新技術がもたらす税務と会計の大変化 AI・RPAの先にあるもの

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納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 国>3

1、争った結果はどうなったか

 判決は税務署の主張を全面的に取り入れ、青木さんは仮装隠蔽をした。その理由は、地代収入を申告しなければならないことを知っていながら税理士に対して正しい資料を提供することなく、過少な申告書を作成させたことにある。

 

 上記文章は、判決文から普通の表現の部分を拾ったものであるが、判決文では上記の他に「確定的な脱税の意志に基づいて」「税理士に収入を秘匿し」とかなり強烈な表現をしている。そして、青木さんは「過少申告の意図を外部からもうかがわせる特段の行動」に相当すると結論付けた。

 

2、青木さんの主張に対しどのように説示したか

 青木さんは地代の収入があることは認識していたが「多額の支出や損失があったため、申告すべき地代収入がある」は認識していなかったと主張していた。

 

 このことに対し判決では「支出や損失」とはどのような内容の支出、損失で、その中身が所得税法に定める必要経費に該当するとの主張はしていないうえ、不動産所得の総収入金額を上回るほどの多額の必要経費が生じている事情は窺われないので、青木さんの主張は採用することはできないとの結論になった。

 

 また税理士と補助者は青木さんと直接面談していない点も青木さんの不利に働いた。その他に

地代の振込口座を青木さんの母親名義の普通預金口座とした点や、

地代の賃料を変更しているのにそのことも税理士には伝えていないこと、などが「間接証拠」として考慮されたうえ、

税務調査で調査官に地代収入を隠そうとした事実を考慮すると、正しい申告をしていたとは考えられないとの結果になった。

 

3、さらに詰めるべき点は以下である。

・確定的な脱税の意図の表現は妥当か、脱税と申告漏れとはどう異なるのか

税理士に収入が有ることを伝えず、少ない収入を書いた書類を渡したことが仮装隠蔽になるのか

・仮装隠蔽になることと「偽りその他不正の行為」とはどこが違うのか

・税理士が依頼者と直接会わなかった点に問題はないのか

 

<次回予告>

上記3について検討します。

 

- | 08:46 | pookmark
納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 国>2

 

1、青木さんの言葉のほころび

 税務調査にて調査官とのやりとりは以下である。これが決めてになり裁判の場で言うことがすべて裏目に出て却って立場を悪くしてゆく。以下の問答は税務調査の場ではママある。そのまま修正申告して納税すれば軽微なペナルテイ―で済んだ可能性もある。

 

調査官「あなたは多数の土地を所有していますが、他に不動産収入はありますか

青木さん「ありません」

調査官本当にありませんか

青木さん「(少し間があって)実はあります。地代収入があります。

 

調査官「地代収入があるのに、申告しなかったのはなぜですか。」

青木さん「人間はずるいもので、税務署に指摘されるまで申告しなくてもいいいかなと思っていました。

 

 ここで矛を収めないで争いの場に進んでいったことから事態は「ママあること」から離れ、青木さんの「偽り」の検証に移ってゆく。

 

 税金の裁判では税務署の行った課税処分(青木さんの場合は仮装隠蔽と偽りの行為)の取消しを求めて争う。訴えるのは処分を受けた納税者であり税務署は被告の立場になる。

 

2、双方の遣り取り

被告・税務署の主張

(青木氏は)「地代収入を申告する必要があることを認識しながら」と以下の事実を以て反論され「不動産所得の秘匿という意図」があると主張されることになった。

・税理士に対し意図的に地代収入の存在を告げなかった。

・他の土地に関して税務署から「お尋ね」があった、このことを税理士に話さなかった。

・土地の賃料変更をしていることを税理士に伝えなかった。

・税理士補助者からの地代収入が入金になったことに関して不自然な回答をした。

以上は仮装隠蔽、偽りの不正行為にあたる。

 

原告・青木氏

・この土地には多額の支出または損失があり全体として利益は出ていないと思った。不動産所得があるとは認識していなかった。

・税務署からの「お尋ね」は本件地代収入とは関係はない。

・補助者への回答では、地代収入を申告しない意向であると回答したのではない。

仮装隠蔽、偽りの不正行為にあたらない。

 

