考えられます。
そのためか贈与税の税率の方が相続税率よりかなり高いです。相続税額<贈与税額の超過分は還付されないことは第36回で述べました。
なお「令和5年の税制改正大綱」で相続前贈与の加算期間がこれまでの3年から7年に延長されています。
イ・配偶者の税額軽減
この趣旨は、配偶者が遺産の形成に寄与したことと配偶者の老後への手当ならびに比較的早い時期に次の相続があると考えられるため負担の緩和措置です。
ウ・未成年者控除
未成年者が相続で財産を取得しても、その者が大人になって独立した生計を営むまで相当の養育費が必要と考えられ、この養育費を相続した遺産の中から充てるために相続税額から控除する趣旨です。
これは立法時の趣旨でしょうが現在は「別のルート」で相続時精算課税や教育資金の一括贈与の非課税、結婚子育て資金の一括贈与の非課税、住宅取得資金贈与の非課税と十二分な世代間の資産移転の道があります。直系尊属(おじいさん、おばあさん、両親など)が裕福な若者は恵まれたスタートが切れますが、そうでない若者と比べ貧富の差が大きくなる一方です。日本全体が貧しくなる今時、矛盾を感じます。
テーマの未成年者控除については予定の字数が尽きてしまいました。次回に譲ります。
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<前回の例では>
配偶者が取得した遺産は1億円でしたが、仮に「アタシは法定相続分の二分の一まで権利があるから50億円戴くヮ」と主張された場合、そのように遺産分割協議が収まったら、10億円×50億円÷100億円=5億円が配偶者の相続税額から控除されることになります。控除額は配偶者の取得財産が1億円であった前の例1千万円に比べ5億円ですが率は常に取得額÷課税価格の合計額が示す比率です。
<次の相続と相続税申告も視野に入れることがポイントです>
このことは遺産総額は増えも減りもしていませんから配偶者が二分の一を取得すれば他の相続人の取り分が減っていることになります。しかしここで考えなけれなならないのは通常の場合亡くなられたかたと配偶者はさほど年齢の開きがありません。数年後に配偶者の相続になればその時は配偶者がいないため「配偶者の相続税額軽減」措置は使えません。配偶者が多くの財産を取得しても、そう遠くない時期に多額の相続税の納税が起こるのです。その時にまた遺産分割や遺言書などの手続きが必要になります。
この例の配偶者のように1億円の取得で収めておかれることも一つの選択です。1回目の相続税申告で遺産の継承がほぼほぼ済んでしまいます。
私ども税理士は実務でこの点に関してはあまり踏みこんで助言はしません。利害に口をはさむことになりますから。しかし皆さん賢明ですから収めどころを心得ておられる場合が多い(多かった)です。但し複雑な相続人構成では揉めることになり別の専門家に入っていただくことになります。また時代も変わり相続人の考え方も変わってきています。
次回は未成年者控除に触れます。先日「はたちの集い」や「18歳・成人式」がありました。どちらの年齢が適用されるのかも重要です。
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年末・年始は「時は静かにながれて」たっぷり休養できました。
今年は消費税法インボイス制度の10月スタートに加え電子帳簿保存法が始まるまであと1年になり、それなりの準備をしてきましたが、昨年末に「令和5年税制改正大綱」が発表され上記二法の内容がまた改められ、今年は先日からそれに取り組んでいます。
明日の土曜日から「週末相続税教室」始めます。
]]>年末年始のお休みに入りますので
ブログ「週末相続税教室」は
その間お休みさせていただきます。
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まずこの算式には二つの選択肢があります。いずれか「多い方」や何れか「少ない方」と表示されます。ここで選択した数字を算式にあてはめると相続税申告の際に控除される「配偶者の税額軽減額」が算出されます。
選択するもの
その1:課税価格の合計額×(配偶者の法定相続分)1/2 と 1億6千万円の何れか多い方→A
説明:課税価格の合計額とは分かり易く言いますと遺産合計から債務控除した金額です。
前回からの例えで言えば100億円の遺産(債務控除後)です。この×1/2=50億円になり
ます。
選択:50億円>1億6千万円ですから多い方の50億円がAとして選択されます。
その2:配偶者の実際取得額 と 50億円の何れか少ない方→B
説明:「配偶者の実際取得額」とは遺産分割協議や遺言書によって配偶者が取得した財産の額をいいます。
選択:遺産分割協議で配偶者は1億円を取得することに決まりました。この結果、少ない方の1億円がBとして選択されます。
以上から言えることは配偶者の実際取得額までは相続税は課税しませんョ。実際取得額が民法に定める法定相続分(遺産の二分の一)なら1億6千万円をはるか超えても配偶者の相続税負担はありませんョ、という仕組みです。
例えば遺産100億円の場合、二分の一である50億円を配偶者が取得したら1億6千万円に関係なく50億円が採用されます。
では算式を見ましょう:
相続税の総額×1億円(B)÷ 課税価格の合計額=配偶者の税額軽減額
数字を当てはめます。相続税の総額は10億円とします。10億円×1億円÷100億円=10,000,000円が配偶者の税額軽減額です。
配偶者は取得した財産が遺産総額の100分の一の割合ですから相続税の総額の100分の一の1千万円だけ税額が軽減されます。
次回は配偶者の取り分と税負担の関係につき見てゆきます。
(おことわり)計算式の理解のため数値例は極端に大きくし、また、揃った数字にしています。実際とは異なる場合が多いかもしれませんが趣旨をご理解くださいますようお願いします。
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今回は税額控除のなかで相続税の納税額に一番影響が大きい項目です。
どういう意味かと申しますと
・これが適用できると遺産の額にもよりますが相続税額が殆どゼロになるケースも少なくありません
・適用できる条件は下の通りです。
1,相続税の申告書を提出すること
2,遺産分割ができていること。申告期限まで遺産分割ができていない財産は対象外です。
3,仮装隠蔽がないこと。
配偶者や相続人による仮装隠蔽された金額はこの控除の対象にはなりません。
4,婚姻届出がされていること。事実婚の配偶者は対象になりません。
よくあるハナシ:その1
相続税の申告の仕方を説明した解説書を読まれて「ウチの相続財産は幾ら位か、まず預金の残高を書き出し、株式投資額も相続日の終値をしらべ、路線価をもとに不動産の価額を計算」されるかたは多いです。
問題はその後です。
財産の金額を合計し、葬式費用を控除されたあと配偶者の税額軽減の算式にあてはめた結果、「ウチには相続税がかからないヮ」と判断されてそのままにされますと、この控除規定は働かないため相続税が課税されることになります。上記条件の1で申告が要件となっています。
また、たとえ100億円の遺産があっても分割ができていないならこの控除はつかえません。適用条件の2で遺産分割ができていることとあるからです。
(このような場合は期限後申告を提出して申告期限後にこの控除を適用することができますが、無申告加算税や延滞税などのペナルテイが生じます)
よくあるハナシ:その2
1億6千万円までは「相続税はかからない」との言葉が独り歩きしています。そうなると気の早い方は相続財産を調べることもいしないで「ウチは関係ないヮ」と速断しがちです。
次回に算式でご説明しますが注意点は「遺産総額」と「遺産分割で配偶者が取得した財産」とは別のものです。遺産が100億あっても「遺産分割で配偶者が取得した財産」がゼロならこの控除額もゼロです。
遺産が1億6千万円以上であっても、遺産分割での配偶者の取り分と1億6千万円のバランス次第でこの控除額の多寡が決まります。
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では前回に続いて相続税額から控除される内容につき説明させていただきます。(下の数字は相続税申告書上の欄の番号です)
12 暦年課税分の贈与税額控除額
13 配偶者の税額軽減額
14 未成年者控除額
15 障害者控除額
16 相次相続控除額
17 外国税額控除額
上記のうち重要なのが13です。また12は贈与税の仕組みと関係します。
では順に12の贈与税額控除から入ります。
最初に「暦年課税分の」とあります。ということは他にも贈与税の課税の道があるのでしょうか。あります、これを「相続時精算課税」といいます。親から子や孫に一定の贈与をしておき、贈与した親が亡くなった時に生前贈与財産も合算して相続税の計算をします。そして生前の贈与税を相続税額から控除する仕組みです。この贈与税は前払の相続税になります。
12の贈与税は相続時精算課税のように生前の贈与財産と相続時の遺産を合算しません。歴年という言葉が示すように毎年ごとの贈与に対して贈与税を計算し、納付して課税関係は完結します。ここが歴年課税の特徴です。
