腰高時代の資金と税金 the Final Stage

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不動産鑑定によらず路線価で評価して過大相続税納付させたと税理士を訴えたが棄却されたケース

(ストーリー)

 バブルが崩壊して地価が急落し路線価を大きく下回る「逆転現象」が起きました。相続税の申告を受任した税理士は路線価で申告しましたが後日、不動産鑑定士の鑑定価額により「更正の請求」を行いました。その後依頼者は別の税理士に依頼しましたが、税務調査が入り依頼者みずから更正の請求を撤回するとともに税務署に対し減額更正を求め、税務署はこれを容れて過大税額分を還付しました。

 

(双方の主張)

依頼者:貸家建付地であることを評価に反映しないため過大評価になった点と、更正の請求期限直前にその書面を提出したため全部

    の土地の鑑定ができず過大申告は是正されなかったことで損害を蒙った。

 

税理士:過大評価を裏付ける根拠はない。還付されているから実害はない。更正の請求期間についても法定期間に間に合うように助

    言している。損害はない。

 

(結 末)

・路線価が実勢価額を上回っていたとは窺われないし、不動産鑑定士の鑑定書によって評価が変わる根拠もないから依頼者の言い分には理由がないとした。

 

(ポイント)

・依頼者と税理士との意思疎通が不十分であったようである。その上、初めの税理士から他の税理士に替えたことは決定的なしこりを残し結果として紛争になったが依頼者の言う損害額=希望評価額による相続税額であるため棄却された。要求が事故の希望額になり肥大化している。

 

参考:tains Z999-0086

 

 

- | 08:57 | pookmark
相続税の特例を受けられなかったのは税理士の説明義務違反と訴えたが棄却された例

(ストーリー)

 相次ぐ相続で父、母を亡くした依頼者は配偶者に対する相続税額軽減規定の適用を強く税理士に依頼しましたが税理士は「遺産分割完了時に申告手続きをすればよい」と言うだけで相続後3年以内の分割の成立がない場合の税務署長の承認やその後の更正の請求制度などについて何も説明はなく3年目の税務署長への届出もしなかったため配偶者の相続税額軽減措置を受けられないことで不要な相続税を払う損害を蒙ったとして税理士を訴えました。そのほか延納申請の際に担保提供の説明をしなかったから担保を提供できず、高い延滞税を負担したのは税理士のセイである点と小規模宅地の特例の説明がなかったことで税額が高くなったことも含めて税理士を訴えました。

 

(双方の主張)

依頼者:

・分割ができない場合の説明もないまま、軽減措置を受けられず過剰納付分の損害を蒙った。

・延納をする際に担保提供が必要という説明をしなかった。このため担保提供がないままで延納は認められなかった。延納が認めら

 れたら支払う利息以上の延滞税を負担させられた。この部分が損害である。

 

税理士:

・配偶者税額軽減について依頼者に説明した際、3年以上分割協議に要する場合は税務署長に承認願を出すことを説明した。にもか

 かわらず遺産分割の進捗状況を10年間も当方に説明しなかった。それゆえ税務署長への承認願いの提出についての判断もできなか

 った。

・遺産分割で配偶者が取得する遺産は決まっていなかったのであるから(配偶者の相続税額軽減の説明義務違反があったとしても)

 軽減を受けられないという損害は生じていない。

・延納申請に担保が必要であることは説明したが依頼者は担保に供する物件を具体的に示さなかった。

小規模宅地の特例は遺産が未分割であるから適用はされなかった。

 

(結 末)

・家庭裁判所の審判で配偶者の相続する財産が確定していないので配偶者の相続税額軽減の適用はできない。依頼者は配偶者税額軽減措置の適用を受けることができたとの立証ができていないから賠償請求もできない。

・税理士は依頼者に延納申請書の控えを交付している。この控えには担保記載欄があり担保が必要であると明記されている。依頼者は自ら担保提供書を税務署に持参していることから税理士は担保提供の意味を依頼者に伝えていると認定できる。

・配偶者は実家の母の看病ほかの事情で小規模宅地の適用を受ける物件に住むことはなかったので、そもそもこの特例を受ける居住要件を欠いているので説明義務違反による損害賠償請求には理由はないとした。