 以上の遣り取りのように原告が被告に押しまくられている。その理由は地代収入を申告する必要があることを認識しながら」の一行が効いているため迫力を欠くことになっている。

 

<次回予告>

最終決着はどうなったかを検討し、別の角度から検討してみたい。

 

- | 08:37 | pookmark
納税者・国・税理士 3者間紛争 <納税者 対 国>1

1、あらすじ

 青木さん(仮名、以下同じ)は以前に貸金業をしていたが、当時は会社代表者であり、駐車場の賃貸収入と土地3筆の地代収入がある。税務調査で土地3筆の地代収入(以下単に地代収入とする)が申告洩れであることを指摘された。

 青木さんは所得税確定申告を昔は自分で行っていたが、最近は税理士に依頼して申告していた。税理士とは直接会って話したことはなく、経営する会社の事務員(以下事務員という)を使者として書類を届けたり税理士並びに税理士事務所補助者(以下、補助者という)からの質問の回答をさせていた。

 税理士は自ら依頼者である青木さんはもとより、使者の事務員に接することはなく、事務所の補助者に事務員と面接させ、補助者が受け取った青木さんの資料や伝言をもとに所得税確定申告書を作成していた。

 税務調査で指摘の地代収入の申告が何年にもわたって洩れていたことに関して青木さんは、その土地に関連する支出が多く、損失もあったことから利益はないと思い、不動産所得の申告はしなかったと主張している。

 ところが税務調査での遣り取りでの発言のほころびが見つかり、そのうえ税理士にも地代収入を計上しない申告資料を渡していたこともあり、税務署は仮装隠蔽並びに「偽りその他不正の行為によってその全部若しくは一部の税額を免れ」(国税通則法70条4項)たとの処分をした。仮装隠蔽だけでは通常は5年間(当時は3年間)遡って課税されるところ、偽りその他不正の行為に該当すれば7年間に遡って課税される。

 

2、顛末

 青木さんは異議申立て(現在の「再調査の請求」)や国税不服審判所への審査請求をしたが、いずれも棄却の決定がされ、最後の手段として裁判所に以下の点の取消を求めて出訴した。

・「仮装隠蔽の事実」はなく「偽りその他不正の行為」もしていない。違法にされた処分を取り消せ。

・当時の法律では3年間遡っての更正処分にとどまるところ「偽りその他不正の行為」に該当することにより7年間遡っての追徴をされた。3年を超える4年分の更正処分による追徴税額を取り消せ。

 

 しかし判決は、その賃料収入に係る不動産所得を申告すべきことを熟知しながら、確定的な脱税の意志に基づき、当該所得に関する資料を意図的に税理士に提示せず、同税理士に過少な申告を記載した確定申告書を作成させてこれを提出するという「過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動」をした、これらは仮装隠蔽に基づく申告であり「偽りその他不正の行為」により税額を免れたものであるから法定申告期限から7年を遡った税務署の処分は適法である、と結論し青木さんは敗訴した。

                             <参考:TAINS Z888-2229>

 

<次回予告>

 青木さんの発言の「ほころび」に焦点を当てるとともに、そのことがなぜ「確定的な脱税の意図」との厳しい表現になるのか、税理士に事実より少ない所得を記した資料を渡したことが、はたして仮装隠蔽になるのか、仮装隠蔽に該当すれば「偽りその他不正の行為」に必ず結びつくのか、などについて検討する。

 

 

 

- | 08:06 | pookmark
納税者・国(税務当局)・税理士の三者間紛争事例が示す境界線での出処進退

はじめに

 経済的格差が決定的に開くこと、その経済的格差は世代を超えて続くことが事実として確定しようとしている。トマ・ピケテイ教授が唱えるr>gのシンプルな不等式が示すように富すなわち資本収益<r>が、経済成長<g>を法則的に凌駕する。仮にデフレや過剰供給で資本から生じる収益が右肩下がりになっても、Gも同じ方向で下がると考えられるため、分配政策の変更をどのように試みても両者の関係性は覆ることがない現在において、租税のみがこの不都合な事実の是正装置として機能するかもしれない状況である。