しかし例外的に相続開始3年前の贈与に関しては相続財産に加算します。その趣旨は亡くなられる直前に贈与税を課税し、本番の相続税も課税されると課税が連続し重複課税されたような気になるからと言われていますが、別の見方をすれば死期を予感して財産の分散を図ったのを補足するとも考えられます。数字例で見ましょう。
例 被相続人 甲の場合
X1年11月 孫乙に200万円の贈与 贈与税9万円(200万円ー基礎控除110万円)×税率10%=9万円
X2年10月 乙に100万円の贈与 贈与税額なし
X3年 贈与なし
X4年4月 乙に200万円贈与
X4年10月 甲死亡
甲の相続財産に加算されるもの・・X4年10月から3年以内であるX1年の200万円+X2年の100万円の計300万円です。
贈与税額控除額:9万円
注意点:
・基礎控除110万控除前の金額を加算します。
・X2年のように基礎控除に満たない年で贈与税の申告をしなかった年の贈与も加算します。
・X4年の贈与200万円は甲の相続財産に加算されます。贈与税の申告は要りません。
・贈与税の税率は相続税の税率より高いですから控除される贈与税が相続税額を上回ることもありますが上回る部分は切捨です。以前納めた贈与税の還付はされません。
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前回までに各相続人ごとの税額の計算まで来ました。
ここで全体の流れの中で今の位置を知るために相続税申告書の実例に当たってみましょう。
国税庁ホームページに行きます。→はクリックを意味しますので下の流れに沿って進めてください。
スタート:税の情報・手続・用紙→申告手続・用紙→申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)→相続税→相続税の申告の仕方について、詳しく解説→相続税の申告のしかた(令和4年分用)→相続税の申告書の記載例等の78頁を開きます。
このページの真ん中より少し下に「各人の算出税額の計算」という欄があります。ここが前回に算式をあてはめて計算した、配偶者、子1,子2の「負担する相続税額にあたります。
次にその下の欄に目線を移して下さい。ここには「税額控除」として6つの控除が列記されています。(下の数字は申告書上の欄の番号です)
12 暦年課税分の贈与税額控除額
13 配偶者の税額軽減額
14 未成年者控除額
15 障害者控除額
16 相次相続控除額
17 外国税額控除額
この「税額控除」の欄の下は「19 差引税額」です。19から先は24の「期限までに納付すべき税額」となっていますからココが相続税額計算の終着点です。
もう少しのところに来ました。各税額控除の概要につき、重点的に、わかりやすく次回からご案内します。
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前回は2段階での相続税額の計算について第一段階:遺産への課税、第二段階:遺産取得者に対する課税の説明をさせていただきました。
今回は実例に基づいて具体的な計算過程を全体を通して見てみましょう。
第32回と同じように国税庁HPの「相続税の申告のしかた」<Q&A>10頁の数値例を使います。事例は32回と同じです。
事例:お父さんが亡くなり相続人は妻、子二人で計3人です。
1,相続税がかかる財産 1億2千万円
2,債務・葬式費用 2000万円
3,1-2=課税価格の合計額 1億円
4,遺産に係る基礎控除=3000万円+600万円×(相続人の数)3=4800万円
第一段階・・・課税価格の合計額 1億円にかかる税金の計算です。
相続税の総額の計算
<算 式>
民法で定める法定相続分:妻が二分の一、子は二分の一(子が二人いますから子は四分の一づつです)
課税価格の合計額1億円から上記4の4800万円を引いた残額5200万円の民法に応じた各取得金額:
妻・・5200万円×1/2=2600万円
子1・・ 5200万円×1/4=1300万円
子2・・ 5200万円×1/4=1300万円
各取得金額に税率を乗じます:
妻 2600万円×0.15-50万円=340万円
子 1300万円×0.15-50万円=145万円 子二人では145万円×2=290万円
この結果、相続税の総額は630万円です。
第二段階・・・遺産取得者に対する課税
算式:相続税の総額630万円×配偶者、子1,子2が取得した財産の金額/課税価格の合計額1億円
具体的に配偶者が8000万円の財産を遺産分割協議で得るとともに、債務と葬式費用2000万円を引受ましたので配偶者の課税価格は6000万円です。残りの4000万円を子1、子2が折半して2000万円づつ承継しました。
算式を当てはめますと次のようになります。
配偶者の負担する相続税額:630万円×6000万円/1億円=378万円
子1の負担する相続税額 :630万円×2000万円/1億円=126万円
子2の負担する相続税額 :630万円×2000万円/1億円=126万円
実際は上記金額から
・配偶者の税額軽減
・未成年者控除その他の控除
の規定が適用されますのでさらに税額が下がります。
次回はこれらの点に触れます。
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申告書に記入するといってもその前に一度、相続税は何に課税されるのかを考えてみましょう。
遺産に課税されるのでしょう、というのが普通の答です。では遺産そのものに課税されるのでしょうか、それとも遺産を取得したヒトに課税されるのでしょうか。
遺産に税率を掛けるとの答えは遺産に対して課税する考え方に通じますね。一つの考え方です。我国の場合は遺産の額を基礎にしながら、それを取得したヒトを射程に入れます。前回の「相続税の総額」は第一段階の遺産への課税額で、二段階計算の後半は遺産の取得者にフォーカスします。
要するに、遺産全体への課税と取得者個人ごとの課税額の計算との折衷なのです。
整理しておきましょう。
第一段階:遺産に課税されることの意味:亡くなられたかた(被相続人)の一生涯の課税関係の清算の意味があります。使い切れなかった財貨が遺産のカタチになって残ったので(これまでの税金の取り洩れも含めて)税としていただきましょうという考え方です。
第二段階:遺産取得者に課税される意味:遺産は、そのまま維持されるのではなく、やがて相続人の間で分割され承継されるのですから実際には多くの遺産を承継する相続人もあれば少ない金額しか相続しない人もあります。承継取得した遺産額に応じて税額が決まります。少額の承継者と多額承継者が同じ税負担では不公平になります。承継した遺産額に応じて納税する相続税額が決まることが重要です。さもないと少額取得者で担税力がない人には酷です。そこで分割額によって納税額が決まるようになっています。遺産税方式といわず遺産取得税方式と言われるゆえんです。
相続税の申告書を自力で記入される場合、相続税の総額から相続人ごとの計算までの段階で、なぜこのような持って回った計算をするのか不思議に思われるかたが多いようです。以上の点を押さえておかれますと順調に作業が進むでしょう。
具体的な計算は簡単です。次回に示します。
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6-1、ゲーム感覚でしてみよう
キーワードは「相続税の総額」です。
相続税の額ではなく総額となっている点がポイントです。
そこで国税庁HPの「相続税の申告のしかた」<Q&A>10頁の数値例を使って計算してみましょう。
前提:お父さんが亡くなり相続人は妻、子二人で計3人です。
1,相続税がかかる財産 1億2千万円
2,債務・葬式費用 2000万円
3,1-2=課税価格の合計額 1億円
4,遺産に係る基礎控除=3000万円+600万円×(相続人の数)3=4800万円
計算方法は「相続人が民法900条に定める法定相続分に応じて取得したものとした場合における各取得金額につきそれぞれその金額を相続税法に定める税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。」鍵カッコ内は相続税法16条の(相続税の総額)の条文を意訳した表現です。算数の計算を条文の形にしますから税法の条文はワカリニクイと言われますが算式にすればワカリヤスイです。
<算 式>
民法で定める法定相続分:妻が二分の一、子は二分の一(子が二人いますから子は四分の一づつです)
課税価格の合計額1億円から4800万円を引いた残額5200万円の民法に応じた各取得金額:
妻 2600万円 子1 1300万円 子2 1300万円
税率を乗じる:
妻 2600万円×0.15-50万円=340万円
子 1300万円×0.15-50万円=145万円 子二人では145万円×2=290万円
上を合計したのが相続税の総額:340万円+290万円=630万円
この相続税の総額とは遺産から債務・葬式費用を差し引いた正味の遺産への課税額です。
この段階では遺産分割がされる前の状態で税金が計算されています。実際の各相続人の相続税負担額とは異なるだけではなく遺言や遺産分割協議の結果が反映されないような仕組みになっています。
米国では遺産に課税されますが日本はまず遺産に対する総額を算定し、第2段階で遺産を取得した者に税負担を計算する2段構えになっています。