 

(ポイント)

 税理士側の完勝である。争いの大部分は対話の際の相互伝達不足ではないだろうか。説明を聞いていない、いや説明した、との遣り取りである。特に配偶者の相続税額軽減措置小規模宅地の特例は大きく税額に影響する。ともに遺産分割が前提条件であるが今どきは世間の風潮は分割が困難になってきているので税理士は注意しなければならない。

 

 税法の規定は複雑であるから依頼者にはなかなか理解が困難と思ってワカリヤスイ表現を用いて、白板やイーゼルにイラストなどを描きながら相手が理解している度合いを確認しながら説明をするくらいが丁度良いと考えられる。

 

 更に、説明が終わった際にはメモで良いから説明した項目を列挙して依頼者のサインをもらうことが重要である。ビジネスの交渉では(特に国際間では)タームシートの作成が必須であるが同じように考えればよい。

 

参考:tains z999-0118

 

- | 09:01 | pookmark
面談、資料預り後、相談者の不快感から契約頓挫になった場合に税理士の請求額は回収できるか

(ストーリー)

 税理士の後任を捜していた相談者は2月に税理士と面談し口頭で税務の依頼をその税理士にし、税理士はそれを受けました。契約の期間は定めないで顧問料を取決め過去の決算資料などを受取りました。その後、税理士は確定申告の相談を受けましたが、相談者は税理士の態度、応答姿勢に不信感を抱き渡した資料の返却を求めるようになりました。資料は中々返却されないまま相談者は顧問を断ると明言し、一方、税理士から顧問料3ケ月間の請求があったため双方で紛争になりました。

 

 

(双方の主張)

税理士(原告):会計データ処理を行ったうえ「経営会計マガジン」を送付したので税務顧問業務をしている。

相談者:顧問業務を何もしてもらっていない。3月16日に顧問を断り会計資料の返却を求めた。申告は別の税理士に依頼した。

 

(結 末)

 3月10日以降、会計税務処理は勿論、税務相談すら何一つ行ったと認めるものはない。3月前半までの顧問料に限って相談者は支払いをすべきである。

 

(ポイント)

  これは平成18年ころのケースであるが、この頃よりも状況は厳しくなっている。面談で顧問料を決めたりすることはこれまでの慣行であったが現在ではつまずきの元である。

 相談者は、税理士の態度や応答姿勢が気に入らないとして契約の解除を通知したが、人間の反りが合うとか合わないとか、お互い様である。税理士側からも「この人は大丈夫?」と疑問符が付くこともある。初対面から突っ込んだ質問をお互いにして双方が気に入った場合のみ書面で契約するべきである。期限、相談料、資料の提供などについて明確に記すことが後々の争いを避ける最小限度のことである。

 とくに注意すべきは受任が決まっていないのに資料を持ち込んでくる相談者であるそれを税理士が受け取ったら契約したと勘違いされることになる。そしてその資料に手をかけて内容を見るなどしても、後日に依頼を解消することになった場合は請求しても回収はできない。

1、まず契約、2、資料預りから業務をスタートすることであり、この1,2の順序を曖昧にすることから紛争になる。

相談者は多くの場合急いでいる場合が多いので初回の面談で資料を預けてしまいたい傾向が強い。税理士は相手の正体が分かるまでこれに乗ってはいけない。

 

参考:tains Z999-0207

- | 09:00 | pookmark
税法上の問題を監査法人に尋ね誤回答を真に受けた経理部長が税理士等を訴えた例

(ストーリー)

 経理部長が中間監査で会社に来ていた監査法人の公認会計士に租税特別措置法の特例(留保金課税不適用)が該当するかを尋ねたところ会計士は誤って自己資本比率を55.41%と算定してしまい、50%を超えるので特例の適用はないと経理部長に回答しました。実際は50%未満であるので特例が適用され留保金課税はかからなかったのです。

 法人税申告を担当した税理士は経理部長に言われるまま留保金課税がかかる申告をしたため、この会社は過大な法人税を支払うことになり監査法人と税理士に損害賠償を請求しました。

 

(双方の主張)