 

 納税者は税法で決められた税額を納付すればよい。それ以上の冗税を払うことはバカな行為をした気持ちになる一方、不足額があれば悪いことをした気持ちになる。いずれの場合でもストレスにはなる。その一方で税法は精緻になるばかりで各税法の条文はもとより解説書すら一読しても理解しにくい有様である。そのため人々は税理士に依頼して過不足のない納税をしようとする。

 

 ここで税を取る立場(国)と税を支払う立場(納税者)と、納税者の依頼を受ける税理士の間において「行き違い」が生じて争いが生じることになる。これまでは納税者 対 国(税務当局)の争いは常に生じてきたし、その争いから新しいルールができて争いの解決が図れるようになる一方、新たな金融商品の登場などで、これまでになかったたぐいの国対納税者の争いも生じている。

 

 近年は、上記の両者に加えて税理士 対 国や税理士 対 納税者の間での紛争も生じている。別の見方をすれば経済格差が拡がる一方の現実のもと、富める者は富の減少をくい止めるため、富まざる者は生存をかけて自分が得た経済的価値が税として流出してゆくのを抑えるために3者間で攻防が繰り返される。

 

 3者の争いの3パターンを選んで検討し、問題点を探りたいと考える。特に税理士が一歩踏み込んだために問題が軽微に済んだ場合と、一歩踏み込み過ぎたために問題が生じた場合が事例で示されている。選んだ3事例は以下である。

 

1、納税者 対 国の争い:賃貸収入を申告しなければならないのに意図的に隠したことで重加算税を課された事例

2、税理士 対 国の争い:国税不服審判所の審判官が収集した資料を税理士が閲覧できないことで争いになった事例

3、納税者 対 税理士の争い:税理士が顧客の情報を第3者である弁護士の照会に応じて開示したことが不法行為にあたるとされた事例

 

<次回予告>

 1をまず取り上げる。納税者は賃貸収入を隠そうとし、その前に申告を依頼した税理士にも隠したが、結局そのことが仮装隠蔽にあたるとされ重加算税をかけられた事例を丁寧に見てゆきたい

 

 

- | 08:35 | pookmark
Q17:情報保護のために更に注意する点について知りたいです

A:知っていることを書かせていただきます。

 但し私はコンピュータや情報の専門家ではありませんの税務や会計に携わるに際して必要な事柄しか分かりません。米国で情報詐欺防止のセミナーで少し知識を仕入れただけで、弊所にて過去に失敗した際に、その都度身に着けた知識ですので古いかもしれませんのでその点はご容赦ください。

 

 クライアントでも問題が起こりそうな場合には「その筋の専門家」に依頼されることを強くお勧めしています。

 

1、社内の意識環境を整える

 どういうことかと申しますと、「誰かが見ている」との意識がみなぎっていることで不正を働く動機がストップする効果が狙いです。

 定期的に社長や社長の委任を受けた専門家がPCやサーバーのデータ点検をしている、これだけでも効果はあります。

 当所での事例ですが漏洩などの事故があった場合はPC等の筐体をサルベージ会社に送って不正の有無を検査してもらいました。このように原因追及を徹底的に行うことが次の問題の発生の抑止になります。わが国では「犯人捜しは止めましょう」との組織風土があるようですが、このようなヌルイ会社は「集団無責任体制」化し事故が起こります。信賞必罰の凄味のある会社でなければ同じことが起こります。

 