次回は第2段階の説明をさせていただきます。
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全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々‥‥‥‥終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか・・・・・・・・・・・・・・終了 5-1、リース契約がある場合・・・・・・・・・・・終了 5-2、連帯保証も債務のうち・・・・・・・・・・・終了 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道
この場合の形とは申告書の型式に数字を入れてゆくことを意味します。
たしかにそうなのですが「税額の計算」という言葉から課税される財産に税率を掛けるとの思い込みを持ってしまいがちです。
一番多いのが(課税される財産ー控除される債務)×相続税率=相続税の納税額
とのお考えです。この考えは贈与税の場合は当たっています。
贈与税では(贈与された財産額ー贈与税の基礎控除)×贈与税率=贈与税の額 ですから構造としては似ていますね。
しかし相続税には「相続税の総額」という言葉があります。相続税の総額は財産に税率を乗じて得られるものではありません。
次回はキーワードである「相続税の総額」の仕組みをまずご案内させていただきます。このキーワードの背後には相続人の間での財産の承継に伴う遺産分割という大きなヤマがあります。総額とは遺産分割というヤマの前の税額で、分割の影響が及ばないように制度設計されています。
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身元保証債務 連帯債務
いろいろな債務について述べてきましたが今回がこの部分の最終回です。景気が悪くなるなかで、これまで述べてきました保証債務や連帯債務の問題が多くなると予測されます。不動産や預金のように目に見えるものではないため相続税申告書作成の際に見落としがちです。
<身元保証によって生じた債務>
親戚の子が就職するときに、お父さんが身元保証人になっていました。この身元保証は相続税の世界では「特別の信認関係を基礎とするものである(相続税基本通達逐条解説14−3)ため相続の対象にされていません。このため申告書には無関係です。しかし親戚の子が職場で不始末をして雇用主から損害賠償請求され、金額が決まっている場合は確実と認められる債務に該当すると考えられますので債務控除に欄に記入します。
<連帯債務>
保証債務と似た言葉ですが内容は異なります。甲さんと乙さんが1000万円の連帯債務を負う契約で甲、乙の負担部分が二分の一づつと明かな場合は、甲さんに相続があった場合、500万円を債務控除できます。仮に乙さんが自分の負担部分を返済できなくなり、甲さんが乙さんの500万円も負担した場合は、甲さんは乙さんに求償できますが、乙さんから弁済を受けることができない場合は、甲さんの相続税申告書では1000万円全額が債務控除できます。求償できない場合に債務控除の対象になる点は保証債務と同じです。
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保証債務:完
前回の注意点は、被相続人(お父さん)が他人の保証人になっておられることを遠隔地の相続人(長男)が知らないまま相続税申告書を作成することになった場合、債務控除ができるかもしれないのに洩れてしまう点でした。
これまでにご説明してきましたようにお父さんに借金の保証をしてもらった「主たる債務者」が行き詰まり
1・お父さんが代払いして
2・代払い分を主たる債務者に返せと言っても弁済不能のため、返してもらえる見込みがない
1と2の両方の条件があてはまる場合は債務控除することができます。
<どの時点で、2の弁済不能を判断するのか>
判断する時点は「相続開始の際」と条文では書かれています。「際」ですから相続開始の「時」に比べて前後の時間の流れを視野に入れていると考えられます。お父さんの相続後に上記の2が確実化するのを見きわめてからのように考えられます。しかし、この点に関しては裁判例も多いです。ケースバイケースです。
<相続税申告書を提出してから弁済不能になった場合はどうするのか>
相続税申告書提出後一定期間はj申告額減額を税務署に求める「更正の請求」をすることができます。注意点二つあります。更正の請求には「相続税の特則」と国税通則法の更正の請求の二つがありますが後者の方です。更正の請求書に「事実を証明する書類」の添付が求められます。更正の請求が認められる要件は厳しいですから税理士さんに相談されることをお勧めします。
次回は身元保証による債務と連帯債務です。
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<保証債務の相続税申告書への記入>
被相続人さんが他人の債務の保証をされていた場合、その保証債務は相続人に継承されますが、相続税申告書に記入の必要は原則はありません。保証しているだけで確実な債務とはいえないからです。立替払いしても求償して立替分を取り戻すことができるかもしれませんから。
但し以下の場合は別です。
債務の欄に記入できるストーリー
1・お父さんが他人の銀行借入1千万円の連帯保証をしたまま亡くなられた。連帯保証人の立場は息子さんに相続されますが相続直後に他人が行き詰まったので相続人である息子さんに対し銀行が支払を求めてきました。息子さんは銀行へ1千万円を支払いました。息子さんは他人に対して求償権を得たことになります‥‥‥‥この段階では求償権を行使して1千万円を取り戻す余地がありますから相続税申告書に記載はできません。
2・その後、他人に請求したものの立替えた1千万円は回収できないことになりました‥‥‥‥求償権が行使できない1千万円は「確実な債務」になりますから相続税申告書の債務控除の欄に記入することができます。
上記のストーリーは相続が開始されて以降、他人が行き詰まったストーリーですが、相続開始前から保証債務があり、お父さんの相続が始まった時点で既に主たる債務者である他人の経済事情がヨロシクなく、立替払いをした金額の返済を求めることができる事情ではないことがハッキリしている時も、その保証債務の金額は確実な債務になりますから債務として控除することができます。
大事なことは被相続人(この場合はお父さん)が他人の保証人になっておられる事実を知らないまま申告書を提出すると控除できる債務が洩れることになります。被相続人と相続人が近くにいない場合や疎遠な場合は注意が必要です。
]]>連帯保証という言葉があります。保証して他人の借金を背負うことになって家まで取られたとの話は昔からあります。借金などの保証をするので「保証債務」といいます。借金をした人を主たる債務者と呼び、その人が債務を支払えない場合に肩代わりする人が保証人です。Aさんが銀行から借入をするときにBさんが保証した場合、Bさんが保証人です。Aさんの立場は自然人だけでなく法人の場合でもあります。自分が経営している会社が銀行から借入をする際、社長さんであるBさんが保証する場合はよくあります。
<保証人と連帯保証人>
主たる債務者Aが行き詰まって借金を返せなくなった場合、銀行は保証人Bに肩代わりを求めますが、Bさんは「チョット待ってください、ウチに請求する前にまずAさんに請求するのが順序でしょ」とか「Aさんは返済できる資力がありますョ、証明できます」などと主張することができるのが保証人です。が、連帯の2字がつけばそのような主張(抗弁権といいます)はできません。銀行は主たる債務者に請求しないでイキナリ連帯保証人に請求することができます。主たる債務者と同じ立場なのです。
相続税申告においては保証人と連帯保証人とで扱いに差はありません。それより求償権によって違いが出てきます。求償権を行使できるかできないかで債務控除できるかできないかが決まります。
<求償権>
連帯保証人BさんはAさんの借金を立替払いしたとします。そうするとBさんはAさんに対する「求償権」を有することになります。求償権を行使できればBさんが銀行に立替払いしたお金はAさんから取り戻すことができますが、行使できない場合はどうなるのでしょうか?
次回はこの点をご説明します。あわせて「連帯債務」についても説明させていただきます。相続税申告では「保証債務」と「連帯債務」は共通するところがあります。亡くなられたかたが保証しておられた場合や連帯債務がある場合、相続税申告書記入に際しては求償権の行使可否につき良く調べることが重要です。
(お知らせ)
AMAZON売れ筋ランキング(Kindleストア)が分りました。左のカッコ内はkindleでの部門を示します。
掲載順序は一番上が最近刊です。「漫談+危機管理 」のランキングがやや上位で、次いで「新技術がもたらす税務と会計の大変化」でした。ドングリの背比べです(笑)。キーは「漫談」と「DX」かもしれません。今年9月初旬刊行の「Q&A笑解」はまだ動きが分かりませんが、2年近く前の出版『会計力』も大きく順位を下げていない点が特徴です。
(金融・ファイナンス)550位・Q&A笑解:会計・財務情報がわかる!