依頼社の主張:法人税の額に影響する自己資本比率を含めて検証することは監査法人の仕事である。

税理士は自ら自己資本比率を確認したことは認めるが利益積立金と利益剰余金を取り違えた会計士の誤りを是正できず踏襲したことはっ善管注意義務違反である。監査法人、税理士共に責任を負うべきである。

 

監査法人の主張:税務は税理士業務であり監査法人は税理士業務をすることを禁じられている。受任外の仕事である。監査においては「未払法人税」を監査はするが虚偽表示がないかが監査要点であり租税特別措置法の特例適用の判断は業務外である。

税理士の主張:特例適用の判断は受任外であるうえ経理部長は監査法人に検討してもらったから特例は適用できないと決めていた。依頼外のことをすることは禁じられていた。

 

(結末:地裁)

・監査法人は適正意見の表明が任務であり、留保金課税の適用については受任外である。落度はないとは言えないが法的責任はない。

 税理士には専門家として「依頼社の説明に従属することなく、調査確認すべき」であり、留保金課税の課否は受任対象であり責任は免れない。

 

(ポイント)

 税理士が腰抜けである。よく知りもしないことを軽率に回答した会計士にも責任の一端はあるが、税務に関しての判断を他人に委ねるのは首を敵に差し出すのに等しい。会計士の意見を鵜呑みにする経理部長に対し税理士は自らが調べた結果(留保金課税はない事実)を丁寧に説明して相手の誤りを払拭する態度は必要である。

 経理部長の態度の根底には権威に弱い日本人の特性があり、トクイサキの機嫌をとる税理士の忖度がみえる。結局、高裁での和解で依頼社の損害賠償請求額5896万円に対し、負担額は税理士3000万円、監査法人1000万円で決着した。

 

参考:tains Z999-0118

- | 09:00 | pookmark
記帳代行の会計データは依頼社・税理士のどちらに帰属するのか、、

(ストーリー)

 依頼社と税理士は顧問契約の業務範囲に、税理士が総勘定元帳を作成し税務調査の際に出力する旨を定めていました。現実には原資料を毎月税理士に提供し、受取った税理士事務所は事務所にて入力して試算表を作成し依頼社に送付していました。

 依頼社は顧問契約を解除することになり、税理士に対し保有する会計データのすべての引渡しを求めました。引渡さなかった税理士を債務不履行で訴え、他方、税理士側は依頼社に対し報酬の未払分の支払いを求めて相互に訴えを起こしました。

 

(双方の主張)

依頼社:会計データの入力代行を依頼していたのであるから入力の成果物である総勘定元帳を含む会計データの所有権は依頼社にあり、税理士は当然にこれらを引きわたす義務がある。引渡しを受けられなかったため数値の検証ができないため他の税理士に検証を依頼した費用も支払うべきである。

 

税理士:総勘定元帳を交付することは契約したが電子データまで引き渡すことは契約していないから引渡し義務はない。

 

(結 末)

 総勘定元帳は中小企業においては日常的に必要としないため会計データのまま保存しておき、印刷して紙により保存することは想定されていない。会計データの引渡しや所有権の帰属に関する定めもないため税理士が保有する会計データは税理士にあり、その引渡し義務は税理士にはない。

 データは粉飾されており依頼社の従業員に見られたくない思いから依頼社の代表者のみに引き渡す要求であったと認められる。このことは会社組織として会計データを税理士から引取る約束まではなかったとされ、税理士に会計データの引渡し義務はないとの結論になった。

 

(ポイント)

 本来会社に備え置くべきと会社法で定められた総勘定元帳を会計事務所で作成してもらう場合は(電子帳簿保存法の適用を受けている場合のほかは)紙で受け取るか、会計データで受け取って自社で印刷するかを顧問契約に際して明確にするべきであった。

 依頼社は自社の従業員に総勘定元帳を見せられない事情があるため引渡しを強く要求できなかったようである。

このため原データの保有は会計事務所にあり紙に印刷された総勘定元帳を依頼社は入手できないという中途半端な結論になった。税法以前に会社法の趣旨を理解すれば会計データは当然に依頼社に行くものである。顧問契約に際しこの認識を欠いた点が不自然か結果になった。

 