2、具体的な措置

 オカシイと思った場合は本人がいない時間に

・PCをシャットダウンする前に使用していたファイルが分かりますからココが端緒になります。

・メールの送受信記録が完全に削除されていてもメーラー上では残っている場合がありますから専門業者に助けてもらって事実を把握できます。

・データがUSBなどへコピーされているばあいはデータ名の後の拡張子が変化していますので判断できます。専門業者に来てもらっても可能です。

・疑わしい従業員さんのoutlook expressのアドレス帳に、ありえないアドレスが載っている場合もあります。疑わしいばあいは放置してはなりません。

・削除されていてもGO Backやゴミ箱からアン・デリートで復活できる場合もあります。

・大きな組織ではPCなどがある執務室への「入退室管理」が徹底されていますが小企業では不可能ですがPCを勝手に操作できないルールは設けることが可能でしょう。

 

3、その他補完的な対処法

・事務作業の流れを「見える化」する。フローチヤートにしておけば税務調査でも有用です。調査官に渡せば調査時間の短縮にもなります。

データ上の結果と実在する現物の突合は必須です。未承認の仕入れから在庫横流し、預金の不正引き出し、古いが値打ちのある機械装置などの勝手な売却、架空の従業員に源泉徴収して納付したため存在がないことが発覚したケースがあります。

ルーチン事務はRPA(ロボットにさせる)ように勉強すること。キーボードのみの操作でロボット作りに挑戦しましょう。ロボットはエラーはしますがソコを教えることで改良され、その後は忠実に仕事します。不正はしません、できません。工程が削減できるメリットも生まれます。ロボットへの切り替えがウマくゆかなかっても失うものはありません。ウマくゆかないことが資産です。ロボット化は手順の短縮化、見える化、標準化に役立ちます。

 

補足説明:

 前例踏襲では時代に置いてゆかれるだけです。RPAでも触れましたが単純化、明確化の努力をして失うものはなく、得るものの方が多いです(失敗例も含め)。同じところに居ては船に付着物が付くように「無駄仕事」がはびこり推進力がそがれます。

 

 仮装隠蔽を防止するには、たとえPC化が進んでも、全体を見ることが大事です。すなわち予算を作成して実際との差異を発見する、比率分析をして自社のトレンドを把握する、とともに異常な値が出ていないか見る。時には仕訳帳を「流して読むこと」で異常な取引を発見出来るのは自社の全体を知る社長こそが可能なことです。

 

<次回予告>

 仮装隠蔽関係は「節分」の本日で終了とさせていただき、「立春」の明日以降は「新技術がもたらす税務と会計の大変化」のタイトルのもと、新規の内容になります。なお情報整理のため少し時間を戴く場合がありますのでご理解ください。

 

 

 

 

- | 08:40 | pookmark
Q16:コンピュータを使用する場合、仮装隠蔽が内部で起こらない対応策を教えて下さい

A:大事な点は、誰にどこまでのアクセス権を与えるかです。アクセス権を与えることは仕事の3分割(承認・記録・保管)の承認と記録の双方を許すことになります。例ですが、インターネットバンクの預金に誰でもがアクセスできることをイメージしてください。この場合は保管も許します。

 

1、情報倉庫と預金

 情報倉庫とはサーバーのことを言い替えました。ここには会社の得意先や仕入先名簿、取引記録、給与や考査など人事記録、商品のコードと有高の記録などが収納されています。ここにアクセスしてデータ入力することは同時にデータを抜き取ることも可能になります。責任と権限ある人しかアクセスできないことが重要です。

 

2、ログインパスワードや取引パスワードを管理する。

 アクセス権とはパスワード(以下PWと書きます)を知っていることです。社内の誰に、どのデータについてのPWを開示するか決めなければなりません。ヴァージョンアップの担当も決めたら良いでしょう。

 

3、追跡や裏づけ確認

 これができる道を知り、この機密は特定者にしか知らせてはいけません。会社のネットワークには「ログ」が残りますから誰がどのデータにアクセスしたかを調べることができます。調べることができる人物が不正を働くのであれば鍵がかかっていないと同じです。データの書込みや抜き取り、ダミーデータの書込などに要注意です。

 

 

補足説明:

 サーバーがある場合には従業員各自のデスク上のワークステーション(以下PC)にも目配りが必要です。サーバーを設置していない会社でもサーバー代わりのメインPCが代わりの役割をします。