(ビジネス意思決定)722位・会計の不思議 ―イタリアから安土・織田信長へ
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(財務管理)166位・漫談+危機管理 ー会計・税務の使い方—
(税務会計)335位・これから起こること・・『税金が払えません』&『課税処分に?です』
(財務管理)187位・新技術がもたらす税務と会計の大変化 —AI・RPAの先にあるもの—
(税務会計)343位・論文選集・・たじろぐ3本の指 世界にあふれる自己正当化が凝縮された会計・税務の紛争例を読み解く
(税務会計)334位・アンチエイジング税務 解脱への処方箋:申告見直し・資産負債整理・相続税
(税務会計)326位・終活と税金 シンプルライフへの税の活用
(税務会計)333位・「税理士探し・顧客選び」のヒント61話 —納税者Vs.税理士の争い実例から考える—
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(財務管理)257位・事業家Q奮闘記 —税金・資金と二人の税理士—
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ちなみに1年前の順位は、「新技術がもたらす税務と会計」財務管理部門69位、税務会計部門82位でした。
「事業家ℚ奮闘記」財務管理部門208位でした。多くの電子書籍が相次いで出版される中で、読んでいただけることで、読者のお役に立つのであれば「後ろの方からゆっくり歩むこと」を継続して行ければと思います。
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掲載順序は一番上が最近刊です。「漫談+危機管理 」のランキングが一番上で、次いで「新技術がもたらす税務と会計の大変化」でした。ドングリの背比べです(笑)。キーは「漫談」と「DX」かもしれません。今年9月初旬刊行の「Q&A笑解」はまだ動きが分かりませんが、2年近く前の出版『会計力』も大きく順位を下げていない点が特徴です。
ちなみに1年前の順位は、
「新技術がもたらす税務と会計」財務管理部門69位、税務会計部門82位
「事業家ℚ奮闘記」財務管理部門208位でした。多くの電子書籍が相次いで出版される中で「相撲」で言えば「寄り切られつつある」状態でしょうか(笑)。これも自然のことです。むしろ花火を上げてすぐ消えるよりシブトイほうがこれらの書籍群の中味の特徴かもしれないと手前味噌なことを思っております。
下位でも読んでいただけることで、いささかでもその方を支えるお役に立つのであれば「後ろの方からゆっくり歩むこと」を継続して行ければと思います。
(金融・ファイナンス)550位・Q&A笑解:会計・財務情報がわかる!
(ビジネス意思決定)722位・会計の不思議 ―イタリアから安土・織田信長へ
(財務管理)219位・孫子兵法+倒産回避 —危機は向こうからやってくる—
(財務管理)166位・漫談+危機管理 ー会計・税務の使い方—
(税務会計)335位・これから起こること・・『税金が払えません』&『課税処分に?です』
(財務管理)187位・新技術がもたらす税務と会計の大変化 —AI・RPAの先にあるもの—
(税務会計)343位・論文選集・・たじろぐ3本の指 世界にあふれる自己正当化が凝縮された会計・税務の紛争例を読み解く
(税務会計)334位・アンチエイジング税務 解脱への処方箋:申告見直し・資産負債整理・相続税
(税務会計)326位・終活と税金 シンプルライフへの税の活用
(税務会計)333位・「税理士探し・顧客選び」のヒント61話 —納税者Vs.税理士の争い実例から考える—
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(財務管理)257位・事業家Q奮闘記 —税金・資金と二人の税理士—
(財務管理)210位・『会計力』が事業を育てる - 会計土木の現場から
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前回は見落としやすい借金その他の負債についてご説明しました。
借金や負債の関係で残るのは次の二つです。
・リース債務
・保証債務
今回は<リース債務>
につきご案内します。
税務の世界ではリースを3種類に分けています。
ア:オペレーテイングリース
イ:ファイナンスリースのうちの所有権移転リース
ウ:ファイナンスリースのうちの所有権移転外リース
これらの区分は所得税や法人税、消費税の世界での分類です。相続税では決められたルールはありません。そこで迷いやすいかもしれません。相続税でどうしたらよいかにつき結論に行く前にア〜ウを簡単に説明します。
オペレーテイングリースは単にコピー機などを借りて使用料を支払うものです。ところがファイナンスリースはファイナンスという名から金融取引のにおいがしますね。リース期間が終了したら格安で借主に譲渡できたり、有利に再リースできたり、リース期間が法定耐用年数に比べて相当短い(6割ないし7割を下回る)など「有利」さが契約に埋め込まれている場合は「リースによって所有権が移転した」と所得税や法人税では判断されます。このような有利さが皆無の場合は所有権移転外リースと分類されます。どちらもリース対象資産の売買があったと扱われます。このようなファイナンスリースの扱いは、所得税や法人税のような所得計算の上でのハナシです。
<リース債務は相続税ではどうなるのか>
相続税では法人税や所得税のような定めがありませんから民法で定める相続財産が申告対象です。相続税法の世界では、リース物件はファイナンスリースでもオペレーテイングリースでも単なる借り物です。被相続人がリースされていた借り物は財産ではないので相続税申告書の財産の部に記載する必要はありません。
リース債務も借り物の支払対価に過ぎないため民法上の債務とは一線を画されています。従って5年リースの3年目までリース料を支払われた時期に亡くなられても残りの2年分は債務控除できません。
したがって相続税申告書の債務の欄への記入は不要です。
但し次のような場合は債務控除できます。
仮に、令和4年7月にお亡くなりになられた場合、生前の5月と6月のリース料を自動引落としで支払うべきところ残高不足で二ヶ月分のリース料が未払いであった場合には、この2ケ月分は債務控除ができます。未払債務だからです。
次回は保証債務に行きます。
]]>本日は<週末相続税教室 26>の掲載日ですが、下記のお知らせのため休載させていただきます。
お知らせ2
最近AmazonKindleストアで販売が開始された下の書籍はQ&Aの名の通り
専門家<A氏>と若者<Q君>の対話の形式を用いて、時には漫才のような遣り取りのなかでお腹を抱え笑いながら、いつの間にか理解が進む、との講評を戴いています。
最終章ではこの若者は本書での学びを糧にして将来は海外での起業を決意することになります。
(Amazon紹介文)
これからの資産運用は自己選択・自己責任で舵を切ることが求められます。判断に役立つため、日本や米国の四季報など会社情報で見られる配当率、EPS、PER、PBR、繰延税金資産・負債、退職給付債務、包括利益などについて数社の有価証券報告書を用いて解説し、さらにCF計算書を簡略な記入例で財務3表一体で作表してご理解に役立てます。
第3部第10章の「或る粉飾例の検討」では架空売上をめぐる圧力、追従、忖度の実例を学ぶことができます。
(目 次)
はじめに
第一部 財務諸表
第二部 有価証券報告書
第三部 粉飾
おわりに
細目次はホームページ「Kindle本シリーズ」にてご覧ください。
]]>
(Amazon紹介文)
これからの資産運用は自己選択・自己責任で舵を切ることが求められます。判断に役立つため、日本や米国の四季報など会社情報で見られる配当率、EPS、PER、PBR、繰延税金資産・負債、退職給付債務、包括利益などについて数社の有価証券報告書を用いて解説し、さらにCF計算書を簡略な記入例で財務3表一体で作表してご理解に役立てます。
第3部第10章の「或る粉飾例の検討」では架空売上をめぐる圧力、追従、忖度の実例を学ぶことができます。
(目 次)
はじめに
第一部 財務諸表
第二部 有価証券報告書
第三部 粉飾
おわりに
細目次はホームページ「Kindle本シリーズ」にてご覧ください。
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初めに普通の場合について説明し、例外的なもので注意を要する「意外な借金」や「連帯保証」について述べます。
<マイナスの財産の相続税申告書への記入>
プラスの財産は相続税申告書の中の11表(相続税がかかる財産の明細書)に記入しましたが、マイナス財産は第13表(債務及び葬式費用の明細書)に記入します。
記入項目は
・金融機関からの借入金やモノを購入した場合の未払金が普通です。
<意外な借金>
見落としがちなのは下の3つです。イとウですがイは所得税申告書に付ける決算書の内訳で、ウは法人税申告書に付ける勘定科目内訳明細書の貸付金内訳で税務署に把握されていますから落とさないようにしましょう。
ア・親戚などからの借入金
イ・経営している個人事業の借入金
ウ・同族会社からの借入金
<その他、洩れやすい項目>
・未納の固定資産税・住民税:これらは被相続人が納付しなければならなかった税金で、相続人が支払わなければならない税金です
から、たとえ納税通知書が未到来でも債務として控除できます。
・団体信用生保から返済が免除された住宅ローン:団信生保で返済が免除されるため相続人が支払う必要がありません。なので債務
として扱われません。
・墓地の購入に係る借入金:お墓は相続税が非課税です。非課税の財産を取得する借入金は債務控除できません。少し考えると当然
のことと分かります。お墓を購入してそのお墓が課税財産にならないのに、お墓取得借入金が債務控除できますと、その相続財産
のプラスの課税財産から控除されることになり課税財産が侵食されます。
・預り保証金:貸家業の大家さんの預り保証金が洩れやすいです。