参考:tainsZ999-0211

- | 16:21 | pookmark
経理を軽視し日常業務まで税理士事務所にさせた会社に追徴税の責任はどこまであるのか

( ストーリー)

 事前通知なしの税務調査により数千万円の追徴税のほか重加算税、過少申告加算税、延滞税を負担させられたのは、税理士が誤った申告をしたためであるとして依頼社はこれらの追徴税額と加算税のほか慰謝料を税理士に請求しました。

 税務調査で税務署に指摘された誤りは以下の点でした。

・架空仕入れの計上

・仕入の二重計上

・受領家賃の計上洩れ

 

(双方の主張)

依頼社の主張:

・税務事務は所員に任せきりであり監督不行き届きである。税理士は杜撰な経理の責任を負うべきであ

 る。

総勘定元帳がないため仮装隠蔽を疑われた。税理士は顧問契約をしているのであるから総勘定元帳を

 作成する義務が(自動的に)ある。

・事前通知なく税務調査がされたことにつき税務署へ抗議しなかった。

 

税理士の反論

・依頼社に経理事務員は不在であり仕入帳や金銭出納帳を作成しなかった。経理担当を置くように要求

 しても応じるどころか日常業務まで押し付けてきたので所員の負担は過大になった。外部者である所

 員が原始資料から取引を推測することは困難である。

仕入の二重計上は上記の状況下で所員が誤ってしてしまったものであり、自社で経理担当者を置けば

 生じない誤りである。使用者責任を負う筋合いはない。

・総勘定元帳はD会計情報センターに作成を委託していた。依頼社に総勘定元帳がなかったのは自社内

 で紛失したためである。この責任を負う筋合いもない。

 

(結 末)

・税理士には明らかな計算誤りがあり、このことは日常業務まで押し付けられたことと関係なく税理士

 の過失である。

・税理士が計算センターに外注して総勘定元帳を作成していた事実は認められる。総勘定元帳が依頼者

 に交付されていなかった証拠はないから税務調査で総勘定元帳を提示できなかった責任は税理士には

 ない。

・追加の税金のうち本税は依頼者が納める義務を負うものであるが加算税等は損害であるから税理士が

 負担すべきである

・税理士には高度の注意義務がある。所員に責任はなく税理士が注意義務違反により損害賠償義務を負

 う。

 

(ポイント)

 貧しい日本の中小企業の経理軽視傾向のもと、契約で業務を明確にしなかった依頼社・税理士の争いである。

 依頼社が、経理担当を置かなかったら解約するか別途に有料で期限を決めて業務を請け負うべきであるのをダラダラと所員に苦渋の仕事をさせる税理士も問題である。

 総勘定元帳を依頼社・税理士どちらの側が行うかは契約で明確にすることが重要である。依頼社は経理軽視、税理士は契約軽視で結局責任のなすり合いになっている。

 

参考:tainsZ999−0100

 

- | 18:02 | pookmark
過少申告を指示したのは依頼者か、会計事務所の独断か

(ストーリー)

 顧問の会計士・税理士が無断で架空経費を計上して申告をしたため税務調査で重加算税を課されたことをもって依頼者は、重加算税、延滞税部分の賠償を会計士・税理士に求めました。

 

 なお顧問契約では依頼者側が帳簿を作成するとなっていたが、依頼者の経理担当者が作成したものは帳簿とは言えない不完全なモノであり税理士側で整理してコンピュータで総勘定元帳を作成していました。決算書申告書と共に依頼者に届けていたとのことですから、期中に試算表にもとにしてどの程度の説明を依頼者にしていたかは不明です。いわゆる「丸投げ」の関与形態から発生したケースです。

 

(双方の主張)

依頼者:(経理のことは分からないから)全て任せていた。違法不当な申告をして依頼者が損害を蒙らないようにする義務がある。

    こちらの要求が適正でない時は専門家として不適正の理由を説明し、諭すべきであるところ勝手に架空経費を計上して申告し

    た。そもそも「利益が2000万円で税金は500万円〜600万円ですが社長出せますか」と税理士会計士が言ってきたので役所

    の査定ランクを上げたかったこともあり異存なく「出せます」と答えた。

 