 従業員さんに仕事をしてもらうためにはPCをあてがうのですが、そのPCからどのデータにアクセスできるかは制限されなければ危険です。

 しかしインターネットは制限すると仕事にならない場合があります。例を会計事務所にとりますと国税庁のホームページで規定の確認をしたり府や市の地方税の税率を確認するためにはインターネットは末端の臨時雇用の従業員さんにも必要です。

 従業員さんが業務時間中にデスクで何を見ているか分かりません。業務時間中に仕事しているふりをして転職サイトや趣味のサイト、旅行のサイトなどを見ていることが想定できます。

 このような場合に備えて各従業員のPCに「何時にどのようなサイトを見ていたか」が分かるアプリケ―ションがありますからこれをインストールしておき、執務時間中に何を見ていたかをTOPはチェックすることも必要です。

 勤務中によろしくないサイトをどれだけの時間みていたかがわかれば本人改めるように伝えます。さもないとシワ寄せは残業時間の増加として現れます。ここが現場作業でなく事務仕事の難しいところです。

 税務調査では調査官はPCを見ますから、ここに誤ったデータが誰かの手で書き込まれていて(在庫数量の改ざん)それが原因で重加算税がかけられたのではたまったものではありません。

 

<次回予告>

 情報の保護のためには「こうすれば、こうなる」との想定のもとで不正が起こらないように、起こっても対処できる方法に関して見てゆきます

 

 

- | 08:15 | pookmark
Q15:当社は内部の仕事に携われる人数が2名しかいません。どうすれば良いでしょうか?

A:2名おられたら優秀です。ついでに1名しかおられない場合も考えてみました。

 

1、2名体制

 2名の事務員さんで分担してもらうとともに、社長さんも1枚加わっていただくことになります。これまで任せっぱなしであったのが欠点でした。営業でご多忙なのはわかりますがオーナーであるのでご自分の会社ですから役目を負うことが必要とお考え下さい。

 

・事務員Aのすること(一定額の承認・小口の保管)

一定枠内での仕入発注と受取、仕入納品書の確認、在庫品の数量管理、人件費の計算と給与支払表の作成、小口現金の保管と支払、売上代金の受取

 

・事務員Bのすること記録がメイン

売上納品書の作成(承認はオーナー)、売掛帳への入金記帳消込 小口現金出納帳の記帳、仕訳帳と総勘定元帳の記帳と報告、在庫出入帳の記帳、仕入分の返品

 

・オーナーのすること大口現預金の保管、大口の承認決裁、売上入金の異常チェック その他例外管理

売上納品書の承認、預金の内容確認と保管、仕入代金支払、その他大口(資産購入など)の支払、給与の支払、売掛金の滞留分のチェックと貸倒の判断、

 

 ポイントは大口と小口を分けてリスク分散するとともに権限を委譲しています。従業員Bは記録担当で在庫や現預金などの現物には触れません。売上系統と仕入系統を同一人がしません。仕入分の受取と返品は同一人にさせません。別の人にしなければ横流しのリスクがあります。

 

2、1名体制

 事務員さんが一人ですからオーナー社長は負担が増えます。世間には1名の従業員さんが社長のご家族である場合が多いですが、この例では「赤の他人」を想定します。また人数が少ないですからできる限り「仕事減らし」を常に考えなければなりません。

 

3、仕事減らし

 

その1:2名体制では小口現金の管理を事務員さんにさせていましたが、小口現金を廃止し、会社から現金をなくします。社長が立替払いします。月末に精算します。

 

その2:仕訳帳と総勘定元帳に作成と報告は顧問の税理士事務所に委託されてはいかがでしょうか。受けない会計事務所もありますが記帳代行業者を税理士事務所に紹介してもらいます。税理士事務所を経由するのは業者の力量が素人では判断できないのと、誤りがあった場合に税理士に紹介責任を負ってもらうことが伏線にあります。そのため税理士の最終チェックは責任が伴うゆえに厳しくなります。会計帳簿の品質は維持できます。記帳代行業者や税理士への支払は増加しますが社保料などの間接人件費の負担がないためコストカットにはなります。