・葬式費用:初七日はもちろん四十九日の費用や香奠返し(最近は少ないようですが)の費用は除きましょう。葬式費用ではありま
せんから。
]]>前回まではプラスの財産についてご案内してきました。今回からは下の表の5に入ります。
マイナスの財産に関して申告書に記入してゆくことになります。ちょうど中間点ですので気づいた点について
触れます。
単純な事を自分から複雑にしないようにしましょう。
資産があったり事業をしておられるかたは相続や相続税のことにタッチするのが気が重い、自分の本業に集中したいのに財産を承継する立場上それができない、なので気が重いという話は世間に多いです。
よく聞いてみると周りからのいろんなハナシをそのまま自分に取り込んで不安に陥り、節税本を買いあさり「トクする」方法が無いかを考える、金融機関などに相談するといろんなことを示してくれる、専門家も紹介してくれる、しかしピンとこない、よくわからないまま時間だけが過ぎてゆく、そのうち自分が何をしているかもわからなくなってきた。
原因は自分のアタマで考えないから、ではないでしょうか。
ヨコからのハナシはあなたの資産負債の実態も知らないのに、その人も聞いた話に尾ひれを付けて不安を増幅してハナシする傾向があります。財産の実際を何も知らないのに話すから不安の要素だけが拡大します。
的から外れた他人のハナシを真に受けて不安に陥るあなたが原因なのです、と申しあげたことがあります。税金が安くなるウマい方法があると思ってしまいます。税金の無駄使いなどが報道されマトモに税金を払うのがアホらしい気持ちは分かりますが、ここにつけ込む金融機関やコンサルタントにからめとられ、しなくても良い節税策に多額の手数料払って自分から複雑な仕組みに入り、自分で理解できていませんからさらに気分が良くありません。
ありのまま申告するので良いのです。下手な知恵をあてにしてトクするウマい話はありません。相続税は全部を持って行きません。税率表では5億円の財産(負債を控除して)の相続税率は41%です。しかしこれからご説明する「申告書の書き方」で出てきますが、単に41%を財産額に掛ける計算ではありません。相続人の数で適用税率は異なります。しかも税率適用前に小規模宅地の特例などがありますから財産の課税価格は減少します。また税率を乗じて税額が算出された後も、「配偶者の相続税額軽減」などの適用ができれば大幅に税額は減少します。このように申告書に記入する作業の過程で税の軽減措置が適用できるのです。後半の「6:税額の計算」のところで理解されると思います。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない‥‥終了 4-1、路線価図を見るのは興味津々……終了 4-2、自分ごとだから理解は早い‥‥‥終了 |
5,意外な借金はないか 5-1、リース契約がある場合 5-2、連帯保証も債務のうち |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態(資格取得履歴・得意分野など)を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
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お知らせ1
毎週土曜日の「週末相続税教室」は夏季休暇のためお休みさせていただきます。
8月27日(土)から再開します。
お知らせ2
このたびAmazon Kindleから下記の書籍が刊行されました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B7QNF6H2
アマゾンのサイトにて見ることができます。どうぞよろしくお願いします。
我が国へのイタリア簿記技術伝来の源流をたどり、現代の企業はもとより国や地方自治体の貸借対照表の検討を通じて会計への興味と関心が高まります。
第1部 会計の活用、第2部 会計感覚を磨く を経て第3部 究極の決断 をするには「盛られた数字を排除」し「外より内をみる」ことを具体例で説いています。
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事例を設けます。
郊外の住宅地にある約60坪の正方形の土地です。「路線価」は300千円と表示されます。この300千円とは路線(道路)に面する宅地の1平方メートル当たりの価額の意味です。
土地を計測した結果、間口14m、道路からの奥行も14mでしたから面積は196?(約60坪)になります。
前回ご紹介しました「奥行価格補正率表」の「地区区分」の表から「普通住宅地区」が該当します。
「奥行価格補正率表」の縦の区分である奥行距離の14m以上の行を見ましょう。普通住宅地区では奥行距離が14mの場合、調整率は1.00と出ています。この意味は、特に軽減する要素はないということです。
なお「以上」と「未満」の違いを誤りますと逓減率が変わってきますから注意しましょう。14m未満とは13.999999メートルのことで、14mはその範囲に入りません。ここで奥行距離を一段階間違えますと評価計算は誤りになります。その結果、その先の課税価格の合計額も誤まりますから相続税の総額や納付する相続税額も間違ってきます。
さて評価をしてみましょう。第21回で書きました定式を使います。
定式:1平米当りの路線価×調整率×面積=評価額
ですから 300千円×1.00×196?=評価額58,800,000円です。
現実には区画が明瞭な土地ばかりではありません。このため(相続税)財産評価基本通達では側方にも道路がある土地、裏にも道路が通っている土地、3方、4方に道路があるためその影響で評価が高くなる土地などに対応するためのルールが定められています。そのほか角地、不整形地、無道路地、間口が狭小な土地(ウナギの寝床のような)、がけ地、地積規模の大きな宅地、などについても財産評価基本通達で定められています。
上の例からもお分かりのように、評価は決してムツカシイものではないのですが、形状が単純ではない(整形地ではない)土地の評価を正確にするにはそれなりの経験も要ります。
相続財産に整形地ではない土地がある場合は税理士または所轄税務署に相談されることも一つの方法です。土地の見方、評価通達の適用によって答えは異なることも多々あります。自分での計算を貫かれることも一つの道です。
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今回は具体的な計算例で土地の評価をしてみましょう。
国税庁HPに「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」の書式があります。実際はこの書式に記入して申告します。ここの1に「一路線に面する宅地」の欄があります。基本は、この欄の適用から入ります。といいますのは実際に使用中の土地は必ず道路に面していますから、その面している道路の価格(路線価)が使われます。路線価は国税庁HP<https://www.nta.go.jp>の中の「路線価図・評価倍率表をクリックされますと<https://www.rosenka.nta.go.jp>「評価明細書・調整率表の説明」の二つ目の四角囲みに「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表」が掲げられています。
現在は「平成31 年1月分以降用」を使います。過去の各年の調整率表を較べますと微妙に数字が違っているのが分かります。土地の現況を反映するための修正です。注意すべきは相続があった年と異なった年度の調整表を使いますと初めから計算を誤ります。もちろん相続税額の計算まで間違いが続きますから注意しましょう。
下の表は平成30年以降用の調整率表の中の奥行価格補正率表の一部分です。
地区区分は土地の使用区分です。どの区分に属するかは路線価図の上部に示されています。普通住宅地区は路線価図のうえでは無印で示されています。
一番使用される普通住宅地区の列・太字の数字をご覧ください。道路から敷地の奥行が浅くて4メートルまで行かない土地(奥行短小と以前は云いました)は1割引きの評価です。使い勝手がよろしくないのでしょう。それが10メートルに達しますと1.0つまり評価は減少しません。その後は奥行きが深まるほど評価減になります。
住宅造成地などはほぼ四角形ですから道路から奥行き迄のメートルを巻尺などで測りますと逓減率が分かります。
次回は計算してみましょう。ここまでデータを集めるのが厄介ですが以後は意外に簡単です。
地区区分 奥行距離 |
ビル街地区 | 高度商業地区 | 繁華街地区 | 普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4未満 | 0.80 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.85 | 0.85 |
4以上6未満 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.90 | 0.90 | |
6 〃 8 〃 | 0.84 | 0.94 | 0.95 | 0.95 | 0.95 | 0.93 | 0.93 |
8 〃 10 〃 | 0.88 | 0.96 | 0.97 | 0.97 | 0.97 | 0.95 | 0.95 |
10 〃 12 〃 | 0.90 | 0.98 | 0.99 | 0.99 | 1.00 | 0.96 | 0.96 |
12 〃 14 〃 | 0.91 | 0.99 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 0.97 | |
14 〃 16 〃 | 0.92 | 1.00 | 0.98 | 0.98 | |||
16 〃 20 〃 | 0.93 | 0.99 | 0.99 | ||||
20 〃 24 〃 | 0.94 | 1.00 | 1.00 | ||||
24 〃 28 〃 | 0.95 | 0.97 | |||||