税理士・会計士:申告前に試算表を示し納税額が多くなる旨を説明したところ「出てきた数字でそのまま税金をはじき出すならだれ

    でもできる。任せるからウマくやってほしい。但し経審のため黒字にしろ」と述べた。知り合いに頼んで外注工事費を増や

    す方法を考え依頼者に確認を求めたら「これで行う」との回答を得たので過少申告を実行した。

    このように、主導したのは依頼者である。

 

(結 末)

依頼者は、尋問では「何で2000万円も(利益が)出たんだ、仕事も大してやっていないのにとブツブツ言いました」と陳述しているが、過少申告で一番利益を受けるのは依頼者であるからこのことから税理士会計士が勝手に過少申告をしたことは考えられないことその他から、過少申告は依頼者の指示であると認定されました。

 

(ポイント)

 顧問契約で依頼者側が元帳を作成することになっていたのに、ずるずると依頼者のすべき仕事を会計事務所が引き受けてしまっている。不完全な会計帳簿のもとで、任せた、任せられていないの争いになっている。決算時の説明も会計事務所が十分に説明したとは思われない。最大のミスは、会計事務所が知り合いに頼んで架空外注費を計上する段取りをした点である。依頼者は会計に無知であるから、自分を守るためにはどのような言い方をされるか油断は禁物である。

 今後、人手不足で良い経理事務員は採用が困難になる傾向のもと、しわ寄せは会計事務所に来ると考えなければならない。

書面で責任の所在を明確にすることが重要である。

 

 

参考:tainsZ999-0096

- | 18:39 | pookmark
減価償却方法の選定ミスが税負担に影響する訴えを退け、立証責任は依頼者にあるとした例

(ストーリー)

 設備投資が多額であるため依頼者は税理士に対して定率法で確定申告することを依頼しました。税理士は確定申告に際して減価償却の計算は定率法で行ったものの、肝心の定率法による「減価償却資産の償却法の届出書」の提出を忘れていました。このため定額法で計算した金額までしか必要経費に算入できず定率法による申告額と定額法の償却限度額との差を修正申告することを余儀なくされることになり、差額分に係る所得税、住民税、延滞税、過少申告加算税の合計額約3800万円の損害賠償を税理士に対して求めました。

 

(双方の主張)

依頼者:定額法・定率法の違いで償却額に差はなくても税金の額には差額はある。税理士は、定額法を続けていれば先には減価償却費の額は定率法より定額法が多くなると反論するがそれは利益があってのことである。先の利益は見込めない。現に競合店の出現で利益は下がっている。不利に払った税負担額を弁償してほしい。

 

税理士:償却期間全体を見れば定額法と定率法に差はないので修正申告しても損害は発生していない。

 

(結 末)

・加算税は損害に該当する。減価償却費は償却期間の全体を比較すれば、初めのうちは定率法の償却費

 が多く、その後は逆に定額法

 のほうが多くなり、期間全体で見ればいずれの方法であっても税負担への影響はない。

・依頼者は「利益が異なれば定率法と定額法で税金額に差が生じる」と主張するが「償却期間を通じて

 納税総額に差異が出るかどう

 かは損害を主張する依頼者が立証すべきである。依頼者の主張は立証責任を税理士に転換するもので

 あり採用できない」として本税の賠償請求を棄却した。

 

(ポイント)

・税理士のウッカリによる定率法の届出書失念は議論以前のことである。注意しなければならない。

・利益があってこそ減価償却費が税額に影響するとの依頼者の主張は、青色申告で損失を繰越すこと

 ができることも視野に入れると

 表面的であり一概に言い切れない。まして利益や損失は読めないので減価償却の方法次第で税負担に

 どのように影響するのか説明は困難である。

・依頼者の主張は支払う税金の多寡が核心になっているが「利益」という不安定なものを土台にしての

 立証は困難であると思われる。

その立証責任は依頼者にありとした点は重要である。

 

参考:tainsZ999-0102

 

- | 11:42 | pookmark
定額法の採用が不適切とはいえないとされた事例

(ストーリー)