 

<仕事減らし後の分担>

・オーナーのすること・・1のオーナー業務に加えて事務員Aがしていた在庫品の数量管理が加わります。

・事務員のすること・・1で事務員A、Bがしていた業務から仕事減らしで省いた仕事以外を行います。

 

補足説明

 上記には貴社の株式は含まれていませんが、この点は非常に重要です。いまどきは株券を発行しておられる会社は少ないかと思いますが、古い会社では当時の定款の定めで株券があります。これを不発行にするように定款変更をされないと危険です。過半数の株券を持って行かれて「善意の第三者」の手に渡ると経営権に影響が出ます。三分の二以上を持って行かれますと特別決議ができますので経営権はなくなります。意のままにされます。株券の保管や議事録の作成・保管も社長がしないと会社運営の基礎が揺るぎます。

 

<次回予告>

 事務にコンピュータを使用していない会社はありません。サーバーを使用している場合はサーバーへのアクセス権をどこまで下におろすかなどの問題に触れます。

- | 08:58 | pookmark
Q14:仮装隠蔽体質にならないために押さえるべき「基本」を教えて下さい

A:現預金在庫品情報の3つの周りを整備することです。

 

1、仕事の分割

 現預金であれ在庫であれ、保管記録、出し入れの承認を同一人物に任せてはいけません。善意の人が多いとは思いますが自分勝手に現預金を動かし、在庫品も出し入れ自由で記録も自由であれば牽制が働かないのです。物理的に考えても一方に偏ってバランスが取れません。

 経理上の不正が起こると決まって、あの真面目そうな人がこんな大それたことをして、、と言われます。90%がちょっとしたきっかけからの出来心から始まって、だんだん大胆になってゆきます。これは米国でも同じでFraud(不正行為)の事例紹介でも似ていました。人間共通です。そして風船が破裂するほど大胆になって露見します。きかっけは家族に重病人がいて医療費が必要であったとか、オトコ(オンナ)にそそのかされた、別に借金があって返済に困っていて返済資金が欲しかったとかです。

 だれでもこのような事情に遭遇することはあります。肝心なことは、その時にその人物が不正に手を染めることができない仕組みが社内にあれば、殆どの不正は防げます。普通の人は誰もそこまでしません。不正ができないような内部牽制が経理システムに組み込まれていることが重要です。

 

2、Q11,12の会社で起こったことは「仕事の分割」で防げたと思います。

 良い商品があって営業に長けた社長さんがあまりにも鷹揚、悪く言えばヌケテおられた会社の場合でも承認・保管・記録の担当を分けることで架空人件費、架空経費、在庫流出、裏預金、リベート収受はなくなります。

 

3、でも共謀されたら防げません。

 仮に3人の人物に承認・保菅・記録を分担させても3人のうち2人が共謀したら「仕事の分割」の意味はなくなります。3人がみなで共謀したら実質一人がやっているのと同じです。

 ここで時代劇で言えば横目付、今で言えば監査役に相当する「第3者が見ている」状態を作っておきます。映画で悪代官が悪さをするのを目付がチェックするのと同じです。これで内部が固まります。会社によっては監査役を設けていないタイプの会社や、監査役が居ても、その人がその役目に合っていない場合があるでしょう。この時は税理士さんにその役目をお願いされたら一石二鳥です。その意味は、税理士は外部の存在であり会社の人たちからは「仲間ではない」ことから適度の緊張感が生まれるのです。もう一点はやがて税務調査になった場合に社内を知悉してくれていますから仮装隠蔽の疑いを排除してくれることに繋がります。税理士顧問料は値上げしなければいけません。

 

補足説明:

 内部牽制を実行してもその心の在り方が重要です。懐疑的猜疑的かです。両者は似て非なるものです。後者は決めつけていますから戒めるべきです。社内がぎすぎすします。懐疑的とは「このひとは100%誠実かもしれない、しかし100%誠実かもしれない」との見方です。冷静さと目配りが必要です。

 

<次回予告>

 とても3人も内部の仕事で分業させる人数の余裕がない場合について代わりの方法を述べます。また現預金・在庫の他の重要点である情報の扱いにも触れます。

- | 08:43 | pookmark
Q13:仮装隠蔽を生む企業体質にならないためにはどうすれば良いですか?