28 〃 32 〃 | 0.96 | 0.98 | 0.95 | ||||
32 〃 36 〃 | 0.97 | 0.96 | 0.97 | 0.93 | |||
36 〃 40 〃 | 0.98 | 0.94 | 0.95 | 0.92 | |||
40 〃 44 〃 | 0.99 | 0.92 | 0.93 | 0.91 | |||
44 〃 48 〃 | 1.00 | 0.90 | 0.91 | 0.90 | |||
48 〃 52 〃 | 0.99 | 0.88 | 0.89 | 0.89 | |||
52 〃 56 〃 | 0.98 | 0.87 | 0.88 | 0.88 | |||
56 〃 60 〃 | 0.97 | 0.86 | 0.87 | 0.87 | |||
60 〃 64 〃 | 0.96 | 0.85 | 0.86 | 0.86 | 0.99 |
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………終了 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない 4-1、路線価図を見るのは興味津々 4-2、自分ごとだから理解は早い |
5,意外な借金はないか 5-1、リース契約がある場合 5-2、連帯保証も債務のうち |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
不動産には土地と建物があります。まず土地からご案内します。
土地にも宅地から農地(田、畑)山林などがありますが、このブログの目的は相続税申告書を自力で作成されることのお手伝いですから宅地について説明します。
宅地について相続税申告書に記載するにはその宅地の価額を算出しなければなりません。税務の世界ではこの価額付けを「評価」といいます。
評価方法には路線価方式と倍率方式があります。倍率方式とは路線価が定められていない地域の評価方法です。
(路線価方式)
国税庁が、その土地の前を通っている道路に1平方メートル当たりの価額をつけています。国税庁のホームページに行きますと令和4年分 路線価図・評価倍率表が掲げられています。国税局ごとに区分され、府県別、さらに市町村をクリックしますと地名(町名)ごとに「路線価図ページ番号」が表示されていますから相続財産がある土地に行き着くことができます。街の細かい路地のような道路にもそれぞれの立地を反映した値段が付されています。我国行政のきめ細かさや優秀さが見えてきて感心させられます。この路線価図を見るだけでも興味が尽きません。
評価方法は
1平米あたりの路線価×面積=評価額 が基本ですが、実際は
1平米あたりの路線価×調整率×面積=評価額で計算されます。
調整率には奥行価格補正率や側方路線影響加算率などがありますが、これらは一例で、間口狭小補正率などもっと多くの調整率があります。これまで自力作成のご相談の場合は上の二つの調整率で計算できましたのでその他の補正率については割愛します。
次回は具体的な計算例をお示します。その先は倍率方式に行きます。
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本日のテーマ:「死亡に伴い支払われる保険金」以外の生命保険金について
これまで見てきました1と2の二つのケースで共通していることは被保険者であるお父さんの死亡に伴って生命保険金が支払われたケースでした。
しかし「死亡に伴い支払われる保険金」でないものも相続に際しては存在します。
こんなケースです。
・被相続人が保険料を負担し、被相続人以外の人が契約者となっている生命保険契約で、相続開始の時に、まだ保険金の支払事由が発生していないケース
具体的には下記の3者関係ですが、契約者が保険料を負担するのでなく、お父さんが保険料を負担されておられる点が特徴です。
・契約者:息子
・被保険者:お母さん
・保険金受取人:息子
・保険料負担者:お父さん
この場合は、お父さんが亡くなられるまでに長年負担されてきた保険料(投下資本)の蓄積分は、お父さんの死亡を機に契約者に引継がれます。この保険料の蓄積分は「生命保険契約の権利」と呼ばれ、相続によってその権利を息子が取得したと「みなされ」ます。
言わば息子は一円の保険料も出していないのにお父さんから「タナぼた」で権利という経済価値を得ましたからココで相続税を課せられるのです。考えてみれば当然です。
相続税が課税される金額(評価額といいます)はその保険契約を解約する場合に支払われることとなる解約返戻金と同額です。したがって解約返戻金がない掛捨て保険は評価されません。掛捨てですから投下資本の蓄積はない、との見方です。
お父さんの死後、息子は契約者として引続いて保険料を(お父さんになり代わって)保険会社に支払い続けますと、お母さんの死亡によって生命保険金を得ることができます。この場合はお父さんから引き継いだ掛金(保険料)には相続税の課税がされていますから、その部分も含め息子自身がかけた保険料です。お母さんの相続で保険金を受け取った息子さんへの課税はどうなるのでしょうか?
答:息子さんには所得税(一時所得)がかかります。第19回の1のケースと同じです。
保険の税務はキリがないくらい多岐に亘ります。基本パターンは以上ですのでここでピリオドとします。
次回は不動産の評価に入ります。
]]>前回の続きです。
次の二つのケースが想定されていました。
その前に保険をめぐる3者関係を押さえましょう。
・掛金を負担する人=契約者
・保険をかけられる人=被保険者
・保険金を受け取る人=保険金受取人
このように「契約者」「被保険者」「受取人」の立場にご自分がなられたと想定してみますと、それほど難しいことはありません。
1・被相続人を被保険者にして掛け金は息子さんが負担していた場合はどうなるのでしょうか?
このケースは息子さんが契約者です。お父さんに生命保険をかける契約を結ばれて長年保険料を払ってこられました。いわばご自分が掛金である資本を投下し、息子さんが受取人である場合は息子さんの所得(利益)になりますから所得税が課税されます。一時所得に分類され
収入された保険金-それまでの掛金(保険料)=残額
<この残額から一時所得の特別控除50万円が控除され「一時所得の金額」になります。この二分の一が総所得金額になり他の所得と
合算され所得税が課されますが相続税の問題ではありませんのでここくらいで止めます>
2・亡くなられたかたが保険料を負担して娘さんが契約者である場合はどうなるのでしょうか?
このケースは少し複雑です。普通は契約者が保険料を負担しますが、このケースでは娘さんは契約者であるのに保険料を負担していません。亡くなられたかたがお父さんである場合、お父さんが娘さんが負担する保険料を肩代わりしていたことになります。
設問では保険金受取人が書かれていません。受取人が娘さんとしますと、被保険者=お父さん、保険料負担者=お父さん、ですからお父さんは娘のために保険料を負担していたことに3者関係が整理できます。
お父さんの投下資本が相続を機に娘さんに移転していますから、常識で考えても娘さんがお父さんからプレゼントされたことになります。
この場合は保険金受取人である娘さんに相続税が課税されます。少し専門的になりますが相続税法第3条第1号で「みなし相続財産」として恰も本来の相続財産と同じように相続税の申告書に計上しなければなりません。生保会社からも支払いの事実が税務署に通知されますから相続税の申告から洩れていますと過少申告加算税が追徴されます。
ここで応用問題です。
亡くなられたかたがお父さんでなく遠い親戚(要するに受取人である娘さんが相続人の立場ではない)の伯父さんである時はどうなるのでしょうか。
この場合はお父さんの相続税とは関係ありません。伯父さんの相続税申告の際、この娘さんは伯父さんから遺贈を受けた者として相続税申告をしなければなりません。
3者の関係次第で、相続・遺贈・贈与などにの扱いが異なります。要は3者関係を戸籍により決め、保険料の負担者を確認し、保険契約を良く見ることで答えは導かれます。特に掛金を負担した人は名目ではなく実際の負担者で判断しないと誤りかねません。
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今回は「保険の棚卸をする」の2回目です。
初めは一回で済ませる予定でしたがもう少し触れることにします。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、‥‥‥終了 3-4、保険の棚卸をする………進行中 |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない 4-1、路線価図を見るのは興味津々 4-2、自分ごとだから理解は早い |
5,意外な借金はないか 5-1、リース契約がある場合 5-2、連帯保証も債務のうち |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
国税庁のホームページの相続税申告書の記載例という頁に行きますと第9表に「生命保険金などの明細書」があります。
その内容は前回ご説明した内容のように死亡に伴って支払われる生命保険金がよくある例です。死亡により3000万円の生命保険金が入った。相続人が4人の場合500万円×4=2000万円までは課税されません。残額1000万円が9表に記され、11表という課税財産リストに加わります。
ここでの注意点は生命保険金だけでなく「死亡に伴い支払われる」損害保険金や農協の共済金も同じ扱いになる点です。
もう一つ大事な点は「被相続人が掛金を負担していること」が要件です。亡くなられた人(被相続人)が自分を被保険者にして掛け金を負担し、相続人が保険金の受取人であるカタチです。この流れでは生命保険金は被相続人からの「贈り物」ですから預金や不動産などと同じように相続財産として課税されるのです。
では
・被相続人を被保険者にして掛け金は息子さんが負担していた場合はどうなるのでしょうか?