 歯科医院の開業に際し有利な定率法を採用すべきところ定額法によったため減価償却費の計上が少なくなり、途中で定率法に変更することもしなかったため、税負担が不当に増加する結果になったとして税理士を訴えました。

 依頼者は、特に設備を早期に更新することを重要視していたから、これを受けて税理士は「設備投資額を早期に費用化し、税負担の軽減を図って次期の設備投資を行えるように定率法を採用する義務を負っている」と強調しました。

 

 

(双方の主張)

依頼者:税理士は税法の範囲内で依頼者にために税務上有利になるように指導助言すべき義務があるの

    にこれを怠った。

 

税理士:税務処理に当たり必要な説明をしてきた。義務違反を指摘される理由はない。また定額法、定

    率法の何れを採用しても償却期間終了時には減価償却費の総額は同じになる。個人事業者の場

    合は定額法が原則である。

 

(結 末)

・いずれの方法でも償却期間終了時には減価償却費の総額は同じになるのであるから、一概にいずれの

 方法が適切であるかの判断は困難である。歯科医であり依頼者が設備を更新したのは取得から7年後

 であり、この事実から「早期の設備更新」を考えていたと は認め難い。

・実際に償却方法の違いによって税負担がどれだけ相違したかの証拠は提出されていないから「損害」

 額は認定できない。

 

(ポイント)

医療機器の償却期間は7年前後である。そのほとんどを経過してから設備を入替えているのに、定率

 法を採用しなかったから不利になったとの訴えは退けられた。どちらの方法を採用しても減価償却費

 の額に変わりはないから「損害」は発生していない。

・それゆえ依頼者側は、計算根拠を証拠として提出もできていない。

・このように会計の基本である減価償却の仕組みから考えても、言いがかりとも思える訴えもあるので

 注意しなければならない。

 

参考:tainsZ999-0106

 

- | 12:28 | pookmark
減価償却の計算方法についてあらかじめ誓約書を得ていて賠償義務を免れた例

(ストーリー)

 母親の所有するマンションの所得税確定申告において兄弟中で一番年下の本件依頼者は、障害者の兄に支払う専従者給与が確保できるためには定率法で計算した減価償却費を計上するよりも(届出は定率法のところ)定額法の限度額までに抑えた減価償却費を計上することを希望しました。

 それはかねてから母親が、独身で障害のある(本件依頼者から見て)兄の行く末を案じ、兄を診察していた医師から(単に生活費を渡すのではなく仕事をして収入を安定させることが重要)であると言われたことを受け、働いて給与を得て自信を付けさせたいと思っていたことを現実化したものでした。

 税理士はそれに応じて定額法で減価償却費を計上し申告しましたが、他の兄弟はそれによって母親の所得税負担が増加したので損害を蒙ったとして税理士を訴えました。

 

 兄弟のうち一番末の本件依頼者は、自分の兄弟から税理士に対し苦情や損害賠償の請求が出ることを予測して「誓約書」を税理士に交付していました。その内容は

・定額法による減価償却費の計上と青色専従者給与の計上は自分から税理士にお願いしたものであること。

・税理士にはこのことで一切の責任を負うことはないこと。

 

(双方の主張)

・依頼者の兄弟:減価償却費が少ない分だけ税額が増えて母親の財産上の損害を蒙った。

        国家資格の税理士が素人の本件依頼者から免責の誓約を受けることは税理士倫理に反し公序良俗違反である。

        税理士は、多く払った税額分を賠償すべきである。

・税理士:青色事業専従者給与を支給してもなお所得が出るようにするには低い目の定額法の計算によることが本件依頼者に意図に

     沿うものであった。

     本件依頼者には確定申告の都度、定額法採用により若干税金が増えることを説明し、依頼者から理解を得ていた。

 

(結末)

誓約書は損害賠償義務免除の意思表示として有効である。

・債務免除の意思表示は必ずしも債務の存在を確定的に認識していなくてもその可能性の認識があれば有効である。

・公序良俗に反する事情は認定できない。

・依頼者兄弟の税理士への主張は失当である。

 

 

(ポイント)

事前の「誓約書」は道理が立てば有効であるから、事理次第では無用な争いを避けることができるようである。

 

参考:tainsz999-0105

- | 17:00 | pookmark

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