A:社長次第です。

 社長がそのような考えで経営する心があればいくらでも改善方法はあります。しかし社長がそのように考えない、別の表現をしますと、テキトウにしておいて税務署が入った時はその時その時でテキトウに対処すればよい、平素から経理をキチンとすることにエネルギーを使わない、お金に不自由しないなら、そちらの方がラク、との考えの場合は打つ手はありません。原点にいる社長がコレでは周りがいくらアドバイスしてもカラ周りです。

 私はこのような社長を「ゼロ社長」と言ってきました。0×100の助言も、0×1000の協力も答えはゼロにしかなりません。私の経験ではゼロ社長が改心することはなかったです。徒労に終わるだけでなく1円でも報酬をもらえば、ウマくゆかない時にはお前が悪いと指を指して周りを非難します(その下の3本の指は自分を指しているのに)。相手にできません。逆に零細な会社でも従業員と一体になってとの気持ちの社長もおられます。あなたはどちらですか。前者ならこのブログを読まれることは時間の無駄です。

 

1、時代が変わっています。

 平成の初めは右肩上がりで、世界的に上位の会社10社の半分は日本の会社でしたが、いまは1社もありません。そのうえ会社への忠実度も昔ほどではありません。会社にはキャリアアップのために来ているだけで新人の半分は3年以内に辞めてゆきます。中小企業の人材難は人口減少もあってもっとひどくなります。AI時代になってもAIを積極的にチャレンジして運営に取り入れる会社と全くその気がない会社に分かれます。

 

2、人心も変わってきました。

 先日の新聞で書かれていましたが作家で演出家の鴻上尚史さんが書かれた「不死身の特攻兵」(講談社現代新書)が22万部売れてベストセラーになったことが象徴的です。上官から「死んで来い」と命令され特攻隊で出撃しても「敵に爆弾を落とせばよい」との信念で出撃しても優れた操縦技術で生還した佐々木伍長のことは私も大岡昇平「レイテ戦記(中)」(中公文庫347頁)で読んだ際に弊所発行のDoingという小雑誌で「上官の命令に背き無駄死にすることなく爆撃目的を達した真の勇者」と書きました。出撃して死ぬはずの兵隊が生きていたら上官の面目がないと、2回目も出撃を命じられます。また爆弾だけ敵に落として帰ってきました。上官は何度も出撃を命じ、それが9回にもなり最後は、死んだはずの者が生きておれば軍の体面がないと狙撃兵に狙われたころに終戦になって郷里へ生還しました。しかし父親は世間体もあり顔も合わせなかっと。2016年、92歳まで生きられました。

 鴻上氏が「いのちを消費する日本型組織の同調圧力に苦しむ若い人たちの共感がベストセラーの要因」と仰っておられることを報道していました。もうすでに若い人は上の言うことを聞かないと思います、余程自分が納得しなければ、、。年功序列が崩壊し40代後半から先は混迷しかない日本型の格差社会の本格的な始まりです。

 ある団体で、非行に走って施設に入って更生した少女が自ら話す内容を最近聞くことがありました。信じられないほどの家庭環境と貧困のなかで「オッサンを騙すこと」をいつも考えていたと正直に話してくれました。

 オッサンとはだれを指すのでしょうか。安定した大会社やお役所に属して、月々の給料が保障され、挑戦することも地を這う努力もしないで上から圧力をかける人々を指すと考えます。他方、非正規雇用の人や日当で働きバイトを掛け持ちしなければ生活できない人が多くなってきて格差は開く一方です。外国の人も雇用するようになるでしょう。「合衆国」に近い状態で「盗まれるほうが悪い」のが普通になる中で、社長がエエ加減にテキトウニしておいて自分の自由になるカネが欲しい会社が仮装隠蔽の巣になります。そして重加算税を課され会社自体が右肩下がりになります。