また
・亡くなられたかたが保険料を負担して娘さんが契約者である場合はどうなるのでしょうか?
保険は下の3者関係で課税の状態が異なってきます。
・掛金を負担する人
・保険をかけられる人(被保険者)
・保険金を受け取る人
「保険の棚卸」をするとはこのような3者関係が絡み合った保険契約を見直すことなのです。
このように結構複雑ですが、さらーっと上記の例を次回は見ておきましょう。
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保険には自動車保険や火災保険などの損害保険や医療保険などもあります。ここでいう保険とは、人の死亡に伴い支払われる生命保険と損害保険です。
1,棚卸の意味
このブログは、相続税申告書の自力作成のためにお役に立つのが目的ですから、ご家族やご親戚のどなたかが亡くなられた段階での申告書作成のためですが、ここは少し時点を手前にもってきて(まだ相続が始まらない日々で)注意する点を見てみます。
棚卸の目的は無駄な保険を掛けていないかのチェックです。
・事例で見てみましょう
例:相続人4人、その内訳は配偶者、子ども3人とします。
財産5000万円で債務はないとします。万が一の場合は5000万円について相続税がかかるのかが気になるところです。
相続税法では基礎控除が定められています。
遺産に係る基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人数
例の場合の法定相続人数は4人ですから遺産が5400万円までは相続税はかかりませんから5000万円の遺産では申告も不要です。
・ところが例の場合、死亡保険金3000万円の保険に入られていたことがわかりました。
「死亡保険金にも相続税がかかるの、うそ〜、えげつな〜」と思われるかたも多いと思います。実際、死亡保険金に税金を掛けない国もあります。もし死亡保険金3000万円が相続税では非課税であるなら何も問題はありません。
しかし日本では一定額(この金額を非課税金額といいます)を超える場合は課税されます。
非課税金額とは:500万円×法定相続人数です。
例では500万円×法定相続人数4人=2000万円が非課税金額です。
ということは生命保険金3000万円ー生命保険金の非課税金額2000万円=1000万円←この金額は財産5000万円に加算されます
・ここで整理してみましょう
遺産5000万円+(みなし相続財産)生命保険金1000万円=課税遺産総額6000万円
遺産に係る基礎控除5400万円ですから6000万円ー5400万円=600万円が課税されるのです。
もちろん相続税申告書の提出も必要です。無申告の場合は無申告加算税が課されます。
2,まとめ
何年も漫然と保険を掛けたままにして見直さないと例のように「保険が税金を呼んでくる」ことになります。
「保険」とは険しい事態に平静を保つ、という意味でしよう。「険しい状態」は年齢によって変化します。世間には葬式代だけあれば良いからその金額の保険金まで縮小したと仰る高齢者様もおられます。
保険の棚卸をお勧めするのは
ア・ご自分の険しい状態はどんな場合か
イ・平常を保つには幾らの非常資金(生命保険金)が必要か
アとイのバランスをみて順応してゆくためです。
例のケースでも残された相続人のかたがたの役に立つならば3000万円の生命保険金は理にかなった必要な大事なお金です。相続税の申告をしましょう。
しかし相続人のかたがたが、自分で結構稼いで預金や投資財産を形成されておられる場合は、生命保険金は不要であったかもしれません。3000万円を非課税の2000万円の枠まで縮小するのも賢い道ですが、掛金というCostを伴いますから幾ら相続税が非課税でも掛金は無用なCostでしょう。本末転倒に陥らないことです。
こんなことは生命保険会社からは言ってきません。契約した側で「保険の棚卸」をして行動しなければなりません。
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ICTの進化と課税庁への情報集積
1,協力要請
取引関係者に対し資料提供の協力要請が強化されています。また国税通則法が強化され懲役刑を含む情報提供が法定されています。財産の調査に非協力であることはできないのです。これはインターネットで匿名であっても追及されます。
2,銀行や証券会社はどうなるか
顧客である納税者の口座情報に税務署から問合せがあれば番号検索でスグ回答できるようになっています。
3,世間の誰からでも投書できる
国税庁のホームぺージのご意見・ご要望→課税徴収漏れに関する情報の提供→情報提供フォームの入力へ書込みができます。電子投書ですね。誤解を招くような財産の話題を気軽に話すことは禍根を残します。もちろん情報提供者の名前は「外部に漏らすことはありません」と国税庁は約束しています。
4,海外関係
国外への送金をはじめ国外財産、国外証券移管、国外公社債利子などは「調書」が作成されていますが、さらに租税条約で情報交換されています。相手国と相互に自動的に情報交換機能が働きますから外国の隠し口座への資金移動も網に掛かります。
相続税や贈与税の海外隠し財産の摘発はICTの進歩で急速に進み数十万件を超える情報交換がされています。この数は増えてゆくでしょう。海外口座情報は令和元年度で189万件でしたがもっと増加していると考えられます。外国の課税庁との連携が進んでいます。
5,海外財産の種類
ダントツの1位が有価証券で8割を占め、2位の預貯金を大きく離しています。
6,相続税調査
大量の収集データをAIで分析しターゲットを絞ります。その納税者の申告書内容と税務署が有している情報を比べ、無申告はもちろん過少申告が確信されると調査に入ります。
(相続税調査のポイント3点)
ア:無申告の摘発・・・財産種類としては隠し預金がトップです
イ:海外資産の申告漏れ把握・・海外現預金と有価証券が2大発見資産です
ウ:贈与税の申告漏れ把握・・・贈与しているのに申告していない場合が多いです。贈与税を申告していたのにそこで漏れがあった場合が11%に対し88%余が無申告でした。これが現実ですが金融機関への強力な協力体制の法制化(懲役刑を含む)で把握の精度は上がるでしょう。
以上が概観です。
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では亡くなられたかたの財産を11表に記入してゆきましょう。前回に貸借対照表のたとえを用いましたが、別に仕訳はいりません。ここはむつかしく考えないで財産目録を作るように記入します。相続日の時価で記入します。
記入には一定の順序がありますので、これに沿うことが便利です。会社などの貸借対照表では現金・預金など流動性の高いものから順に並んでいますが11表では土地→家屋→有価証券→現金預金等→家庭用財産→その他の財産の順に記入します。
流動性より固定性の財産から記入します。金額的にも不動産などは価額が大きいので(資産構成は一概には言えませんが)大から小へ流れてゆくイメージです。
預金などは簡単ですが、その他の財産の時価の概要は以下です。
・土地:路線価で計算します。ご自分で計算された場合の結果を拝見しますが皆さん概ね正解です。良く調べてお
られます。レアケース以外は答えが出るようになっています。税務署や税理士会の相談コーナーを利用されるこ
とも一案です。
・家屋:固定御資産税の評価額(課税標準と取り違えないようにしましょう)を記入します。貸家などは賃借人の権
利である借家権を控除します。借家権は地域によって異なりますが調べることはカンタンです。大阪府は30%で
す。ですから70%が家主の権利です。
・上場株式:相続日の終値か、相続日の属する月の3月前(5月に亡くなられた場合は3月からの3ケ月)の間の毎日の
終値の月平均値の一番低い価格か、のどちらか低い方によります。
・非上場会社の株価は複雑ですから税理士の助けを求められたら良いでしょう。中小企業の決算書は不正確なモノ
も多く会計の理解が必須です。
家庭用財産とは家具などです。まとめての凡その処分価値を記入します。税務署もこの項目は常識的な価額ならこれまでの経験でも、あまり問題にしません。
その他の財産は注意しましょう。貴金属、ゴールド、宝石類、絵画、ゴルフ会員権などが含まれます。ゴルフ会員権は相場があります。相場がないものは価額が高くない傾向です。ゴルフ場がわかれば購入価格は分かりますが、購入価格は時価ではありません。
ゴルフ会員権以外の項目には時価を決めるのはなかなか困難な場合があります。簡単に言えば交換価値がわかることが必要です。貴金属、宝石、絵画の時価はその商いをしている人でないと分からない場合が多いからです。税理士には鑑定家の人脈がありますが、一般のかたの場合は自分で調べたり相談したりで解決します。