 

3、今のわが国は室町時代末期の再来です。権威あるものが崩れ、力あるものが群生してゆきます。この力とは大きなモノや広告にウマく乗って一見華やかな「あぶく銭」を手にした存在を言うのではなく、地味で地道でも努力と挑戦を続ける「質の高い」存在を指します。あなたは「仮装隠蔽を生む企業体質にならないため」と言われますが、この問題はテクニックの問題ではありません。ご自分の描く事業が他人と共に一体になって成長するのか、他人は、自分(と自分の一族の)のゼニモウケの手段であると考えておられるかの問題でもあります。

 

<次回予告>

事業体として仮装隠蔽体質にならないために押さえるべき基本的な点に触れます。

- | 08:08 | pookmark
Q12:仮装隠蔽があったモデル会社の社長が気づかなかった盲点はどこでしょうか?

A:会社内部の人とモノとカネについて無関心であったことです。

 

1、この社長さんは商品開発と営業にかけては非常に優秀な人と思います。いい商品があり、良い得意先を獲得され信用を築いてこられました。だからモノや資金が抜けていてもまだ余裕があり追徴税額も支払う力があります。残念なことに社長の能力が秀でているのは社外に対してです。会社の内部は任せきりであったとしか思えません。

 会社が成長してゆくとすべてに眼が行きとどくことはなく、信頼できる人物を辛抱強く育てることが必要です。そこを急いで外部から人材を入れることを考えがちですが「育った水」が違う会社から引っ張ってきてもウマくゆかない場合の方が多いです。

 

2、ヌケている一つ目のポイントは架空人件費や架空経費、仕入れの水増し、使途不明金で示されるような支出に関してのずさんさです。現金管理者が支払いを承認するステップもなく社長の承認もないまま資金が流れ出ています。

 

3、次は在庫がどこへ行ったか分からない点と売上が除外されていることです。この二つはセットになっていると思われます。悪く考えれば「在庫の横流し」が疑われますが、誰かが在庫を横流しした場合はその代金は横流しした人物が着服するところ、この会社では会社の裏預金になっています。ということは、裏預金をコントールしているのが誰であるかです。通常、社長の指示でこのような行為をする場合は、着服ではなく他の意図で資金を(会社として)備蓄している場合が多いですが、社長が関与していない場合は重大です。リベートも仮名の個人預金に入っていますが、同じ目的で資金を備蓄したと観察できます。販売先と共謀して裏預金を作る場合もあります。

 

補足説明:

 通常は事務担当座席配置図を作成し、日常の業務分担を配置図に記入します。そして購買から支払いまでの経路についてモノ、カネになった自分が伝票と共に流れの中を歩いてゆく<Walk through>イメージで見てゆくと支払担当のところで実際の支払額が変更されていることが見えます。人の人数、支払い給与額、モノの購入を示す証拠を確認すれば税務署の示す課税洩れの金額の裏付けが取れます。税務署の調査結果の確認もできます。社長が知らないところで起こっていれば従業員一人一人と別室で個別に、丁寧な柔らかい雰囲気で話すことです。

 

 在庫が会社を経由しないで販売され、不思議なことに裏預金に還流している点が、社長の指示でないとすればこの裏預金の周りを徹底的に洗わないといけません。たまたま税務署が(多分)在庫の販売先を出庫から運送の伝票を見つけて商品の到達先をキャッチして反面調査で、そこが支払った宛先の口座を把握したから裏口座が発見されたと考えられます。税務調査が無かったら裏預金はどこかへ消えていたでしょう。ことは重大です。

 

<次回予告>

 このような会社にならないためには、どんな点を改善すれば良いかを見てゆきます。AIが進化して取引データが電子化されても現金、在庫、固定資産など実在が確認できる資産は電子データとの一致を目で見て手で触れて確認することが重要ですダミーのデータが混入されても売掛債権を、期末などの時期に流れをカットして残高の断層の年齢を吟味することも有効です。

 

 

 

 

- | 09:00 | pookmark

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