税務調査になれば、生前の預金の支出先はチェックされます。特定の業者での購入記録が反面調査で洗い出されます。株式も顧客勘定元帳をもとに税務署はウリ・カイを追跡します。また仮想通貨や最近話題のオンラインカジノなど海外に業者のサーバーがある場合でも課税庁は追及できます。国際的な課税庁の協力網もできていますから軽く考えると後々たたります。
次回はコンピュータの進歩で、世界に拡散する財産のありかに対して、税務当局の追及がされる制度面を見ておきましょう。
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前回は国税庁ホームページのTopページの右上にあります白抜きの窓に「相続税申告書令和3年分用」と入力し、
「相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)」に行き、第11表の入り口まで来ていました。
全 体 図 |
1、相続以前の話 1-1、外より内を見ること・・・・終了 1-2、相続の話は「家族でも他人」、利害が絡むから安易な会話は禁物・・・終了 |
2、相続人の確認 2-1、どうすれば確認できるか・・・・・終了 2-2、遺言の有無も確かめましょう・・・終了 |
3、財産リストを作る 3-1、スマホやPCの中身にも遺産が‥‥終了 3-2、スマホ、PCは見ることができますか、PW、IDの管理は‥‥終了 3-3、意外な副産物・・宝石、金、その他の投資、 3-4、保険の棚卸をする |
4,普通の不動産の評価はむつかしくない 4-1、路線価図を見るのは興味津々 4-2、自分ごとだから理解は早い |
5,意外な借金はないか 5-1、リース契約がある場合 5-2、連帯保証も債務のうち |
6,税額の計算・・・形から入るほうが簡単への道 6-1、ゲーム感覚でしてみよう、深刻にならないこと 6-2、国税庁のHPで最新の申告書に試行錯誤でまず書いてみる |
7,専門家の守備範囲の違いと実際を知る 7-1、適切な質問をしてその専門家の実態を知ること 7-2、専門家と紛争にならないための注意 7-3、簡単な約束事も紙に書いて残すこと、相手のサインをもらっておく |
8,その他 |
第10回で第11表はプラスの財産を記入し、第13表にはマイナスの財産を記入すると説明しました。そして第14表の名前を見ますと「純財産価額に加算される、、、」とあります。
11表の名前:相続税がかかる財産の明細書・・・プラスの財産の明細
13表の名前:債務及び葬式費用の明細書・・・・マイナスの財産の明細
14表の名前:純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額
実は相続税申告書の柱はこの三つの表なのです。ほかは枝であったり特例のための書式です。
上記の3つの表は会計での貸借対照表の構造に似ています。貸借対照表では資産ー負債=純資産との等式で表されました。貸借対照表は一葉ですがそれが3つに分かれているだけです。
そしてプラスからマイナスを控除した純資産の額に相続税が課されるのです。
第11表は被相続人の個人財産の「資産の部」に属する内容を整理するものです。
次回は3-3です。
]]>第10回でご紹介しましたように国税庁のホームページに行き、Topページの右上にある白抜きの窓に<相続税申告書令和3年分用>と記入しますと画面が変わり「相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)が現れます。
今はもう令和4年も4月半ばなのになぜ令和3年分用なのか?と思われるかたもおられると思います。相続税の申告書の提出期限は相続があった日(亡くなられた日)の翌日から10ケ月以内と定められています。
例:令和3年5月5日に亡くなられた場合→その翌日は5月6日です→10か月後は令和4年3月5日でこの日が提出期限です:なので令和3年分用を使います。
<注書きを見落とさないようにしましょう>
普通の本を読んでいる場合注1とか注2とか*がついて出てきます。飛ばして読み進んでも流れは理解できます。しかし税の申告書の注は丁寧に読んでください。さもないと第一ボタンから掛け違いが起こってしまいます。
1行目に(注)1が書かれています。「こちらに掲載されている申告書等は、令和3年1月1日から令和4年12月31日までに亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものです。」と説明されています。
ついでに(注)2にも目を通してください。一般用に〇が付されています。何を一般というか説明が続きます。「相続時精算課税適用者」又は「相続税の納税猶予等の特例の適用を受けない人を「一般」としています。
少し触れますと、相続時精算課税とは歴年の110万円贈与コースではなく60歳以上の親などから18歳以上(令和4年4月1日までは20歳でした)の子に対し贈与を選択された場合です。納税猶予とは農地、個人の事業用資産、非上場株式などに関して細かい条件に合った場合に限り適用できる制度です。例外で一般的ではありませんから省略します。気にしないで前へ進みます。
<第11表を眺めてみましょう、そしてカタチから入りましょう>
11表の右端のpdfをクリックされますと書式が出ます。
財産の明細のところを埋めてゆけば良いのです。数量・単価・価額が重要です。
この表を埋めるというカタチから入ることでサクサクと記入できる所が案外多いことに気付かれるでしょう。預金などは簡単ですよね。
次回からは同じホームページにある「相続税の申告のしかた」と75頁からの「相続税申告書の記載例等」を手引きにして進めます。
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受注してから制作→納品の順序になります。
既刊の電子書籍11冊が販売可能です。
価格等の詳細は下の手順でホームページからご確認ください。
手順:
1,TOP頁の左側にKindle本シリーズのボタンがあります。一番上には近刊の「孫子兵法+倒産回避」の表紙が見えます。
この本の表紙をクリックされますと画面が変わり、中段の四角の枠内に「ペーパーバック購入予約フォーム」が青色で表示されています。ここをクリックしていただきますと書名を選択されて、予約申込が送信できます。
2,全11冊の書籍名が並んでいますから、どの書名からでも申し込みされる書籍をお選びいただくことができます。
3,Top頁の「事務所の特徴」などのボタンのすぐ上にあります「ペーパーバック購入予約」ボタンからでも予約フォームにアクセスすることができます。
どうぞよろしくお願いします。
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(PWやIDの管理)
これについては前回に少し触れましたが、銀行などから周期的に変更を求められます。
ご自分でサイクルごとにルールを決めておき、そのルールに沿って変更するようにすれば、あなたがモノを云えない状態になった場合や(ストレートに申し上げますと)お亡くなりになられたばあいにも遺族のかたがそのルールを読み取って、残されたPWやIDが変更などで使えない場合にも、これまでは、このように変更してきているから、ひょっとしたらこのようなPWやIDに変わっているかもしれないとの推測ができることも重要です。
(最小限主義)
またスマホやPCの中身で誤解されそうな内容のものなどは早め早めに削除する時間を取ることです。紙の書類でも本でも不要なものは単なる懐古趣味であると割り切って処分しましょう。
同じように自然に増えてしまうメールなども意識して削除したりホルダーごとエイヤーと思い切って削除しましょう。自然に増えるものは気がつけばゴミの山です。目に見えるゴミは膨大になればこれではいけないと思って、整理します。ところがPCの中身は積極的に取り組まないと減りません。スマホにも勝手にアップリケ―ションが入り込んできます。インターネットを見たキャッシュという痕跡も月に一度はインターネットオプションをクリックして(方法はブラウザによって異なりますからここではこれ以上踏みこみません)閲覧履歴の削除を行いましょう。PCがゴミ屋敷状態になっていないかのチェックが必要です。
(要するに)
最期は全てゴミになるものです。元気な今から無駄なものを排除して身軽になることを心がけることで動きが軽くなります。並行して何のためにモノをもつのか、自問してみましょう。
自然の中で生きる生き物は何も持たないで天寿を全うします。欲や見栄から不要なものが溜まってきたのなら根本の考え方を改めない限り堂々巡りの蟻地獄のようなゲームに引きずり込まれます。無用なものを購入して他人に儲けられているのです。
今回と前回の前置きが長くなりました。次回は申告書第11表の書き方に入りましょう。
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